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薩摩は男尊女卑の気風が強く残っているといわれますが、鹿児島の女の人たちはとても強いです。私は強い女の人を書くのが好きなので、それが分かって安心しました(笑)。西郷には3人の奥さんがいましたが、その3人と愛し合ったり、別れたりする中で、西郷はああいうスケールの大きな人間になっていったような気がします。ですから、3人の奥さんとの関係は丁寧に描くつもりです。
西郷は筆まめなので、奥さんに手紙をたくさん書いているんです。大久保にも、愛加那(西郷の二番目の妻/二階堂ふみ)と仲むつまじい様子を報告したり…。そういう手紙を参考にしながら、史料のままではなく、血の通った人間にしたいと思って書いています。ただ、女の人を書くときは、つい力が入ってしまうところはあります(笑)。
西郷も大久保も、今後登場する岩倉具視や徳川慶喜も、みんな逆境を経験しています。それぞれ理不尽な理由で表舞台を去り、辛酸をなめた時期がありました。西郷は5年ほど島に流されていましたし、大久保も蟄居(ちっきょ)の処分を受けて家から出られない時期がありました。でも、私にはその時期が彼らをさらに人間的に大きくしたように思えるんです。そう考えたら、西郷がより魅力的に見えてきました。今は先が見えない時代といわれていますが、逆境というものは、誰にでも起こり得ることです。でも、それが人を強くする。それをメッセージとして伝えたいというのが、私のひそかなテーマです。
歴史の好きな方はもちろんですが、今まであまり歴史ものに興味のなかった方にこそ、見ていただきたいです。私も歴史に明るい方ではないので、時代考証の先生方の力を借りながら書いている途中ですが、あの時代の若者たちの群像劇は本当に面白い。西郷という人も、追い掛ければ追い掛けるほど、その奥にもっと大きなものがある、計り知れないスケールの魅力的な人物です。こういう人がいたということを知っていただき、1年間、西郷にほれていただけたらうれしいです。
(取材・文/井上健一)
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