『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』来日会見リポート レオナルド・ディカプリオ編

2019年8月26日 / 18:53

 1969年のハリウッドを舞台にした『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(8月30日公開)のクエンティン・タランティーノ監督と主演のレオナルド・ディカプリオが来日し、記者会見を行った。

クエンティン・タランティーノ監督(左)とレオナルド・ディカプリオ

-『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)以来のタランティーノ監督作への出演でした。出演が決まったときの気持ちはいかがでしたか。

 今回はまず、リック・ダルトンという役柄に引かれました。そして監督と一緒にリックの魂の部分をどう作り上げていくかを考えました。この映画は数日間の出来事を描いていますが、落ち目の俳優として何とか時代の流れに付いていこうともがきながら、彼がどう変化していくのかが重要なポイントになります。そして彼のスタントマンを務めるクリフとの友情に加えて、このコインの裏表のような2人の関係の変化も描かれます。その中でとても良かったことは、監督から事前に彼らのバックストーリーを詳細に聞かされていたことです。だからとても演じやすかったのです。

-ブラッド・ピットとの共演について、何か準備はしましたか。

 僕は演じる前にはいつも徹底的にリサーチをするのですが、今回はあまり必要がありませんでした。僕が演じたリックも、ブラッドが演じたクリフも、映画業界の端っこにいて、ハリウッドが変化していく中で取り残されている存在です。僕もブラッドも映画人としては成功しているとは思いますが、周囲を見渡せば、いろいろな人がいるので、リックとクリフが置かれた状況はとてもよく分かります。2人は互いに依存し合っているような関係で、生き残っていくためには互いが必要なのですが、そうした彼らのバックグラウンドを全て監督が事前に説明してくれたので、撮影に入ったときには、彼らのキャラクターについてはほぼ理解していました。

-リックを演じるに当たって大切にしたことは?

 監督同様、演じるに当たってたくさんの俳優たちを参考にしました。この映画についてリサーチしたときに、未知の世界に入り込んだ感じがしました。皆さんご存じのようにクエンティン・タランティーノといえば大変な映画マニアですから、映画に関する知識の宝庫なんです。それでいろいろなドラマや映画を紹介されました。そのときに思ったのが「この映画はハリウッドの祝祭だ」ということでした。みんなが愛したいろいろな作品に関係しながら忘れ去られた俳優たちがいます。今回、リックという役を通して彼らのことを知ると、ハリウッドという魔法の世界の中で、まだ仕事ができているリックはラッキーだという気持ちになりました。今回のリサーチは素晴らしい経験になりました。

-この映画には“ある奇跡”が描かれていますが、自分の身の回りで起きた奇跡はありますか。

 僕はハリウッドで生まれ育ちましたから、俳優でいることがどれだけ大変なことであるかなど、映画業界のことはよく分かります。世界中の人々が夢を抱いてハリウッドにやって来ますが、その夢をかなえることができる人はごくわずかです。僕は幸運にも子どものころからハリウッドにいたので、学校帰りにオーディションを受けることができました。今、俳優としての仕事があるという状況、自分に決定権や選択肢があること自体が奇跡だと思います。この状況には本当に感謝しています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

Willfriends

page top