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「新しい扉を開けたような気がしました」一番の悩みの種の“物まね”にもおくさず挑戦! 原田知世(萩尾和子)【「半分、青い。」インタビュー】

 優雅でおっとりとした雰囲気を持ちながら、さばけた性格で人情味にあふれる律(佐藤健)の母親“和子さん”を演じている原田知世。かわいくふんわりとしたキャラクターは原田そのもののようだが、初めての経験でもあり、女優として「新しい扉を開けたような気がした」という。そんな和子さんの魅力や今後の見どころ、さらに、ファンのひそかな楽しみとなった“物まね”にまつわるエピソードなどを語ってくれた。

萩尾和子役の原田知世

-和子さんのかわいらしい魅力に朝から癒やされている視聴者も多いですが、そんな和子さんを演じてみての感想は?

 とても楽しみながら演じさせてもらいました。こういうコメディータッチの役はやったことがなかったけれど、北川(悦吏子)さんの当て書きなので、きっとすてきな物語で、和子さんも筋が通った面白いキャラクターになると思っていました。実際、最初のシンディ・アイズの『バニーリバー最後の事件』を読んでいるシーンは、怖い小説なのに楽しそうにしていて、それだけではっきりと普通のお母さんではない和子さん像が描き出されていて驚きました。

-当て書きということで、ご自身とリンクするところもありますか。

 北川さんとご一緒するのは今回が3作目で、脚本を書かれる前に、谷原(章介)さんとの夫婦像を見たいということで、お食事に誘っていただきました。それ以前にも、ラジオで対談をさせてもらったり、私のライブにも来てくださったり、その時々の私のいろんな面を見ていらしたのかな…と思うところはあります。ただ、私と和子さんはやはり違うキャラクターなので、北川さんの「こういうキャラクターを演じさせてみたい」という考えも入っているのかもしれません。新しい扉を開けたような、一つハードルを越えたような気がします。

-反響が大きかった「金八先生」や「ゴア」の物まねも新境地だったのではないですか。

 和子さんはピアノを弾いたり、お菓子を作ったりする上品な人ですけど、たぶんテレビを見ることも好きで、いろんな人の物まねをやって、弥一さんや律に「ねぇねぇ」と見せているところが想像できたので、物まねはちゃんとやらなきゃと思いました。でも、金八先生の物まねはハードルが高くて、台本を読んだときから一番の悩みの種でした。

-物まねタレントの原口あきまささんに教えてもらったそうですね。

 原口さんに物まねを見せてもらうだけでも感激なのに、教えてもらえるなんてすごくうれしかったです。これまでやったことがないであろう金八先生やゴアを、その場で資料を見てすぐに形にされていたので、さすがだと思いました。

-どのようなレクチャーを受けて、どれくらい練習をされましたか。

 原口さんからは「恥ずかしいと思わないこと。それだけですから」と言われたので、それを胸に、家に帰っても暇さえあれば録画したものを見ながらず~っと練習していました。喉の「ここ!」という位置から声を出さなければいけないので、微妙なところを探りながらやっていました。

-今後も物まねシーンはあるのでしょうか。

 う~ん、そうですね…。この間、監督に突然「やってみて」と言われてびっくりしたんですけど、それは誰もがすぐにできるものなのでやってみました(笑)。

-和子の長い人生を演じる上で意識したことは何ですか。

 前半は20代なので、声のトーンを高めにして、後半は病気になっていることもあり、ゆったりした動きにしています。ただ、このドラマは15分の中で、すごく泣かされても、その後にクスッと笑えて温かい気持ちで終わるところが持ち味ですよね。それに、和子さんの役割は後者の明るい方なので、シリアスになり過ぎず、見ている方の気持ちをふっと上げられるようなさじ加減で演じました。

-息子である律や、演じる佐藤健さんの印象はどうでしょうか。

 和子さんはフワフワと夢見がちで、娘のままお母さんになったような人だから、律は逆に落ち着いていて、年齢が上がるにつれて、お母さんや鈴愛ちゃん(永野芽郁)のことを穏やかに見つめる人になっていると思います。健さん自身も年齢よりも精神的な部分が成熟しているように感じます。それから目が印象的で、あまりしゃべらなくても相手の心を静かに見つめるまなざしが普段もお芝居のときにも見られて、それが律であり、健さん自身の魅力だと思いました。

-夫役の谷原さんはいかがですか。

 序盤の萩尾家を紹介するシーンの撮影で、弥一さんと和子さんが写真館の中で「いらっしゃいませ」と言ったときに、谷原さんの声とたたずまいがダンディーですてきで、そのワンカットだけで「こんなふうにやればいいんだ…」と2人の世界観が見えた気がしました。新しい現場ではいろんな方がいて、特に朝ドラは人が多くてどうしていいか分からない瞬間があったり、打ち解けるまでに時間がかかったりしますが、2作目の共演で、人としてもすてきな谷原さんがいると、いつも安心して現場に入れました。谷原さんが弥一さんで良かったし、弥一さんがいたから和子さんが成立したと思います。

-最後に、クライマックスに向けての見どころを教えてください。

 夫婦の愛情、母としての律への思い、そして、性格は全然違うけど、同じ子どもを持つ身として、信頼し合い、どちらかが弱ったときには支える関係をずっと続けながら一緒に年を重ねてきた晴さん(松雪泰子)との深い絆で結ばれた友情を見てください。

(取材・文/錦怜那)

夫婦役の原田知世(左)と谷原章介

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