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【インタビュー】『見えない目撃者』高杉真宙「日本ではあまり出会ったことのないタイプのスリラー。自分の進歩を実感できた」

 ある夜、視力を失った元警察官・浜中なつめが遭遇した自動車の接触事故。優れた洞察力でそれが誘拐事件だと確信したなつめは、もう一人の目撃者・国崎春馬と共に真相を追い始める。だが、その先には想像を超えた事態が待ち受けていた…。9月20日から全国ロードショーされた『見えない目撃者』は、緊迫感あふれる語り口と先読みのできない物語が見どころの本格スリラーだ。本作で吉岡里帆演じる主人公なつめに協力する春馬を演じたのは、若手演技派俳優の高杉真宙。大掛かりなアクションにも挑戦したという撮影の舞台裏を聞いた。

高杉真宙

-台本を読んだときに感じた作品の魅力は?

 日本の映画では、あまり出会ったことのないタイプの作品だと思いました。台本を読んでみたら、文字だけなのに、ものすごく追われている緊張感が伝わってきて。そういう作品に出演させていただけることが、とてもうれしかったです。

-ご自身が演じた春馬というキャラクターについて教えてください。

 一見、感情を表に出さず、周囲のことに無関心を装っていますが、実は正義感を内に秘めた高校生です。演じるに当たっては、物語の進行とともに変化していく春馬の内面をきちんと表現したいと考えました。

-演じる上で大事にしたことは?

 台本に描かれている緊張感を、お客さんにきちんと伝えられるように心掛けました。それがうそに見えてしまうと、見ている方も冷めてしまいますから。そのため、現場にも緊張感を持って臨みました。撮影初日のリハーサルで、森(淳一)監督から時間をかけて入念な指導を受けたことも、役をつかむ上で役立ちました。

-春馬は目の見えないなつめと協力して事件の真相に迫っていきますが、コンビという点で心掛けたことは?

 2人がコンビを組む意味について、ずっと考えていました。春馬がなつめさんのどこに共感して協力しようと思ったのか。目が見えないにもかかわらず、正義感を持って真っすぐに突き進んでいくのがなつめさんです。春馬も正義感はあるのに、無関心を装い、事件については見て見ぬふりをしていた。それが、なつめさんの姿を目にしたことで、内に秘めていた正義感が表に出てくる。そういうふうに、なつめさんの影響を受けたことが大きいのかなと。

-アクションにも挑戦していますが、感想はいかがでしょうか。

 今回は、かなり大掛かりなアクションに挑戦させていただきました。今までもやりたいとは思いながらも、なかなか機会がありませんでした。そんな中、今回は思い切りやらせてもらうことができたので、うれしかったです。しかも、これほど大掛かりなものは初めてで、自分で思っていた以上のことができた。「自分はまだまだできる」と知ることができたのも、よかったです。おかげで、僕にとっても進歩が実感できる作品になりました。

-初共演となった吉岡里帆さんの印象は?

 現場でも、ご自身が一番大変な役なのに、周りをよく見て、皆さんにものすごく気を使っていることがよく分かりました。僕に対しても、最初にお会いしたとき、「自分はこうしようと思っているけど、やりづらくないですか」と聞いてくださったり…。おかげで、自分がどうしたらいいのか考えることができました。そういう経験は今まであまりなかったので、うれしかったです。

-目の見えないなつめを演じた吉岡さんのお芝居はいかがでしたか。

 台本を読んだときから、「目の見えないお芝居ってどうするんだろう?」と思っていました。人間は、目から入ってくる情報がものすごく大きいですよね。お芝居の上でも、目で意思を伝えることができますし、「これを見て、何かが起きる」とか「ここからあそこに目線が動いたから、何かが変わった」みたいな目線のお芝居もあります。つまり、目が使えないというのは、お芝居に大きな制約を受けるということ。だから、最初はサングラスでもかけるのかと思ったんです。そうしたら、そんなこともせず、普通に見えないお芝居をしている。しかも、意思もはっきり伝わってくる。すごいな…と驚きました。

-最後に観客へのメッセージを。

 僕だけでなく、この映画に参加したスタッフ、キャストが一丸となって挑戦した映画です。ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ (C)MoonWatcher and N.E.W.

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