「今までの明智光秀のイメージを白紙に戻して」池端俊策(脚本)【「麒麟がくる」インタビュー】

2020年1月17日 / 10:00

-なるほど。

 とはいえ、人間は変わっていきます。権力を手に入れ、年齢を重ねた結果、どうなっていくのか。それはまた別の話です。ただ、幼い頃の経験は後々、必ず影響してくるはず。そういうことを考え合わせながら、信長を育てていこうと思っています。

-光秀役の長谷川博己さんの印象は?

 長谷川さんは、僕が脚本を書いた「夏目漱石の妻」(16)で漱石を演じていただき、とてもすてきな俳優さんだと思っていました。非常に繊細で誠実で優しさがある。それと同時に、殺気や緊張感のようなものも併せ持っている。それが光秀のイメージとすぐに結び付きました。

-というと?

 光秀は、41歳からの十数年で有名になった人です。信長の家臣の中で、10年程度で名を挙げた人物に、光秀以上の人はいません。一時は家臣のナンバーワンで、秀吉のライバルでもあったわけですから。それほどの人物ということは、それまでは人々の間を探訪して歩き、洞察を重ねた末、一気に躍り出ていったのではないかと。そこから、透明感があり、緊張感に満ちた生き方を送り、時代を駆け上がっていく光秀の姿をイメージしました。それが、長谷川さんにぴったりでした。

-執筆が進む現在の手応えはいかがでしょうか。

 楽しみながら書いているところです。若い頃の光秀は、いろいろな土地を旅して、世の中を見て歩きます。その都度、今度は松永久秀(吉田鋼太郎)、次は将軍・足利義輝(向井理)…というように、有名な武将が次々と登場します。それを一人一人、自分なりに解釈して、歴史上の出来事と照らし合わせて点と点をつないでいく。その作業がまるで、戦国時代の人物図鑑を一つ一つ塗りつぶしていくような感覚で、楽しいです。

(取材・文/井上健一)

明智光秀役の長谷川博己

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