【インタビュー】『きらきら眼鏡』池脇千鶴「見終わった後、皆さんの心が温かくなってもらえたら」

2018年9月7日 / 14:24

-明海役の金井浩人さんの印象は?

 明海役が決まる前は、「どういう人が来るのかな?」と楽しみにしていました。決まったと聞いて写真を見せてもらったら、目に深い闇を抱えているように見えたので「すごくいいな」と感じたことを覚えています。やっぱり、人間を演じるには深みが必要ですから。いい目をした人に決まってよかったな…と。

-実際に金井さんとお芝居をしてみた印象は?

 “新人”というお話でしたが、一体どこが新人なんだろうと(笑)。いわゆる“新人”とは違い、ちゃんと出来上がっている人で、お芝居もとても上手。完成した映画を見たときも、なんでこんなに普通にしゃべれるんだろうと、改めて驚いたぐらいです。わざとらしさが一切なく、映画を見ていて、気分をそがれることが全くない。素直に、明海くんとして見続けてしまう。「どんなことを言うんだろう?」という感じで、吸引力がすごかったです。

-映画本編はワンシーン、ワンカットの長い場面が多かったですが、演じてみていかがでしたか。

 「これで決めちゃうんだ、カッコいい!」と思いました(笑)。演じる側としては、ワンシーン、ワンカットは、怖さや緊張感もありますが、一つのお芝居をじっくり見てもらえるといううれしさがすごくありました。

-撮影で最も苦労した点は?

 肉体的、技術的に一番大変だったのは、明海くんと一緒に服を着たまま海に入るシーン。そこも長回しで撮ったのですが、感情を爆発させる場面でもあったので、何度もやるのは大変なんです。その都度、衣装を替えなければいけないという問題もありますし…。最初は、アングルを変えて2回撮る予定だったのですが、監督とカメラマンさんが話し合い、1回で収めてくれました。ちょうどいい具合に波も来て、うまく撮ってくれたので、とても助かりました。

-ちなみに、この映画の他にも『そこのみにて光輝く』(14)など、池脇さんは海に入ることが多い気がしますが…。

 そうなんです。他の映画やドラマでも、着衣のまま海に入ることがすごく多くて…。自分でも「よく海に入るなぁ…」と思っています(笑)。金井くんからも「池脇さん、毎回、海に入っていませんか?」と言われました(笑)。

-観客には、この映画をどんなふうに受け止めてもらいたいですか。

 とても優しい映画です。悲しい部分もあるけど、それほど重苦しいわけではなく、どこか晴れ晴れとして、気持ちが浄化される…。そんな作品になっているので、見終わった後、皆さんの心が温かくなってもらえたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)森沢明夫/双葉社 (C)2018「きらきら眼鏡」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(2)大阪下町に生まれて

舞台・ミュージカル2025年8月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼講談は落ちない  「今日の話はオ … 続きを読む

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。  奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む

上田竜也&橋本良亮、舞台初共演を通して「絆はより強固になる」 音楽劇「謎解きはディナーのあとで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月26日

-皆さんの歌唱シーンもあるのですか。 橋本 それはもちろん、ちょくちょくあります(笑)。歌います。アンサンブルの方と一緒に歌うシーンもありますが、ミュージカルではないんです。バックに流れていて、それに合わせて芝居していくという形だと思います … 続きを読む

青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年8月25日

 また、原作から得た気付きも大きいという。「原作には、読者の感情を揺さぶる瞬間が描かれています。それがどこにあるのかを探りながら、ドラマにもそのエッセンスを取り入れるようにしています」。  原作の短編では、百々がさまざまな医療機関を受診して … 続きを読む

中園ミホ 連続テレビ小説「あんぱん」は「やなせたかしさんが書かせてくださった」執筆を終えた脚本家が物語を振り返る【インタビュー】

ドラマ2025年8月22日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む

Willfriends

page top