【インタビュー】舞台「エダニク」稲葉友 人気戯曲に「出せるものは全部出して挑む」

2019年6月19日 / 12:00

 演出のみならず、映画監督としても高い評価を得ている鄭義信が演出を手掛ける舞台「エダニク」が6月22日から上演される。脚本は、2009年に横山拓也が書き下ろしたもので、第15回日本劇作家協会新人戯曲賞も受賞した人気作だ。主演するのは、映画『春待つ僕ら』、ドラマ「平成ばしる」などでも注目を集める稲葉友。大鶴佐助、中山祐一朗と共に、食肉加工センターを舞台にした会話劇に挑む。稽古真っただ中の稲葉に本作への意気込みを聞いた。

稲葉友

-とても人気のある戯曲、鄭さんの演出ということで、舞台好きにはたまらない作品だと思いますが。

 そうですね。演劇人からのレスポンスがすごかったです。

-最初に戯曲を読んだときに、どんなところに面白さを感じましたか。

 ぐいぐい引き込まれるような、巻き込まれる感覚がありました。食肉加工センターで起きている出来事を描いていて、そこで会話をしている人を見ていたはずなのに、当事者にされているような不思議な気持ちになるというのが最初に読んだときの印象でした。

-稽古が始まり、実際に演じてみて手応えは感じていますか。

 いや、大変です(笑)。鄭さんの演出が加わることで、最初に読んだ印象とは変わることも多くて、食らいついていかなければと思っています。会話のテンポ感も難しいですし…。でも、そのテンポに乗れれば、楽しくなると思うので、まだまだここからどんどん上げていかなければと思っています。

-改めて、稲葉さんが演じる沢村について、現在、どのように捉えていますか。

 屠殺(とさつ)場で働いている人で、20歳そこそこで結婚していて、今、小学生の息子がいるんですが、いろいろと詰めが甘いところや調子に乗っちゃうところがある。人間誰しもそうだとは思いますが、身の回りのことや人を大事にしなければいけないと思っていて、それを体現している人物だと思います。

-本作は「生」と「死」や、動物を殺して食べること、職業差別や職場内での力関係など、さまざまなテーマや問題が含まれている作品だと思いますが、それについてはどう考えていますか。

 確かに多面性がある作品だと思います。雇用問題もありますし、屠殺場というあまりお茶の間向きではない場所を描いてもいます。でも、それだけではなく、家族や親子についても僕が演じる沢村は考えていて、そういったテーマもあります。いろいろなテーマを含んだ作品だからこそ、お客さんが興味を持つ場所もそれぞれにあると思うので、こちらから押し付けるのではなく、自由に感じていただければと思います。

-ちなみに、稲葉さんはどのような問題に関心がありますか。

 普段、僕たちの目に屠殺場などが触れる機会は少ないですが、生きていく上で必要なものなので食肉問題については考えるところはあります。だからといって、僕自身は、お肉を食べることはやめないと思いますし、お肉を食べるたびに深く考えているというわけではありませんが、動物の命の一部を食べているということは忘れてはいけないとは思います。それから、沢村が体現しているように、手の届く範囲が大事だという思いは僕自身も共感できる部分です。例えば家族だったり、友達だったり、仕事だったり、そういった身近なものが大切だという考え方には関心を持てましたし、自分が沢村の立場だったらということはいろいろと考えました。

-稲葉さんは舞台のほかに映像でも活躍されていますが、普段、役作りはどのようにしていますか。

 作品によって役につながるヒントがそれぞれ違うので、そのときによりますが…。生まれた場所や家族構成によって作用する人格があると思うので、そこを深く追求します。原作があるものの場合は、原作を読むことで全貌が分かるときと、原作の要素を取り入れ過ぎてしまうと脚本の中で動きにくくなるときがあるので、難しいバランスではありますが、どういう情報を取り入れればいいのかを考えながら作っていきます。あとは、細かいことをいえば、爪が伸びているのか、きれいにしているのかとか、髪の色がどうなのかという見た目的なこと、歩き方やしゃべり方というところから作っていくことが多いです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【2.5次元】ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 後編 ついに完結へ 阿久津仁愛インタビュー 自信あふれるテニミュ愛「本当にこれが青春」

舞台・ミュージカル2019年11月15日

 ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 後編が、12月19日~24日の東京公演を皮切りにスタートする。青春学園中等部と立海大附属中学校による全国大会決勝戦の戦いを描く本作では、2勝2敗と混戦を極め … 続きを読む

【インタビュー】映画『影踏み』山崎まさよし “俳優”と見られることに「腹をくくった」 尾野真千子 “薄幸役”に自信「見せてやろうじゃない!」

映画2019年11月13日

 「半落ち」「64-ロクヨン-」などの横山秀夫の同名小説を実写映画化した、孤高の泥棒が事件を解き明かす異色の犯罪ミステリー『影踏み』で、プロの窃盗犯として生きる真壁修一役で主演を務めた山崎まさよしと、修一と恋仲の久子役で共演した尾野真千子。 … 続きを読む

【インタビュー】映画『いのちスケッチ』 佐藤寛太 一流俳優との共演を経て高みを目指す

映画2019年11月13日

 福岡県大牟田市に実在する、動物福祉に特化した世界的にも珍しい動物園を舞台に、「命」の物語をつむぐ映画『いのちスケッチ』。主演の佐藤寛太(劇団EXILE)は、これまで恋愛・青春映画に多数出演してきたが、今回は夢破れて故郷に帰るものの、家族や … 続きを読む

【2.5次元】「デスノート THE MUSICAL」高橋颯インタビュー、初ミュージカルに向けた思い「意地でも食らいついてやる」

舞台・ミュージカル2019年11月13日

 2020年1月20日から東京建物 Brillia HALLのこけら落としシリーズとして上演される「デスノートTHE MUSICAL」。夜神月役の村井良大&甲斐翔真に続き、エル役の高橋颯に、作品への思い、そして初ミュージカルへの意気込みを聞 … 続きを読む

【インタビュー】映画『アースクエイクバード』ウォッシュ・ウエストモアランド監督 「“東京ノワール”と呼べるような、新たなノワールが構築できると思いました」

映画2019年11月13日

 1989年の東京で日本人写真家と恋に落ちた外国人女性ルーシー(アリシア・ヴィキャンデル)。だが、やがて彼女は三角関係に心乱され、行方不明だった友人殺しの容疑までかけられる。スザンナ・ジョーンズの同名小説をリドリー・スコットのプロデュースで … 続きを読む

page top