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東京での出稼ぎ中に記憶障害になるも、無事に奥茨城に戻り、谷田部家で再生の道を歩みはじめたみね子(有村架純)の父・実を演じている沢村一樹。ともすれば暗くなりがちな記憶喪失という設定だが、実は前向きで、以前と変わらない“お父ちゃん”として大黒柱を担っている。沢村がそんな実役に込めた思いを、共演者とのエピソードや、気になる今後の見どころと共に語った。
どこに行っても「ここにいた!」「奥茨城に帰ってください」と言われました。これからは「記憶は戻るんですか?」って聞かれるだろうなと思っていたら、案の定、今はどこに行ってもそう聞かれます(笑)。
演じる上で特に悩んだことはなかったです。ただ、不安から険しい顔になったり、目の前の人を「誰だろう?」と疑ったりするよりも、「この子が自分の子どもなのかな」と前のめりになる人でいた方がいいと思い、暗くならないように心掛けました。
「塞翁が馬」という言葉が好きで、悪いことが起きた時に落ち込んでいたらそこで終わりだけど、あと一歩踏ん張ると、思いも寄らないいいことが起きることがありますよね。実がいなくなったことでみんな苦労したけど、奥茨城にいたら経験できないこともあったし、花の栽培をやろうとも思わず、ずっと借金に苦しんでいたと思います。一歩踏み出した証は花の栽培で、これから谷田部家は豊かになっていくんじゃないかな。
今は“元奥さん”という感じなので、どういうふうに実の心が動いていくかをじっくり楽しんでください。僕は、50歳ですが、純愛ものという気持ちでやっていて、そこは強く意識しています。台本を読んだ時は「本当に!?」と思ったけど、ここまでの流れと美代子のキャラなら純愛ものもできると思い、集中してやっています。
感謝しているし、人として好きだけど、それ以上の感情はないんじゃないかなと考えていて。だから、美代子に対して、そんなに罪悪感もないと思います。
三男(泉澤祐希)が「聖火ランナーをやりたい」と言った時に、最初は罵倒していたお兄さん(尾上寛之)が結果的に助けてくれたり、時子(佐久間由衣)がツイッギーコンテストに応募しそこなうけど、お母さん(羽田美智子)が応募していて出場できたりとか、そういう伏線の張り方が好きです。それに、岡田さんは人が持っている感情の中で恋のエネルギーが強く、いろんなものを乗り越えられると信じているんでしょうね。視聴者にもそれを感じてほしいです。
(安部さおり役の)伊藤沙莉さんの芝居が好きなんですよ。家で録画を見ている時は、彼女が出てくると巻き戻して何回も見て、息子に「いつもそれやってるね」って言われて…。彼女が「ラストコップ」(日本テレビ系ドラマ)に出ている時にも同じことをやっていたみたいです。キャラクターでは愛子さん(和久井映見)が好き。一言でパンッと解決してくれたりするから。
実を連れて帰るために世津子の家に来た美代子が「この子がどんな思いで働いてきたか分かりますか?」とみね子の肩を触った時の顔は「なんて顔するんだ!」と思いました。切ない顔になるのかと思ったら、あまりにもつらいことばかりだったから感情がなく、大人同士のやり取りということもあって、一歩引いて、おちょぼ口でただちょこっと座っている姿は4~5歳幼く見えました。何もしないことは勇気がいるから、それをあの年齢でできるって、この子はすごいなと思いました。
木村さんは現場で楽しませてくれるし、気張った演技をしないので、僕もリラックスして芝居ができます。
ロケの都合で撮影は5月で、まだその前のシーンの台本が出来ておらず、今後の展開の概要だけ聞いて臨みました。ああいう撮影は経験がなかったので印象的でした。でも、僕は記憶がない役だからまだいいけど、木村さんや架純ちゃんはリードする側だからそういうわけにもいかず、大変そうでした。
「ひよっこ」は登場人物一人一人がしっかり描かれているので、最後はそれぞれの気になっているところが次々に結び付いて、怒濤(どとう)のような週になるかもしれません。それに、皆さんなりに考えてくださいという終わり方なので、そこも面白い。
払拭したいとは本気で思っていないです(笑)。朝ドラなので、世間の人が僕に抱いているイメージが、役を邪魔するのは困ると思っていましたが、だいぶ邪魔されている自覚はあるので…。ただ、逆にそれを利用して、バラエティー番組に出る時とドラマに出る時では180度変えて楽しみながらやっています。払拭できたかどうかの判断は皆さんにお任せします!
(取材・文/錦怜那)
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