「半次郎にとって、西郷先生は神以外の何者でもありません」大野拓朗(中村半次郎)【「西郷どん」インタビュー】

2018年9月16日 / 20:50

-かわいらしさという点では、川路利良(泉澤祐希)とのコンビも、ボケとツッコミのような雰囲気があります。

 対極のキャラクターですからね。川路は感情をあまり表に出さず、冷静で知的なタイプですが、半次郎は突っ走るタイプ。第34回では、西郷先生をたたえようとして言葉が出て来ず、川路が教えてくれたのに、それを自信満々に間違えて突っ込まれる、みたいなシーンがありましたが、本当に漫才をやっているような感覚でした。亮平さんが「笑いをこらえるのに必死だった」と言ってくださったのもうれしかったです。1年間、漫才師の役(「わろてんか」のキース)をやってきてよかったなと(笑)。

-その一方で“人斬り”と呼ばれた半次郎は、殺陣も見せ場になりそうですね。

 初登場の第27回が大きな見せ場でした。「軒先から雨粒が落ちる間に、3回抜刀して納刀した」という逸話のオマージュで、雨粒が落ちる間に、木刀で3人を倒すというシーンがありました。

-練習も入念に?

 僕自身、剣道をやっていましたし、時代劇アクションも経験はありますが、刀を使った本格的な殺陣は今回が初めて。だから、できるだけカッコよく、勇ましくしたいと、殺陣師の先生に教わりながら、自宅でも練習を積み、満を持して本番に臨みました。もっと練習したかったところですが、あの時点でのベストは尽くせたかなと。子ども時代の半次郎(中村瑠輝人)も殺陣がカッコよかったので、みなさんに「あの半次郎が成長して帰ってきた」と思ってもらえるようなシーンになっていたらいいです。

-“人斬り”という言葉には、“勇ましさ”と同時に“冷酷さ”という雰囲気も漂います。そのあたりはどうお考えでしょうか。

 敵に相対したときは、そういうものを出していきたいです。「こいつと目を合わせたら危ない」と思わせるように。そうすれば、普段の“かわいらしさ”とのギャップが出て、よりキャラクターが引き立ちますから。実は半次郎の役作りは、動物のピューマを参考にしているんです。役作りのためにネットでいろいろ調べていたとき、たまたまたどり着いたのがピューマの画像。獲物を狙うときの顔はものすごくカッコいいのに、普段の甘えたような表情はすごくかわいらしい。それを見たら、「これ、半次郎だ!」と思って。それからひたすら画像検索を繰り返して、ピューマが目標になりました(笑)。

-大野さんは「好青年」というイメージが定着していますが、そういう意味では今までと違った表情が見られそうですね。

 それが僕にとって今回の一番のテーマです。“かわいらしさ”は今までも得意な部分でしたが、半次郎として生きる上ではそれ以上に強さがほしい。この役を通してそういうものを身に付け、皆さんに見ていただけるように頑張ります。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

-堤さんと高橋さんは高橋さんのドラマデビュー作以来のタッグと聞いています。堤さんは高橋さんの吉良上野介にどのような期待を寄せていますか。 堤 ぴったりだと思いますよ。生き馬の目を抜く芸能界で酸いも甘いも知り尽くしていますから。デビューの瞬間 … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

Willfriends

page top