【インタビュー】映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』マーゴット・ロビー「ハーレイの、ハチャメチャだけど実はいいことと悪いことの区別をちゃんと持っているところに引かれます」

2020年3月18日 / 10:01

 『スーサイド・スクワッド』(16)のジョーカーの恋人ハーレイ・クインが、彼と別れて独り立ち。モラルのない暴れ方で、ゴッサムシティの悪党たちから次々と恨みを買う。そんな中、ハーレイは謎のダイヤを盗んだ少女を守るため、くせ者だらけの女性たちとチームを結成し、悪の親玉ブラックマスク(ユアン・マクレガー)と全面対決をすることになる。“悪カワ”のヒロインが大活躍する映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が、3月20日から全国ロードショー公開される。『スーサイド・スクワッド』に続いてハーレイを演じたマーゴット・ロビーに、キャラクターへの思いや、映画の舞台裏について聞いた。

マーゴット・ロビー (c)KaoriSuzuki

-本作では『スーサイド・スクワッド』とは、またひと味違ったハーレイが見られました。

  演じるたびに違うハーレイなのが、彼女を演じる醍醐味(だいごみ)です。ハーレイはいろいろな面を持ったキャラクターなので、それぞれの監督が彼女のどこに目をつけるかで、全く違う面白さが引き出されるんです。今回のキャシー・ヤン監督は、ハーレイの弱い部分や感じやすい部分、いいことを理解できる部分や優しい部分に引かれたのだと思います。だからハーレイは、カサンドラ・ケインが演じた女の子を救ったのです。でも、それはハーレイにとっては、とても居心地が悪い状態なんです。なぜなら、自分の中にある、感じやすく優しい部分を知ってしまったら、思い切り悪事をすることができなくなるからです。

-今回は製作も兼ねていますが、『スーサイド・スクワッド』に続いて、ハーレイを演じたいと思った理由を教えてください。また、ハーレイのどんなところに引かれますか。

 アクターとしては、ハーレイを演じるのは最高に楽しいので、またハーレイを演じたいという思いがありました。彼女の、ハチャメチャだけど実はいいことと悪いことの区別をちゃんと持っているところに引かれます。一方、プロデューサーとしては、今の男性優位の映画業界の状況を是正する一歩に関わりたいという思いがありました。

 例えば、この映画のような、女性のアンサンブルによるアクション映画は、キャメロン・ディアスたちの『チャーリーズ・エンジェル』(00)以来ではないでしょうか。女性のアンサンブルで痛快に悪をやっつけるというストーリーはほとんどないと思います。だから、女性たちが悪を負かすのを見るのは同性としては気持ちがいい。痛快なガールズアクションは見ている人の気分を高揚させてくれると思います。

 私が子どもの頃は、女性だけのアクション映画はほとんどありませんでした。だから、アンサンブルキャストではありませんでしたが、女性ヒーローが活躍する『ワンダーウーマン』(17)を見て映画館から出てきたときは、すっきりして気分がよかったです。自分がとても強くて大きくなったような感じがしました。だから、この映画を見た人たちが、そんなフィーリングを感じてくれたらありがたいと思います。私が感じた「ワオー、強くて大きくなった」というような感覚を体験してほしいと思います。

-このところ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と『スキャンダル』、そして本作と、全く違うキャラクターを演じていますが、役柄を演じ分けるコツはありますか。

 実は、1~2カ月の間、この映画のハーレイと『スキャンダル』のケイラの間を行ったり来たりしていたことがありましたが、それはかなりクレージーな体験でした(笑)。『スキャンダル』のケイラを1日中楽しく演じた後、オフィスに戻ってハーレイの準備と役作りをしたのです。

 一方、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のシャロン・テートは、他の役とオーバーラップさせることは極力避けました。シャロンには、軽い雰囲気を出すことが必要だったからです。とても性格がよくて汚れがなくて、空気よりも軽い感じがするのがシャロン。だから、ハーレイの暗さや重さ、悪の部分が、少しでもシャロンに影響を与えたら大変なので、シャロンにハーレイは近づけないようにしました。

 また、ケイラにも結構重いところあったので、これもシャロンとは重ならないように気を付けました。シャロンはシャロンだけで演じないとうまくいかないと感じていました。ケイラとハーレイは違うキャラクターですが、両立できると思いました。この三つの全く違う役ができたのは、女優としては夢のような出来事でした。クレージーな何カ月間だったけれど、とてもやりがいのある時間でした。『大当たり!』っていう感じかな(笑)。

 シャロンは別として、ケイラとハーレイを並行して演じることができたのは、ハーレイのメーキャップをし、コスチュームをつけると、即座にハーレイになれるマジックがあったからです。ハーレイはハチャメチャだから、楽しく演じられるし、いい発散材料にもなりますが、とても疲れるキャラクターでもあります。ただ、ハーレイの場合、彼女のイライラや確執は表に出せるものなので、やりやすいところもあります。内に秘めた確執だと、もっと重い感じになるので。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

自然体の魅力で今年もお正月の主役  もはや新年早々の風物詩になりつつある。ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画のことだ。24年は『エクスペンダブルズ ニューブラッド』、2025年は『ビーキーパー』、そして今年26年は1月2日から『ワー … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

 2026年1月1日全国公開となる『迷宮のしおり』は、「マクロス」、「アクエリオン」シリーズなどで知られる河森正治監督初のオリジナル長編アニメーションだ。  引っ込み思案な女子高生・前澤栞(声:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ))は、親 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

Willfriends

page top