【インタビュー】『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ監督「この映画は、私自身の映画に対する愛を込めて作りました」

2018年2月26日 / 12:00

-衣装や美術へのこだわりについてはいかがでしょうか。

 映画には、カメラワーク、装置、衣装、いろんな部分がありますが、全ては“一つのもの”を作るためにあるのです。例えば、いくら照明が美しくても、他の何かの要素が一つでも欠ければ台無しになります。今回の映画を“的”に例えると、中心にクリーチャーがいて、その周りをカメラ、装置、衣装などが囲んでいます。そして観客がクリーチャーが存在することに違和感を抱かないように、みんなで力を合わせて作っていかなければなりません。それをまとめるのが監督の仕事なのです。

-水のシーンには苦労しましたか。

 実は、オープニングとエンディングのシーンの撮影では、水は一滴も使っていません。「ドライ・フォー・ウエット」という古い演劇の手法を用いています。まず、部屋全体に煙を充満させます。次に、俳優も大道具も、全てを操り人形のようにしてワイヤでつります。そこに送風機で風を送って、水中にいるかのようにします。そしてビデオプロジェクターで水のエフェクトを投射し、カメラはスローモーションで撮ります。俳優は水中での動きのリハーサルを何度もします。ただ、バスルームのシーンだけは、実際に水中で撮影しています。ですから、今回は二つの手法を使ったわけですが、それぞれに苦労はありました。

-本作に、どんな思いを込めたのでしょうか。

 この映画は、ラブソングのようなイメージと音で、シンフォニーを奏でているような感じにしたいと思いました。例えば、車を運転しているときに、とてもいいラブソングがかかって、ボリュームを上げて自分も歌い出すような気分を感じてほしいと思いました。
 それから、この映画は、私自身の映画に対する愛を込めて作りました。ただ、それは偉大な巨匠の映画ではなく、メキシコでいうところの“日常シネマ”です。自分がどん底まで落ち込んだときに、何の気なしに見た喜劇やメロドラマやミュージカルで気持ちが上がることがあります。そういう映画にこそ、私は愛を感じます。また、そういう映画こそが観客と映画をエモーショナルな部分でつなげるのだと思います。

-最後に、日本の観客に向けて一言お願いします。

 メキシコのきょうだいを助けると思って、ぜひ映画館に見に行ってください(笑)。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2017 Twentieth Century Fox

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

相葉雅紀「チームメイトの障がい者の皆さんから、ものすごい熱量を感じました」黒島結菜「相葉さんは本物の野球チームの監督のようでした」実際の障がい者たちとも作り上げた奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』【インタビュー】

映画2026年11月3日

-お話を伺っていると、参加した皆さんが一丸となって作り上げたすてきな現場だったことが感じられます。 相葉 原作・脚本の平山讓さんは、取材から含めて30年くらいこの作品と向き合っていますし、稲垣(壮洋)監督も何年もの時間をこの作品に費やしてい … 続きを読む

山崎育三郎「一番、自分に近い存在」 ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が伝える「解釈力」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月31日

-改めて、この作品の魅力はどんなところにあると感じていますか。  僕は、生きていく中で「解釈力」が大事だなと思っています。生きているといろいろなことが起きますよね。大変な状況や苦しいこと、大失敗もある。でも、起こった事実は変えられなくても、 … 続きを読む

【映画コラム】10月の公開映画から

映画2026年10月31日

「クジラに落ちた男」(16日公開)★★★ 父を知り、父を乗り越える  巨大なマッコウクジラに丸のみにされた17歳のジェイ(オースティン・エイブラムス)が、亡き父の教えを頼りに脱出を図る。ブライアン・ダッフィールド監督が描くのは、「ピノキオ」 … 続きを読む

柳楽優弥「川栄さんと真剣に作品に向き合ってきた」川栄李奈「柳楽さんを信頼しています」共演4度目の2人が伝説的作品に挑む『RYUJI 竜二』【インタビュー】

映画2026年10月30日

-以前お話を伺った際、柳楽さんはご自身のお芝居について「以前は自分を役に寄せていくやり方をしていたが、『浅草キッド』の後からは、自分のパーソナルな部分を役に反映させて演じるようにしている」というお話をされていました。今回、竜二という役に対し … 続きを読む

横浜流星に「流星をよろしく」の声続々 『国宝』脚本家・奥寺佐渡子が「LOST10」で感じた愛される人柄【インタビュー】

ドラマ2026年10月30日

-小駒と直の掛け合いで工夫したことはありますか。  小駒と直は年齢も職業も育ちも違い、仲良くなれる要素も、バディになれる要素も全くないと思ったので、まず2人の共通点を考えました。刑事も保険調査員も、被害者や遺族が一日でも早く安心できるように … 続きを読む

page top