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先に行われた第91回アカデミー賞授賞式で、作品、脚本、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)を受賞した『グリーンブック』のピーター・ファレリー監督が来日し、インタビューに応えた。本作は、黒人ピアニストのドクター・シャーリー(アリ)と、イタリア系白人のトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)という、異なる世界に住む2人の旅の様子を、実話を基に、ユーモアとペーソスを交えて描いたロードムービー。これまでコメディー映画を中心に撮ってきたファレリー監督が新境地に挑んだ作品でもある。
(日本語で)ありがとう。仲間たちはもうジェラシーの塊です(笑)。まさかオスカーを受賞するなんて思ってもいなかったので、自分でも驚いたけど、友人たちはもっと驚いている感じです。これは本心ですが、この映画を作っているときに、オスカーのことなんて考えたこともありませんでした。もともと僕はコメディー映画を作ってきたけど、コメディーはオスカーとはあまり縁がないので遠い存在でした。なので、「もしかすると…」と、意識し始めたのは授賞式の2カ月ぐらい前からでした。
授賞式の後は、人々がまるで動物園のように押し寄せてきて、「こんなモブシーンは見たことがない」という感じだったので、2人と会話はできませんでした。なので、数日後に改めて集まって話をしました。2人とも素晴らしい人間性の持ち主ですし、出会った瞬間から馬が合いました。映画作りの最中は、互いに絆ができるものですが、この映画では特に深いものができました。みんなで「いろいろあったけど、この映画を作って本当に良かったよね」と話をしました。
ただ、この仕事の寂しいところは、撮影中は何カ月も一緒にいるのに、撮影が終わったら、例えば、ヴィゴはスペインに戻り、マハーシャラは次の撮影のためにアーカンソーに行き、私は家に帰りと、まるで学校の卒業のように、毎日会っていたのに急に会えなくなってしまうことです。『メリーは首ったけ』(98)のキャメロン・ディアスとも、撮影後は10回ぐらいしか会っていません。
確かにこの映画は、全く個性の異なる2人のキャラクターが、旅を通して共通点を見つけていく話です。例えば、シャーリーがYMCAで警官に捕まり、それをトニーがお金で解決した翌日、シャーリーがトニーに謝罪すると、トニーが「こんなことは俺が勤めていたナイトクラブでは珍しくない。世の中は複雑なものさ」というシーンがあります。あの瞬間からトニーは、シャーリーが、自分が黒人に対して抱いていた一元的なステレオタイプのイメージの人ではなくて、多面的な人物だと思い始めます。そして、そこから互いに変化し、成長していったのです。
誰もが初対面の相手には先入観を持ってしまいますが、その人を知るに従い、実際はそうではなく、もっといろいろな面を持った人だと知るわけです。それはこの映画の2人にも言えることだし、僕はこの物語のそういうところに引かれたんです。
特にありません。僕が今まで作ってきた映画、例えば『ジム・キャリーはMr.ダマー』(94)にも、『キングピン/ストライクへの道』(96)にも、『メリーに首ったけ』にも、少なからずロードムービーの要素がありますから。僕自身、車で旅をするのが大好きなのですが、車で移動するという環境は、非日常なので、自分はアウトサイダー的な立場になるし、相手に対してもオープンな気持ちになれると思います。だから僕はロードムービーが好きなのかもしれません。「ロードムービーを作ろう」といつも意識しているわけではないのですが、「ロードムービー」と聞くと「それ、いいかもね」となるところはあります(笑)。
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