エンターテインメント・ウェブマガジン
映画には、カメラワーク、装置、衣装、いろんな部分がありますが、全ては“一つのもの”を作るためにあるのです。例えば、いくら照明が美しくても、他の何かの要素が一つでも欠ければ台無しになります。今回の映画を“的”に例えると、中心にクリーチャーがいて、その周りをカメラ、装置、衣装などが囲んでいます。そして観客がクリーチャーが存在することに違和感を抱かないように、みんなで力を合わせて作っていかなければなりません。それをまとめるのが監督の仕事なのです。
実は、オープニングとエンディングのシーンの撮影では、水は一滴も使っていません。「ドライ・フォー・ウエット」という古い演劇の手法を用いています。まず、部屋全体に煙を充満させます。次に、俳優も大道具も、全てを操り人形のようにしてワイヤでつります。そこに送風機で風を送って、水中にいるかのようにします。そしてビデオプロジェクターで水のエフェクトを投射し、カメラはスローモーションで撮ります。俳優は水中での動きのリハーサルを何度もします。ただ、バスルームのシーンだけは、実際に水中で撮影しています。ですから、今回は二つの手法を使ったわけですが、それぞれに苦労はありました。
この映画は、ラブソングのようなイメージと音で、シンフォニーを奏でているような感じにしたいと思いました。例えば、車を運転しているときに、とてもいいラブソングがかかって、ボリュームを上げて自分も歌い出すような気分を感じてほしいと思いました。
それから、この映画は、私自身の映画に対する愛を込めて作りました。ただ、それは偉大な巨匠の映画ではなく、メキシコでいうところの“日常シネマ”です。自分がどん底まで落ち込んだときに、何の気なしに見た喜劇やメロドラマやミュージカルで気持ちが上がることがあります。そういう映画にこそ、私は愛を感じます。また、そういう映画こそが観客と映画をエモーショナルな部分でつなげるのだと思います。
メキシコのきょうだいを助けると思って、ぜひ映画館に見に行ってください(笑)。
(取材・文・写真/田中雄二)
2026年9月29日
K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む
映画2026年9月29日
-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。 とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年9月29日
向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む
ドラマ2026年9月28日
-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。 厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただ … 続きを読む
ドラマ2026年9月26日
-劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。 実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む