近年、若手バイプレーヤーとして数々の話題の映画やドラマに出演している俳優・矢本悠馬。本作では、永野芽郁演じるヒロイン鈴愛の同級生ブッチャー(西園寺龍之介)役でコメディーパートを担い、Twitterでは「ブッチャー」がトレンド入りするほどの話題を集めている。後半に突入しても冷めやらない“ブッチャー熱”をたぎらせる矢本が、役に込めた思いや、撮影時のエピソード、今後の見どころなどを語ってくれた。
-3作連続(「てるてる家族」(04)、「花子とアン」(14)、本作)でお坊ちゃまの役ですが、今回はどのようなキャラクターとして自分の中に落とし込みましたか。
いじられキャラですね。見た目は派手だし、抜けているところもあるけど接しやすいっていう、学校に一人はいるタイプです。演じる上では、温かみがあって器が大きく、全体的に丸みがある人をイメージしました。ブッチャーが出ることで、お茶の間が明るくなればうれしいです。
-ご自身と重なるところはありますか。
強がりで、突っ張ったりしているところは似ていないけど、自分の言葉にうそがなく、思ったことを言っちゃう素直なところは似ているかな。
-役作りで特に意識しているところはどこですか。
明るい性格で、コメディーパートを担っているので、他のキャラクターよりアップテンポでリズムよくしゃべることは心掛けています。ただ、毎回出番があるわけではないので、たまに撮影に行くと、監督から「(テンポが)遅くない?」と言われたこともあります(笑)。
-東京編ではほとんど出番がありませんでしたからね。“ブッチャーロス”に陥った視聴者も多かったでしょう。
たまに出たときにTwitterで騒がれると、忘れられていないことや、受け入れてもらえていることが分かるし、役者としてインパクトが残せていると実感できてうれしいです。ただ、画面に出ていない間のブッチャーを、皆さんが勝手にイメージして、知らないところで独り歩きしているので、皆さんの想像力に勝つ“ブッチャー感”を出さなければいけないことは楽しくもあり、いっぱいいっぱいでもあります。
-いよいよラストスパートですが、“ブッチャー感”を出し切れそうですか。
もう終わるんだ…という寂しさと、まだブッチャー熱あるよ!という気持ちがあります。不完全燃焼と言ったら申し訳ないけど、スピンオフで菜生(奈緒)との関係をしっかり描くとか、まだやり続けたいです。人気が高ければできるかもしれないので、投票とかしてほしいです。
-とてつもない“ブッチャー愛”ですが、他の作品でも不完全燃焼だと感じたことがあるのでしょうか。
ないです。今までは完全燃焼していたけど、ブッチャーに限っては「もっと見て!」という思いが強く、燃料がまだ余っている感じです。彼が持つ刹那の爆発力が大好きです!
-そこに菜生も引かれたのか、突然の結婚でしたね。
北川(悦吏子)先生とふくろう会のメンバー(永野、佐藤健、奈緒)と食事をしていたときに、奈緒が「ブッチャーと結婚するのも面白い」と言っていたし、僕も「イメージが湧きます」と話していたけど、台本をもらったときはびっくりしました。それまで2人の関係が描かれていたわけでも、結婚する伏線もなかったので。ただ、一緒にいることが当たり前になっていたので、ブッチャーとしては、プロポーズを迫られた瞬間に、「当たり前や、こんなに大事な人を失うことは僕の人生では絶対にない!」という確信と覚悟を持ちました。
-北川さんが手掛けた大ヒットドラマ「ロングバケーション」(96)の名シーンの再現にも驚きました。矢本さんが木村拓哉さん、奈緒さんが山口智子さんに成り切っていましたが、感想は?
最初は自分が演じるとは知らなくて、リハーサル日にいきなり分かったんです。5~6分ほどの長尺で、結構なせりふ量を覚えるのは大変だったし、木村拓哉さんを演じるなんて衝撃的だから、まず木村さんに「申し訳ない」と心の中で謝って、完コピで頑張りました。なのに全然使われていなくて…。『半分、青い。』の撮影で初めて奈緒と練習して、一番自信のある芝居だったからショックでした(笑)。
-怒濤(どとう)の展開、斬新な演出で目が離せない本作ですが、今後のブッチャーの注目ポイントを教えてください。
ブッチャーが精神面で大人になっているところです。以前は律(佐藤)一筋だったけど、今は菜生が一番大事だし、鈴愛の悩みも聞いてあげられるようになりました。あとは、ブッチャーと菜生の個性がパワーアップして、ボケ数が増えているから夫婦漫才みたいになっています。それがいちゃついているように見えるので、朝から幸せになれると思います!
(取材・文/錦怜那)