「よろいかぶとは男が最もかっこよく見える究極のコスプレです」高嶋政宏(本多忠勝)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年8月13日 / 20:50

 徳川が今川領に進撃を開始する中、徳川家重臣の本多忠勝が登場する。後に家康に仕える井伊家の跡取り・万千代(=虎松)と共に「徳川四天王」の1人に数えられ、数多くの合戦に参加しながらも、傷一つ負わなかったという武勇を誇る武将である。演じるのは、戦国時代好きを公言し、これまでも「独眼竜政宗」(87)、「利家とまつ 加賀百万石物語」(02)などに出演してきた高嶋政宏。愛着のあるよろいかぶとに関する話題から忠勝役の見どころまで、思い入れたっぷりに語ってくれた。

 

本多忠勝役の高嶋政宏

-本多忠勝は昨年の「真田丸」で藤岡弘、さんが演じていましたが、今回演じるのは、それよりも若いころの忠勝になりますね。

 そうです。最初に出てきた時は20歳ぐらいですから、そこにいる出演者の誰よりも若い役ということで、テンションを上げて若々しく演じました。実はこの作品にお声を掛けていただく直前、千葉のいすみ鉄道の沿線を旅する民放の番組に出演したんです。そうしたら、どこに行っても藤岡弘、さんの本多忠勝の写真があるんですよ。聞けば、本多忠勝ゆかりの地ということで、「俺もやりたかったな」と思っていたら、この作品の出演依頼が来たんです。奇跡のような巡り合わせに、びっくりしました。

-忠勝をどのような人物として捉えていますか。

 忠義の人ですよね。あと、繰り返し合戦に出ながらも、一つの傷も負わなかったということで、すごい人だったんだろうなと。今回は「スポーツマンみたいな感じ」というお話だったので、最初のうちは若さ故の勢いみたいなものが出ています。

-井伊家の跡取りの万千代がやがて徳川家臣団に加わりますが、演じる菅田将暉さんの印象はいかがでしょうか。

 万千代との関係は、体育会系のいい先輩みたいです。周りはいじめるんだけど、忠勝だけは「頑張っていれば、誰かが見ているから」と励ましたり。菅田くんは以前、ある番組で一緒になったことがあって、その時は体が細かったんですが、今回会ったら、すごく体付きが良くなっていて、相当鍛えたなという印象を受けました。男っぽくなっていましたね。悔しさをにじませながら大声で「日本一の草履番を目指す!」と言う場面も、血管が浮き上がるぐらいのテンションの高さで演じていて、とても魅力的でした。

-高嶋さんは戦国時代がお好きだそうですね。

 普段、歴史の本などを読んでいるわけではないのですが、よろいかぶとが好きなんです。下に“満智羅”(まんちら)という鎖かたびらみたいな物も着けるので、重量が20キロぐらいになります。みんな「重い、暑い」と言うんですけど、男が最もかっこよく見えるコスチュームで、究極のコスプレですよね(笑)。ロケに行った時も、暑くてジンジンしてくるぐらいですけど、絶対によろいは脱ぎません(笑)。

-よろいかぶとのどんなところが気に入っていますか。

 やっぱりこの、ひもで締め上げていった時のフィット感ですよね。僕は結構体が大きいのですが、今回はサイズもしっくりきていい感じです。慣れていないころは、普通に着せてもらっていたんですけれど、そうすると手が上がらなくなってしまうんです。だから、よろいを着る時は、必ず殺陣のポーズになってひもを結んでもらわないといけません。それを、初めて着る人のためにトリビアとして伝えたいですね(笑)。

-長篠の戦いのロケ撮影が行われたそうですが、感想をお聞かせください。

 もう、とにかく暑かったです。敵将の首を取る場面の撮影は、段取りやテストを含めても2時間弱ぐらいだったのですが、最初のテストの時、よろいの重さと暑さで息切れしてしまい、目の前が真っ暗になるかと思いました。でも、その心臓のバクバク感すらも、「今、俺はよろいを着けている!」と、喜びに変えて頑張りました(笑)。ポイントはやっぱり水分と塩分でしたね。自分で作ったミネラルや乳酸菌を入れた水に加えて、心配りの行き届いたスタッフが、たえずスポーツドリンクや麦茶を出してくれたので、何とか切り抜けられました。

-長いやりを使った立ち回りも見どころだそうですね。

 長さは九尺もあります。普通は六尺、つまり180センチぐらいなのですが、九尺だからもう自分の身長を遥かに超えた長さで。本当は頭の上で大きく振り回そうとしたんですけど、かぶとにトナカイのような角が付いていて当たってしまうので、やり方を変えました。昔『燃えよドラゴン』でブルース・リーが、棒を持って敵と戦う場面があったのですが、構えた時に先がブルルン!と揺れるんですよ。今回、僕もやりを構えた時、同じように揺れたのが快感でしたね(笑)。

-撮影は大変そうですが、体力づくりなどはされていますか。

 今は車にはほとんど乗らず、現場まで自転車で行くようにしています。車に乗りっ放しだと、体が衰えていきますから。あとは、ジムや道場に通ったり。体が資本なので、そういったところには気を付けています。それは、合戦シーンのためだけではなく、普段の撮影でも最高のパフォーマンスを発揮できるようにするためでもあるんです。撮影ではカメラの位置を変えたりして、時間をかけて同じ場面を何度も繰り返します。その時、集中力を維持するためには、体力が必要なので。監督が一番いい顔を撮ろうとしてくれているのに、途中で息切れなんかしたら、後で自分が後悔するだけですからね。

-昨年は「真田丸」に弟の政伸さんと奥さまのシルビア・グラブさんが出演されていました。今回に懸けるご自身の意気込みなどはありますか。

 昨年は弟とシルビアが出ていたので「いいなあ」と思っていたら、その後に出られたので良かったです。でも、「やってやる」と思うとロクなことがないので、台本と監督の演出に乗っていくことだけを心掛けています。昔、美輪明宏さんに言われましたから。「それ思ったら、あなた終わるから」って。それがずっと心に響いています。

-ご家庭で奥さまと出演に関してお話などは?

 シルビアにはずっと「いいなあ」と言っていました。木刀を使う場面の稽古では、自分の木刀を使って付き合ってあげて、ちょっと大河に関わっている気分になったりして(笑)。だから本当に良かったです、「直虎」に出られて(笑)。

(取材・文/井上健一)


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