【インタビュー】『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ監督「この映画は、私自身の映画に対する愛を込めて作りました」

2018年2月26日 / 12:00

 米ソの冷戦下の1962年、政府の極秘機関で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)と、人間ではない不思議な生き物との究極の愛を描いた『シェイプ・オブ・ウォーター』が3月1日からロードショー公開される。公開を前に、メキシコ人監督のギレルモ・デル・トロが来日し、本作への熱い思いを語った。

ギレルモ・デル・トロ監督

-今回、ファンタスティックなラブロマンスを描こうと思ったきっかけは?

 異質なものや異種のものを恐れている、愛や感情があまり感じられない今の時代にこそ、こうしたストーリーが必要だと感じました。ただ、設定を現代にすると、なかなか人は耳を傾けてはくれません。それならば、寓話(ぐうわ)やおとぎ話のようにして語れば、聞く耳を持ってくれるのではないか、と考えました。

-時代背景を1962年にした理由は?

 トランプ大統領は「もう一度アメリカを偉大な国にしよう」と言いましたが、その出発が1962年なのです。第2次大戦が終わり、アメリカはとても裕福になり、将来に希望を持っていました。ところがその裏では、冷戦があり、今と変わらぬ人種や性差別もありました。また、今日も映画業界は衰退していっていますが、62年もテレビに押されて映画が衰退していた時代でした。そうした意味では、今ととても似ていると思い、62年を背景にしました。

-それぞれのキャストについては、どう思いましたか。

 私はキャスティングは目で決まると思っています。その意味では、今回の主要キャストは、それぞれが違う目で音楽を奏でてくれました。この映画の主人公の女性は、カタログから飛び出してきたような、若くてきれいな人ではなく、30代後半の、バスで隣に座っているような、普通の人。けれども、輝きや不思議な部分も持っている。そんな女性として描きたかったのです。サリー・ホーキンスはまさにそのイメージにぴったりでした。
 いい俳優とは、せりふをうまく言う人だと思われがちですが、実はサリーのように、よく聞き、よく見る人が、いい俳優なのです。彼女に初めて会ったときに「今回は、口のきけない役だけど、一度だけ独白のシーンがあり、歌と踊りのシーンもある。そしてクリーチャーに恋をするよ」と伝えると、彼女は一言「グレート!」と叫びました(笑)。
 また、日本の文楽の最高の演者は、人形に成り切ったかのように見えますよね。それと同じように、ダグ・ジョーンズはクリーチャーのスーツを着たら、完全にそのキャラクターになってしまうんです。たとえ、映像的な処理をどんなに施しても、ダグが本当に“美しい川の神”に見えなかったり、サリーが愛を込めた目で彼を見なければ、この映画は成立しませんでした。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

松本怜生 豊臣兄弟を支える忠臣・石田三成を好演中「演技について家臣団で話し合っています」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年10月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、秀 … 続きを読む

柚香光「つややかで、あでやかで、華やか、そして情に深く」 最後の「髑髏城の七人」に挑む思い【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月11日

 作・中島かずき、演出・いのうえひでのりによって生み出された劇団☆新感線を代表する演目である「髑髏城の七人」。7年ごとに繰り返し上演され、そのたびにさまざまな工夫を凝らし進化をし続け、これまで11バージョンが上演されてきた。そして、今回「髑 … 続きを読む

堤真一「自分なりの演じ方」で描き出す 濵田崇裕、ローマは「僕が出会ったことがない人間」 「グレンギャリー・グレンロス」で初共演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月10日

 堤真一と濵田崇裕が初共演にしてダブル主演を務める、Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.17「グレンギャリー・グレンロス」が、11月6日から上演される。本作は、1983年 … 続きを読む

戸田菜穂「スッとあの時代に入っていけるような空気がありました」名作漫画の実写映画化で、昭和の母を好演『遥かな町へ』【インタビュー】

映画2026年10月9日

 10月9日から全国公開となる『遥かな町へ』は、「孤独のグルメ」「神々の山嶺」で知られる漫画家・谷口ジローの名作を実写映画化した作品だ。  建築デザイナーとして活躍する48歳の中原博史(大谷亮平)が、故郷・鳥取県の倉吉で母親の墓参りを済ませ … 続きを読む

【映画コラム】9月の公開映画から

映画2026年10月8日

「バックルームズ」(9月4日公開)★★★ 出口のない迷宮が生む恐怖  “あるはずのない隙間”から、黄色い壁に囲まれ蛍光灯に照らされた迷宮のような空間へ迷い込んだ男(キウェテル・イジョフォー)が、出口を求めてさまよう。インターネット発の都市伝 … 続きを読む

page top