【インタビュー】恋を読むvol.3「秒速5センチメートル」海宝直人&黒羽麻璃央、朗読劇として初の舞台化に挑む!「アニメの空気を大切にしつつ、新しいものを」

2020年10月9日 / 17:21

 俳優の“言葉”とアニメーション、音楽を有機的にリンクさせたラブストーリーの朗読劇シリーズとして、2018年から公演している「恋を読む」シリーズの第3弾となる「恋を読むvol.3『秒速5センチメートル』」が、10月21日から上演される。今回は、映画『君の名は。』で知られる新海誠監督のアニメーション作品『秒速5センチメートル』を朗読劇として初めて舞台化。三つの短編の連作というユニークな形でつづられる、胸を締めつけられるような恋の物語を、総勢15人の出演者が5組に分かれて上演する。遠野貴樹を演じる海宝直人、そして黒羽麻璃央に公演への思いや朗読劇の魅力を聞いた。

黒羽麻璃央(左:スタイリスト:小渕竜哉/ヘアメイク:Ayane(Lomalia))、海宝直人(スタイリスト:橘 昌吾/ヘアメイク:三輪昌子)

-海宝さんは「恋を読む」シリーズ初出演、黒羽さんは3度目の出演になります。今回は、新海監督の大人気作を原作としていますが、本作の魅力はどこにあると思いますか。

黒羽 初恋を長年引きずっている姿が印象的で…、男の方が未練がましいところがあるというのは、リアルだなと思いました(笑)。女性の方が案外、さっぱりしているところがありますよね。それから、物語としては、最後は初恋を実らせてハッピーエンドになるという展開の方が一般的だと思いますが、この作品は実らない。初恋相手の明里には(別に)婚約者までいるというのが、ある意味すごくリアルだなと思いました。

海宝 生々しいという意味では、「ずるさ」もしっかりと描いているのもリアルですよね。例えば、2部の「コスモナウト」の鹿児島での話では、貴樹は花苗に思わせぶりともいえるような態度を取っていて、それも女性から見るとイライラするかも…。今回、朗読劇で生身の人間が演じるので、よりリアリティーのある物語として感じて、楽しんでもらえるのかなと思います。

-現在、貴樹をどう演じたいと考えていますか。

海宝 アニメーションを見たときに、非常に繊細なキャラクターだと感じたので、演じるのは難しいなと思っています。言葉が多いキャラクターではないですし、他の登場人物と交流するシーンも少ないので、これからの稽古で膨らませていって、しっかりと作り上げていきたいと思います。

-黒羽さんは、「恋を読む」シリーズには、これまでにも出演していたそうですが、これまではどのような演出だったのですか。

黒羽 第1弾のときは、朗読劇とはいえ動きも多かったです。出演者が2人だけだったということもあると思いますが、自分たちの立ち位置とキャラクターの心の距離がリンクしていて、キャラクターが親しくなるにつれて、自分たちの距離も縮まっていくという演出が印象的でした。

-貴樹に共感するところは?

黒羽 僕も小学校のとき、好きな子が転校してしまったことが2回もありました。当時は、みんなが携帯を持っていたわけではなかったので、手紙でやりとりしていたのですが、同じ経験をしていたなと思いました。文通だと、メールやLINEと違って、ドキドキが大きい気がします。手紙を書いているときもそうですが、返事を待っているときは、特に、いつ返事が来るのかな、今読んでいるのかなって、いろいろと想像を働かせて…。ポストを開けて、来てないかなって確認してドキドキしていました。

海宝 僕は、自分が転校した経験があるので、友達と離れる切なさは分かります。それに、貴樹ほど初恋を引きずることはないですが(笑)、でも、初恋が忘れられない大切な思い出になるという思いは理解できます。

-今回は、声だけのお芝居になりますが、朗読劇ならではのことは?

黒羽 かんでしまうんじゃないかというプレッシャーが普通の舞台よりも大きいこと(笑)。台本を持っているのに、かんでしまうと、普通の舞台に立っているときの5倍ぐらい恥ずかしいです(笑)。久々に長文を読むので、自宅で自主練をして、滑舌はよくしておこうと思っています。

海宝 僕は今まで何度か朗読をさせていただいたことがありますが、どの作品も、いわゆる単純な朗読をするだけという作品ではなかったんです。そういうこともあって、朗読劇は、より幅広いアプローチが可能なのではないかな、とは感じています。お客さまも、より想像力が羽ばたけるところがあるんじゃないのかな、と。セットがあって、衣装を着替えてと、ガチガチに固めたものをお見せするわけではないので、より脳内に、物語や世界観を組み立てられるというのは魅力の一つだと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

中村ゆり「草なぎ剛さんは包容力があって“人の痛み”が分かる方」 ドラマ「終幕のロンド」【インタビュー】

ドラマ2025年10月10日

 草なぎ剛が主演する月10ドラマ「終幕のロンド —もう二度と、会えないあなたに—」(カンテレ・フジテレビ系)が、13日から放送がスタートする。本作は草なぎが演じるシングルファーザーで遺品整理人の鳥飼樹が、遺品整理会社の仲間と共に仕事に向き合 … 続きを読む

北山宏光、6年ぶり主演舞台に「僕が今、出せるものを全て注ぎ込む」 舞台「醉いどれ天使」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月10日

 名匠・黒澤明と三船敏郎が初めてタッグを組んだ伝説の映画『醉いどれ天使』の2025年舞台版が11月7日に開幕する。本作は、戦後の混沌(こんとん)とした時代に生きる人々の葛藤を生き生きと描いた物語。映画が公開された1948年に、映画版とほぼ同 … 続きを読む

堺正章「カトリーヌ・ドヌーヴさんに毎日プレゼントを」世界的映画スターのハートをつかんだ初共演『SPIRIT WORLD -スピリットワールド-』【インタビュー】

映画2025年10月9日

 世界的映画スターのカトリーヌ・ドヌーヴが、日本を舞台にした映画に主演する。この言葉に心躍らぬ映画ファンはいないだろう。それが、10月10日から先行公開となる『SPIRIT WORLD -スピリットワールド-』だ。  来日したフランス人歌手 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(5)お兄ちゃんの隠しもん

舞台・ミュージカル2025年10月9日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼お兄ちゃんの隠しもん  今から4 … 続きを読む

齊藤京子&水野美紀が“同一人物”役でW主演  齊藤「信じられない気持ちでいっぱい」 水野「もうSFだなと思いました」【インタビュー】

ドラマ2025年10月7日

 齊藤京子と水野美紀がW主演する10月期ドラマ「娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?」(カンテレ・フジテレビ系)が、7日から放送がスタートする。本作はママ友いじめが原因で、娘を失った55歳の母親・篠原玲子(水野)が、見た目も声も変えて25 … 続きを読む

Willfriends

page top