【インタビュー】映画『アースクエイクバード』ウォッシュ・ウエストモアランド監督 「“東京ノワール”と呼べるような、新たなノワールが構築できると思いました」

2019年11月13日 / 10:00

-日本に住んだこともある監督の好きな日本映画や監督は? 今回は大女優の佐久間良子さんも出ていましたね。

 日本映画で存在感を示し続け、三船敏郎をはじめ、偉大な俳優や監督たちとも仕事をしてきた佐久間さんが出演してくれたことは大変な光栄なことでした。撮影中も、楽しい話をたくさんすることができました。僕は小津安二郎の映画が大好きで、僕の『アリスのままで』(14)は親子の物語でもあったので、小津の『東京物語』(53)から多くのインスピレーションを受けました。この映画はノワール的な要素が強いので、ダンスのシーンでは黒澤明の『酔いどれ天使』(48)を意識しました。また、黒沢清の『CURE』(97)や、石井岳龍の『エンジェル・ダスト』(94)など、90年代のノワール的なテイストのある作品にもインスパイアされました。僕の日本文化への興味は、日本映画を通して培ったものが多いです。

-では、最後に映画の見どころと、日本の観客に一言お願いします。

 僕は、この映画は苛烈なものを含んだミステリーだと思います。犯罪を解いていくという側面もありますが、ルーシーの心理に重点を置いて描きました。彼女はつらい経験をたくさんしていて、罪悪感からの解放を求めています。事故や複雑な状況で近しい人が亡くなって、自分が罪悪感を抱えている人は少なくないので、彼女に共感できる部分も多いと思います。観客には、ルーシーのエモーショナルな道のりに気持ちが通じて、一緒に付いてきてもらえればうれしいです。

(取材・文・写真/田中雄二)

Netflix映画『アースクエイクバード』11月15日(金)独占配信開始

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

-堤さんと高橋さんは高橋さんのドラマデビュー作以来のタッグと聞いています。堤さんは高橋さんの吉良上野介にどのような期待を寄せていますか。 堤 ぴったりだと思いますよ。生き馬の目を抜く芸能界で酸いも甘いも知り尽くしていますから。デビューの瞬間 … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

Willfriends

page top