エンターテインメント・ウェブマガジン
深田 僕はあくまでも男性なので、常にそういった危険性があると思っています。そのため、脚本を書くときは、その人物が男性か女性かということを忘れて、フラットな目線で向き合うことを心掛けています。だから、僕の脚本では「…だわ」といった、いわゆる“女性言葉”は使いません。そうすると、“男性らしさ”、“女性らしさ”から逃れることができ、結果的に「女性のことが分かっている」と言ってもらえたりする。それは、経験則的に学んだことです。
筒井 (共演者の市川)実日子ちゃんとも話していましたが、女性の心情を書ける男性の作家さんがなかなかいない中、深田監督は一気にそこを飛び越えて、「分かる、分かる」と共感できるところに行くんです。そこがすごいな…と。
深田 大きくは時系列順です。まず過去の場面を撮影して、その後に現在。ただ、それぞれの中で撮影が前後する部分も多かったので、演じるのは大変だったでしょうね。
筒井 その辺は、台本に細かく書き込みをしながらやっていきました。市子の微妙な変化や疲弊度合いが大事なので、そこを取り違えてはいけないと思って。例えば「この辺ではまだ花びらが一個落ちた程度だから大丈夫」、「ここでは支えていた“がく”が取れてしまった」、最後は「花びらがなくなって茎だけで立っていたのが、ポキッと折れる」みたいなニュアンスで。疲弊したところを先に撮っていたりするので、それを見ながら「このシーンはこれぐらいかな」と感情を戻していったり…。
深田 実は今回、僕の中では溝口健二監督の名作『西鶴一代女』(52/ベネチア国際映画祭国際賞受賞作)をイメージしていました。あの作品では、田中絹代さん演じる主人公が、高貴な立場から社会的に転落していく様子を延々と追い掛けていく。偉大な映画なので比較するのは恐れ多いことですが、それを筒井さんでやれたのは、本当にぜいたくな体験だったなと。やっぱり、強い俳優でなければできませんから。その中で、感情の変化を見せていく主人公に、筒井さんがどう向き合っていくか。そこに一緒に取り組み、目の当たりにできたことは、とても幸せでした。
筒井 うれしいお言葉です。私の方は、深田監督の映画監督としての幹が、どんどん太くなっていく様子を頼もしく見ていました。その幹に、これからどんな色がついていくのかなと、今後がますます楽しみになってきました。ぜひまたご一緒したいです。
深田 次はぜひ、筒井さんが舞台で培ってきたコメディエンヌとしての実力を生かして、コメディに挑戦してみたいですね(笑)。
(取材・文・写真/井上健一)
ドラマ2026年9月26日
-劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。 実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む
映画2026年9月25日
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(9月11日公開) ニューヨークの貧しい家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)は、貧困と差別から抜け出すため18歳で海兵隊に入隊する。1966年、ベトナム戦争 … 続きを読む
映画2026年9月24日
-クライマックスの「勧進帳」で、歴代の團十郎さんによる弁慶と富樫が重なって映るシーンも、三池監督の発案でしょうか。 團十郎 私からは何も言っていません。三池さんが一生懸命にお作りになって、ああいう形になってよかったと思います。父(十二代目) … 続きを読む
映画2026年9月18日
-お二人は今回が初共演だそうですが、そういう金田一と辰弥の関係をどのように作っていったのでしょうか。 松也 僕のクランクインが、ロケ地の岡山でちょうど奥さんや堀田(真由/森美也子役)さんと3人のシーンでしたので、初日の撮影が終わった後にみん … 続きを読む
映画2026年9月18日
有村 花春ちゃんは、その青さといい輝きといい、本当に今しかないものがしっかりと画面に映っていました。15歳の聡子ちゃんには、まだ名の知れぬ感情がいっぱいある。これからこの子はいろいろな感情を知って大人になっていく。今はそのスタートラインにい … 続きを読む