「強いだけではない、信玄の人間味を出せれば…」松平健(武田信玄)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年7月21日 / 14:52

 物語の序盤から幾度となくその存在がほのめかされてきた“甲斐の虎”武田信玄が、満を持して第28回(7月16日放送)から登場。勢力拡大を狙って、窮地に陥った今川に襲いかかろうとしている。平和な国造りを目指す直虎(柴咲コウ)の運命を大きく左右することになるこの戦国大名を演じるのは、「義経」(05)以来、12年ぶりの大河ドラマ出演となる松平健。若いころから演じてみたかったという信玄役に込めたその思いとは。

 

武田信玄役の松平健

-武田信玄役をオファーされた時のお気持ちをお聞かせください。

 今までいろいろな武将を演じてきましたが、武田信玄は若いころからやりたかった役なので、とてもうれしかったです。出番は多くありませんが、自分なりの信玄を作って行ければと思っています。

-信玄のどんなところに魅力を感じますか。

 戦国ものというと天下取りの物語が多くなりますが、実際の戦国大名の中には、自分の野心のために天下を狙う人と、世の中を良くしたいという思いから天下統一を志した人がいました。信玄は、その後者の方だと思っています。信玄は領民に対しては手厚い保護をするなど、領土愛にあふれていましたが、領地の甲斐は山に囲まれた何もない土地でした。その領民たちの幸せを願う気持ちが、日本全土を豊かにしたいという思いにつながって天下統一を目指した人です。その反面、他の土地を奪って皆殺しにするような冷酷さもあるのですが。そういう人間味が面白いですよね。

-実際に演じてみた感想はいかがでしょう。

 やっぱり面白いです。少ない出番の中でいろいろな面を見せたいと思って、台本に書かれていない部分も工夫しながら演じています。強いだけでは面白くないので、自分が長年抱いていた信玄のイメージを反映しつつ、人間味を出せればと。演技については自由にやらせてもらっていますが、やんちゃだったり、かわいらしいところも見せたりして、いろいろな表情を出せていると思います。

-信玄については、これまでもこのドラマの中で度々話題になってきましたね。

 自分が出ていないところで、いろいろな人が武田を脅威に思っている様子が描かれているので、とても楽です(笑)。とはいえ、出てきた時に脅威的に見えないといけないので、短い出番でしっかり脅威を感じてもらえるように心掛けています。

-そり頭にひげ面というスタイルはいかがですか。

 衣装さんに用意していただいたものなのですが、イメージ通りですね。写真でも十分個性的ですが、動いたらもっと面白いですよ(笑)。ただ、あの特殊メークをするのに2時間ぐらいかかるので大変です(笑)。

-ご自身で工夫された信玄の見どころはどんなところでしょうか。

 ある回で、うれしさのあまり、踊り出す場面があります。喜びを体で表現しようと思って、所作指導の先生からも「これぐらいならいいでしょう」と確認を取った上でやってみたら、現場でみんなが笑ってくれました(笑)。そこは楽しみにしてほしいですね。また、台本では「ひげをむしり取る」と書いてあった場面も、もっと気持ちが伝わるように、刀で竹を斬る形に変えてもらいました。数少ない刀を使う場面なので、こちらも期待してください。

-初登場となった第28回では、浅丘ルリ子さん演じる寿桂尼と対峙(たいじ)する場面がありました。感想はいかがですか。

 浅丘さんとは、私のデビュー作で相手役をさせていただいて以来、40数年ぶりの共演だったので緊張しました。でも、いつまでもお若くて、変わらないですね。寿桂尼も、したたかさみたいなものが感じられて。あの場面は、寿桂尼も信玄も腹の中に一物抱えて、互いに探り合うような芝居だったので、やりがいがありました。

-大河ドラマへの出演は、「義経」(05)以来になりますが、久しぶりに出演された感想は?

 やっぱり、セットが豪華です。衣装やメークにも手がかかっているし、出演者もすごいし、いろいろと惜しみなく注ぎ込んでいて、ぜいたくですよね。

-数々の時代劇に出演してきた松平さんから見て、江戸時代を舞台にした作品と戦国時代を舞台にした作品の違いはどんなところに感じますか。

 江戸時代の場合は、もう天下泰平の世の中ですから、どこかのんびりとした侍像になりますが、戦国時代は生死を懸けた毎日なので、やっぱり表情にも緊張感が求められます。戦いの場面も、20人程度を相手にする江戸時代と違って、戦国時代は何百人から何万人という規模の戦が多くなりますから、馬の数やよろいかぶとといった装束のきらびやかさも加わって、迫力が増しますよね。

-武田信玄を演じる上で、参考にされた俳優さんはいらっしゃいますか。

 自分の師匠に当たる勝新太郎師匠です。

-勝新太郎さんというと、黒澤明監督の『影武者』(80)で信玄役に起用されながら、撮影途中で降板したという話が思い出されます。その役を弟子に当たる松平さんが演じるということで、運命的なものも感じますが、何か思うところはありますか。

 どう演じるかを考える上で、師匠だったらこうやるんじゃないか、と思いを巡らすところはありました。出番が多くないので、どこまでそういうものが出せるか分かりませんが、多少なりとも伝わったらいいですね。

(取材・文/井上健一)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【芸能コラム】いよいよ幕末の動乱へ!豪華キャスト総出演の第26回から探る“革命編”の見どころ 「西郷どん」

ドラマ2018年7月17日

 二度の島流しを経験した西郷吉之助(鈴木亮平)が薩摩に呼び戻され、通称“革命編”と呼ばれる新章に突入した大河ドラマ「西郷どん」。次回「禁門の変」の予告には、軍装をした吉之助や、これまでなかった大規模な合戦シーンが登場。美しい風景の中で苦境に … 続きを読む

【インタビュー】「西郷どん」ほか 堀井新太「新八は“弟キャラ”なのでかわいい感じも少し入れています」

ドラマ2018年7月17日

 公開中の映画『ドルメンX』でイケメン宇宙人を演じる一方、大河ドラマ「西郷どん」では、主人公・西郷隆盛(鈴木亮平)や大久保利通(瑛太)の弟分にあたる村田新八を演じている堀井新太。明治維新に向かって、今後ますます出番が増える新八役への思いや、 … 続きを読む

【2.5次元インタビュー】西銘駿、舞台「ダンガンロンパ3」主演に「ワクワクが大きい」

アイドル2018年7月16日

 「ダンガンロンパTHE STAGE〜希望の学園と絶望の高校生〜」(初演14、再演16)、「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜」(初演15、再演17)に続く、舞台化シリーズ第3弾となる「ダンガンロンパ3 THE … 続きを読む

「僕と小栗さんの関係が、西郷さんと坂本龍馬に似ていると思いながら演じています」鈴木亮平(西郷吉之助)【「西郷どん」インタビュー】

ドラマ2018年7月15日

 吉之助が島から召還され、物語が大きく動き始めた大河ドラマ「西郷どん」。京に上った吉之助は、坂本龍馬(小栗旬)、勝海舟(遠藤憲一)、岩倉具視(笑福亭鶴瓶)、桂小五郎(玉山鉄二)といった英傑たちと出会い、明治維新に向かって突き進んでいく。通称 … 続きを読む

【映画コラム】オリジナルへの回帰的な側面もある『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

映画2018年7月14日

 前作『ジュラシック・ワールド』(15)から3年後を舞台した『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開された。  恐竜たちが放置されたままのイスラ・ヌブラル島の火山が噴火の兆候を示し始める。恐竜たちを見捨てるのか、保護するのかの議論が行われ … 続きを読む

page top