【インタビュー】「エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~」佐藤隆太「覚悟を決めて挑んで、必死に戦えば、今までとは違う自分が見えてくる」

2020年1月20日 / 16:45

 今年デビュー20周年を迎える佐藤隆太が、海外で旋風を巻き起こした一人舞台「エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~」に挑戦する。本作は、上演前にキャストから直接手渡されたカードを持っている観客が、自分の番号が呼ばれたら、そこに書かれている言葉を読み上げたり、キャストに促されて芝居に参加するうちに物語が進んでいくという、観客参加型のユニークな舞台。たった一人の出演者として、取り囲む観客を「自分が語る物語」に引き込む、という難役に挑む佐藤隆太に、本作に出演する思い、そして意気込みを聞いた。

一人芝居に挑む佐藤隆太

-今回の舞台への出演を決めたのは、どういった思いからでしたか。

 どんな作品になるのか、全く想像がつかなかったからです(笑)。冷静に考えたら、やっぱり(この作品の舞台に立つことは)怖いんですよ。一人芝居は背負うものがすごく大きいですし、今回はお客さんにも参加してもらって物語が進行していくという作品なので、どれだけ稽古をしても「これが完成」というものが決まらない。見に来てくださるお客さんは毎日変わりますし、そのお客さんにお手伝いしていただくわけですから、当然雰囲気も変わってくる。正直、完成形が全く見えないんです(笑)。でも、だからこそ覚悟を決められたのかもしれません。不安要素がもっと具体的に見えていたらひるんでいたかもしれませんが、あまりにも分からないことが多かったので、ワクワクできそうだとか、ここに飛び込んだら今まで見たことがない景色が見られるんじゃないかと思い、出演させていただくことにしました。

-これまでの俳優人生の中で、観客の方やファンの方と会話をして何かを進めていくという経験はありましたか。

 若い頃に、学園祭に呼んでいただいて、トークショーをさせていただいたことはありますが…それぐらいです。しかも、今回はただコミュニケーションを取ればいいのではなく、お客さんを引っ張っていき、物語を進めていかなければならないので、本当に難しい挑戦だと思っています。なので、きっと僕も上演中にいろいろなことを考えるでしょうし、終演後も「あそこは、ああしとけばよかったぁ~!!」なんて思うことが多そうです(笑)。

-そもそも、佐藤さんご自身は、お客さんとのコミュニケーションを取るのは得意なんですか。

 自分では決してそうは思わないです。役者なので当然とも言えるかもしれないのですが、僕は、やっぱり台本のせりふを入れて、それをどう表現するかという作業に体が慣れているんだなぁと、この作品に出演が決まってからつくづく思います。瞬発的なアドリブや気の利いた言葉を言うのはあまり得意ではないんですよ(苦笑)。ある程度の準備をしないと、人前に立つのは不安な人間なんです。

-では、今回の舞台はまさに「挑戦」ですね。

 そうですね。普通に考えたら…本番が始まってからも落ち込むこともあると思います。悔しがっている自分が目に浮かびます(笑)。でも今回はそうはなりたくない。その都度、課題を前向きに捉えて、日々、ブラッシュアップしていけたらと思っています。

-観客としては、どのように舞台を楽しめばいいでしょうか。

 僕もこのお話を頂いたときに、日本人はシャイな方も多いし、ひるんでしまうんじゃないかという不安があったのですが、先日、僕自身が実際にこの作品をアメリカで観劇して、参加してみたら、不安に思う必要はないな、と。僕も物語に参加させてもらったんですが、難しいことは全くないんです。自分の番号を呼ばれたときにカードに書かれた文字を読み上げるだけなので、誰にでもできます! それに、自分が一言でも言葉を発したことで、作り手として一つのパートを担えたことに感動と興奮を覚えたんです。自分の番号がいつ呼ばれるんだろうというドキドキ感はありますが、それも含めて計算された本になっているので、そのドキドキ感すら観劇をするに当たってプラスになって。ただ純粋に見るだけでも面白い作品だとは思いますが、参加することでより大きな感動を得られると思います。もちろん、参加したくなければ無理に参加する必要はありませんし、参加しなくても全く新しい体験ができると思います。
 そういった意味でも、僕はお客さんの緊張をほぐす作業を大事にしなければいけないなと思っています。開幕前に、僕が観客の皆さんに「これをお願いできませんか」と声を掛けさせていただくのですが、もし、心の奥で参加したいなという気持ちがありながらも恥ずかしさが勝っているような方がいらっしゃったら、気持ちをほぐしてあげられたらと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

 須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在、亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・涼だ … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の … 続きを読む

Willfriends

page top