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2016年に公開され、大きな反響を呼んだ『この世界の片隅に』から3年。新たに250を超えるカットが書き加えられ、約30分も長くなった『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月20日から全国公開される。戦時中の広島と呉を舞台にした本作で、主人公すずの声を演じたのんに、映画への思いや、新たなシーンについて聞いた。
最初は、ファン目線というか、「あのシーンも加わるんだ」と思うと、すごくうれしくて興奮しました。でも、いざ「自分がやるんだ」と気付いたら、3年たっているし、期間をおいて同じ役に挑むのは初めてだったので、「自分にできるのかな」と、ちょっと不安になりました。でも、改めて原作を読んだり、前作を見返しているうちに、何となくすずさんの皮膚感がよみがえってきて、つかむことができました。
確かに、そういう描写がたくさんありますが、その女心は、友だちみたいな感覚でリンさんを大切に思う気持ちがとても強いと感じました。でも、秘密の友だちみたいなところもあって、すずさんはリンさんのことを特別な人だと感じているんだろうなあ、と思うところもありました。だから、すずさんが、周作さんとリンさんの秘密を知ったときに、リンさんを取られたような気持ちにもなるのかなと。そういう複雑な感情が行き交う部分を大事にしました。
今回は、すずさんの嫉妬心や、自分の中で処理し切れない感情が出ている、というのは、すごく感じました。すずさんがリンさんに「嫁の義務を果たさなければ」とか、「子どもを産まなければ」と話すシーンでは、すずさんがその義務を果たさなければ北條家にはいられないと思っていることがすごく感じられます。そこでリンさんに「この世界に居場所はそうそうのうなりゃせんのよ」と言われるのですが、「すずさんは、こんなに一生懸命自分の居場所を探していたり、不安に思っていたんだ」とふに落ちました。その中で、周作さんとリンさんとの秘密を知ったときは、自分の居場所が脅かされる、自分が人の居場所を侵していたのかもしれない、という複雑な気持ちだったんだろうなあ、という衝撃を受けました。それを表現することが一番重要だなと思いました。それはせりふではなくて、「はあ」みたいな息遣いだったり、言葉にならないもので表現しなければならなかったので、何度もやり直しました。
大変でしたね。プレッシャーはそれほどなかったのですが、どれが一番すずさんの感情に沿っているのか、どれが正解なんだ、という部分では、とても悩みました。ただ、やっていくうちに「あっ、これだ」みたいな手応えがあって、(片渕須直)監督からも「OKです」と言われて、納得しながら進められたので、あとは気持ちよく演じることができました。
そうおっしゃっていただけると、とてもうれしいです。よろしくお伝えください(笑)。広島弁はとても大変でした。前作のときも手こずったのですが、演技が乗ってくると言葉がおろそかになり、言葉遣いに集中していると演技がおろそかになり…。そういう苦労があったので、自分になじむまで繰り返し言ってみなければいけないと思いました。前作のときは、普段から広島弁を使うようにして、せりふにもあった「頑張っていかんと」みたいな気持ちでした(笑)。でも、今回はすごく自信がありました。前回やってたくさん褒められたので、「広島弁は大丈夫だな」みたいな気持ちがありました。それで、今回も、方言の資料を事前に頂いて、練習してから臨みましたし、自信もあったのですが、いざやってみるとやっぱり難しかったです(笑)。
何度も前作を見返して、原作も改めて読み直して、前回自分がどういう状態で臨んでいたのか、という感覚を思い出しながらやりました。せりふも何度も練習しました。自分で見ても違和感がなかったので、うれしかったです。
それが一番のテーマだったのかなと思います。そのことが、よりダイレクトに伝わってくることによって、前作と同じシーンでも、せりふの響きが変わったり、違う印象になったりしていました。その作用がとても面白いと思いました。「こんなに変わるんだ」というのが意外で驚きました。例えば、最後にシラミの子を連れて帰るところは、前作だと「やっとすずさんはお母さんになれるんだ」というところに感動があったのですが、今回は、すずさんが「居場所がない。子どもが産めない」と悩んだり、焦ったりするシーンが加わったことによって、それを経たすずさんが、自分で決意して、自分が母親になりたくて、その子を連れて帰ったんだということがよく分かったので、そのことにとても感動しました。
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