【インタビュー】「スカム」杉野遥亮「謎めいていたい…」 詐欺師役でキラキラ男子のイメージ打破と意識改革!

2019年6月29日 / 13:25

 数々の学園恋愛映画でイケメン男子生徒役を演じ、女の子のハートをキュンキュンさせている俳優・杉野遥亮。先日放送が終了したNHKドラマ「ミストレス~女たちの秘密~」でも、年上女性と切ないながらも濃厚なラブロマンスを繰り広げて話題を集めた。そんな女性を中心に人気上昇中の杉野が、連続ドラマ「スカム」で初主演を果たすが、そのキャラクターは“オレオレ詐欺グループのリーダー”と、これまでとは毛色が違う。新境地に挑む胸中を聞いた。

杉野遥亮

 初の連ドラ主演を手放しに喜んでいるのかと思いきや、「ある意味、待望でした。ドラマは映画の撮影より密度の濃い時間を過ごせると感じていたので、多角的に現場を見ることができたり、いろんなスタッフ、キャストと話ができて吸収できることが多かったり、何よりも主演なので監督と一番近くで話ができることがうれしいです」と手堅い一面をのぞかせる。

 本作は、鈴木大介の『老人喰い』を原案にした社会派詐欺エンターテインメント。リーマン・ブラザーズの経営破綻により、多くの会社員が失職し、若者の貧困率が高齢者を大きく上回った2009年の東京を舞台に、一流企業から新卒切りをされた上、病に倒れた父親の高額な治療費も重なり、望まずも“振り込め詐欺”に手を染めた若者のいきさつが描かれる。

 詐欺稼業でのし上がる草野誠実(くさの・まこと)役を演じる杉野は「詐欺は決してやってはいけないことだけれど、誠実には誠実なりの信念や正義があるし、社会に対するいらだちや世代間格差から逃れた結果、ここにしかたどり着けなかったのだから、共感する部分もあります」と誠実を思いやり、「最初は、そのギャップを感じながら演じなければいけなかったので大変でした」と難しい役どころであっことを振り返った。

 しかし、次第に誠実が自身に染み込んでいったようで、「グループで詐欺を行うシーンは、チームプレーの一体感もあって感情的になったし、高揚感や楽しさを覚えました」と目を輝かせた。

 クレーンにつるされて叫んだり、怒ったり、泣いたり、感情を爆発させるシーンも多く、これまでの作品では見られなかった姿もアピールする。また、共演者が繰り出す演技に感心すると同時に、「それに対して自分が返す芝居が、台本より色濃く映像に映った瞬間はうれしく、モニターチェックをする時間が楽しみでした」と笑みをこぼした。

 そして、かつてない役柄や作品へのチャレンジにより、「これから進む先に向けて、ギアを一段上げられました。その刺激によって、役者としての向上心や、役柄をもっと貪欲に、もっと深いところまで考えようという意識も芽生えました」と満足気に語った。

 某洗濯洗剤のCMでは、松坂桃李、菅田将暉、賀来賢人、間宮祥太朗ら、人気俳優と共演し、同CM会見時には、一番年下ということもあって弟キャラでかわいさを発揮。バラエティー番組では“天然”らしさが目立つことから、インタビュー中の浮き足立たず、毅然とした態度には少し驚かされたが、本人いわく、基本的に性格は「繊細」なのだとか。

 加えて、「しっかりしなきゃいけないときはしっかりするし、甘えられるときは全力で甘えます」とにっこり。確かに、繊細で変幻自在だからこそ、役に寄り添い、没頭することもできるのだろう。

 そんな杉野に役者としての今後の展望を聞くと、「もうちょっと前に進んだり、大きくなったり、ステップアップしていろんな人に知ってもらいたい野望はありますが、今は目の前にあることを楽しみながら精一杯頑張っていきたいです」と気持ちは穏やかだ。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

 韓国文化の“今”を再構築し続けるKカルチャー。今回は、デジタル空間で物語を紡ぐウェブトゥーンの世界に焦点を当てる。平凡な会社員ユミの頭の中で繰り広げられる細胞の物語――。2015年に連載を開始した「ユミの細胞たち」は、全512話で32億ビ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

Willfriends

page top