「たくさんの女性アスリートが活躍する今の状況が、感慨深く感じられるようになりました」杉咲花(シマ)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年5月26日 / 20:50

 日本が2度目のオリンピック出場を果たした大正9(1920)年。国内では、着実にスポーツが根づいていく。その一方、まだまだ理解が得られているとは言いがたいのが、女子のスポーツ。そんな中、金栗四三(中村勘九郎)や三島弥彦(生田斗真)と身近に接してスポーツに憧れたシマは、三島家の女中を辞め、東京女子高等師範学校に進学、たった一人でひそかにランニングを続けるが…。日本の女子スポーツの先駆者となるシマを演じる杉咲花が、撮影の舞台裏、今後の見どころなどを語ってくれた。

シマ役の杉咲花

-出演が決まったときの感想は?

 ものすごくうれしかったです。「あまちゃん」(13)が大好きなので、宮藤官九郎さんの脚本で「あまちゃん」のチームが大河ドラマをやるというニュースを聞いたときから「出たい」と思っていました。なので、決まったときは「私も出られる!」と大喜びしました(笑)。

-実際に宮藤さんの脚本で演じてみた感想は?

 あまりに面白くて、台本を読んでいると、声を出して笑ってしまうほどです。でも、自分が演じることを考えると、「この面白さを見ている方にきちんと伝えられるだろうか?」と怖くなります。それぐらい面白いです。こんな気持ちになったのは初めてなので、毎回緊張します。

-役作りはどのように?

 シマは架空の人物なので、参考になる資料は多くありません。その代わり、役をつかむ上で役立ったのは、初めて撮影に参加した三島家のパーティーの場面(第1回)です。嘉納(治五郎/役所広司)先生に水がかかるシーンなどを演じているうちに、「意外におてんばだな」と感じて…。監督から「もっと自由に演じていい」と言われたので、天狗倶楽部のポーズをまねたりもしてみました。そのときは一気に長回しで撮っていたので、自分が撮られていることに気付きませんでしたが、完成した映像を見たら、それが使われていて…。そういうところから、徐々にキャラクターが出来上がっていった感じです。

-シマは走る場面もありますが、トレーニングはいかがでしたか。

 先生に教わってやりましたが、普段の走り方とはまったく動作が違うので、大変でした。ものすごい筋肉痛になりました(笑)。四三さんと同じ「スッスッ、ハッハッ」という呼吸法も、慣れないので難しかったです。

-シマの生き方に大きな影響を与える三島弥彦役の生田斗真さんと共演した感想は?

 生田さんとの場面はまとめて撮影したので、実はご一緒した日数はそれほど多くありません。私も緊張していて、あまりお話しもできませんでしたし…。ただ、一度だけものすごく撮影に時間がかかったことがあり、終わった後に「お互い、よく乗り越えた!」という感じで力強く握手をしてくださったんです。言葉以上に通じ合えた気がして、とてもうれしかったです。

-四三役の中村勘九郎さんの印象は?

 本番になると、完全に四三さんにしか見えません。役に成り切ったその様子を見ていると、「私はきちんとシマになっているのだろうか…?」と自分を疑ってしまうぐらいです。勘九郎さん自身はとても優しい方です。初めてご一緒したときは、放送中だった私の連ドラを見てくださっていたので、うれしかったです。撮影で忙しい中、気を使っていただいて…。

-序盤は熱い男性たちが数多く登場しましたが、最近は女性も増えて、雰囲気が大分変わってきましたね。

 とても華やかになりました。それぞれ力強くて頑固なところがある女性たちなので、おしとやかな雰囲気もありつつ、これから一筋縄ではいかない険しい道のりを乗り越えていくことになるんだろうな…と。みんなが集まった場面では、そんなことを感じました。現場的にも、最初の頃は女性が少なくて緊張しましたが、同年代の方や共演経験のある方が増えてきたので、私もリラックスできるようになり、ホッとしています(笑)。

-シマは今後、教師になって後進の指導に当たるようですが、演じてみた感想は?

 ものすごくドキドキしました。教師役は初めての上に、生徒役の中には年上の方もいたので、私の方が子どもに見えないかと心配で…(笑)。ただ、気にし過ぎてそういう不安が表に出てはいけないので、一緒にいる勘九郎さんの姿を参考に、自信を持って演じるように心掛けました。

 
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