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映画には、カメラワーク、装置、衣装、いろんな部分がありますが、全ては“一つのもの”を作るためにあるのです。例えば、いくら照明が美しくても、他の何かの要素が一つでも欠ければ台無しになります。今回の映画を“的”に例えると、中心にクリーチャーがいて、その周りをカメラ、装置、衣装などが囲んでいます。そして観客がクリーチャーが存在することに違和感を抱かないように、みんなで力を合わせて作っていかなければなりません。それをまとめるのが監督の仕事なのです。
実は、オープニングとエンディングのシーンの撮影では、水は一滴も使っていません。「ドライ・フォー・ウエット」という古い演劇の手法を用いています。まず、部屋全体に煙を充満させます。次に、俳優も大道具も、全てを操り人形のようにしてワイヤでつります。そこに送風機で風を送って、水中にいるかのようにします。そしてビデオプロジェクターで水のエフェクトを投射し、カメラはスローモーションで撮ります。俳優は水中での動きのリハーサルを何度もします。ただ、バスルームのシーンだけは、実際に水中で撮影しています。ですから、今回は二つの手法を使ったわけですが、それぞれに苦労はありました。
この映画は、ラブソングのようなイメージと音で、シンフォニーを奏でているような感じにしたいと思いました。例えば、車を運転しているときに、とてもいいラブソングがかかって、ボリュームを上げて自分も歌い出すような気分を感じてほしいと思いました。
それから、この映画は、私自身の映画に対する愛を込めて作りました。ただ、それは偉大な巨匠の映画ではなく、メキシコでいうところの“日常シネマ”です。自分がどん底まで落ち込んだときに、何の気なしに見た喜劇やメロドラマやミュージカルで気持ちが上がることがあります。そういう映画にこそ、私は愛を感じます。また、そういう映画こそが観客と映画をエモーショナルな部分でつなげるのだと思います。
メキシコのきょうだいを助けると思って、ぜひ映画館に見に行ってください(笑)。
(取材・文・写真/田中雄二)
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