【インタビュー】『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』矢野聖人 舞台「身毒丸」から8年…イメージを覆す好青年役に自信

2018年11月9日 / 16:33

 注目すべきはクジラの調教シーン。吹き替えなしで全て自分で行ったというが、「それほど難しくはなかったです」とサラリといってのける一方、「自分の指示に自信がなかったり、クジラの機嫌が悪かったり、おなかがいっぱいだと言うことを聞いてくれないので、そういう部分では大変でした」と思い返した。

 本作を通じて、「最近は、殺人犯とか主人公の敵といったダークな役か、コメディーかの両極端が多かったので、爽やかで天然な青年役という初めてのジャンルで引き出しが増えました」と喜ぶ矢野は、「主役を担う責任とか重大さを感じることができてよかったです」とも。

 さらに、犯人役が多いことから、「学生の頃から『影がある』とよく言われたし、僕に求められているイメージはこれなんだなと捉えて、そのニーズに応えたい」と意気込んだ。その半面、「もちろん、女性にモテる役もやりたい」とにこやかに話すと、「まだやったことのないジャンルだし、僕のことを知らない若い年代に知ってもらうためには、キラキラしたものに出演することがいい」と策略家の一面ものぞかせた。

 とはいえ、今一番興味があるのは「映画『告白』(10)を見て、すごいと感動した」という中島哲也監督。“キラキラ”とはテイストが違うことを指摘すると、「そうですよね。やったことがないから、キラキラ系の監督が分からないです…」とはにかむが、その笑顔は、好青年もイケメン役も十分にはまるほど魅力的だ。過酷で有名な蜷川の舞台を経て、さまざまな壁も乗り越えてきたのであれば、新たな夢をかなえる日もそう遠くはないだろう。

(取材・文・写真/錦怜那)

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