エンターテインメント・ウェブマガジン
米ソの冷戦下の1962年、政府の極秘機関で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)と、人間ではない不思議な生き物との究極の愛を描いた『シェイプ・オブ・ウォーター』が3月1日からロードショー公開される。公開を前に、メキシコ人監督のギレルモ・デル・トロが来日し、本作への熱い思いを語った。
異質なものや異種のものを恐れている、愛や感情があまり感じられない今の時代にこそ、こうしたストーリーが必要だと感じました。ただ、設定を現代にすると、なかなか人は耳を傾けてはくれません。それならば、寓話(ぐうわ)やおとぎ話のようにして語れば、聞く耳を持ってくれるのではないか、と考えました。
トランプ大統領は「もう一度アメリカを偉大な国にしよう」と言いましたが、その出発が1962年なのです。第2次大戦が終わり、アメリカはとても裕福になり、将来に希望を持っていました。ところがその裏では、冷戦があり、今と変わらぬ人種や性差別もありました。また、今日も映画業界は衰退していっていますが、62年もテレビに押されて映画が衰退していた時代でした。そうした意味では、今ととても似ていると思い、62年を背景にしました。
私はキャスティングは目で決まると思っています。その意味では、今回の主要キャストは、それぞれが違う目で音楽を奏でてくれました。この映画の主人公の女性は、カタログから飛び出してきたような、若くてきれいな人ではなく、30代後半の、バスで隣に座っているような、普通の人。けれども、輝きや不思議な部分も持っている。そんな女性として描きたかったのです。サリー・ホーキンスはまさにそのイメージにぴったりでした。
いい俳優とは、せりふをうまく言う人だと思われがちですが、実はサリーのように、よく聞き、よく見る人が、いい俳優なのです。彼女に初めて会ったときに「今回は、口のきけない役だけど、一度だけ独白のシーンがあり、歌と踊りのシーンもある。そしてクリーチャーに恋をするよ」と伝えると、彼女は一言「グレート!」と叫びました(笑)。
また、日本の文楽の最高の演者は、人形に成り切ったかのように見えますよね。それと同じように、ダグ・ジョーンズはクリーチャーのスーツを着たら、完全にそのキャラクターになってしまうんです。たとえ、映像的な処理をどんなに施しても、ダグが本当に“美しい川の神”に見えなかったり、サリーが愛を込めた目で彼を見なければ、この映画は成立しませんでした。
舞台・ミュージカル2024年3月27日
若村麻由美と岡本圭人、岡本健一が出演する舞台「La Mère 母」と「Le Fils 息子」が2つの劇場で同時上演される。同作は、劇作家フロリアン・ゼレールによる家族三部作のうちの2作で、若村が主演する「La Mère 母」は日本初上演、 … 続きを読む
ドラマ2024年3月23日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。3月17日に放送された第十一回「まどう心」では、藤原兼家(段田安則)によるクーデター“寛和の変”の事後処理、およびそれに伴う主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の行動が描かれた。 兼 … 続きを読む
映画2024年3月22日
監督セルジオ・レオーネ、音楽エンニオ・モリコーネ、主演クリント・イーストウッドという伝説のトリオが放った「ドル3部作」(「ドル箱3部作」と表記されることも多い)が、マカロニ・ウエスタン誕生60周年を記念し、4K復元版として3月22日から一 … 続きを読む
映画2024年3月21日
朝6時、いつものように目覚めた岩森淳は、恋人の砂原唯(山下リオ)を殺した溝口登(伊勢谷友介)を殺害する。翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、なぜか溝口も生きている。そして今日もまた、岩森は復讐(ふくしゅう)を繰り返していく。荒木伸二監 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2024年3月20日
バラエティーや映画やドラマといった映像作品だけでなく、朝の情報番組やトーク番組にもレギュラー出演し、多岐にわたって活躍しているHey! Say! JUMPの伊野尾慧が、4月9日から上演されるブロードウェイミュージカル「ハネムーン・イン・ベ … 続きを読む