【インタビュー】新作「ツイン・ピークス」カイル・マクラクラン「皆さんを引きつける、驚くべき展開になると思います」

2017年7月21日 / 15:51

 この夏、注目の海外ドラマ、新作「ツイン・ピークス」の放送が7月22日(土)からWOWOWプライムで始まる(第1話無料)。鬼才デビッド・リンチが制作総指揮と全エピソードの監督を務めた本作は、謎めいたストーリーが話題を呼び、1990年代に社会現象を巻き起こした伝説的ドラマ「ツイン・ピークス」の25年ぶりの続編だ。放送開始を記念して、主人公のFBI捜査官デイル・クーパーを演じたカイル・マクラクランが来日。作品に対する思いや見どころを語った。

FBI捜査官デイル・クーパーを演じたカイル・マクラクラン

-25年ぶりにクーパー捜査官を演じた感想は?

 私にとっては、今まで演じてきた中で一番好きなキャラクターなので、ものすごくうれしかったです。それをデビッド・リンチ監督と一緒にできるというのも大事なことでした。

-25年ぶりに演じる上で苦労はありましたか。

 それほど大変ではありませんでしたが、今回はクーパーの違った一面を描いているので、それが新たなチャレンジになりました。とはいえ、クーパーの基本的なキャラクターはよく知っているので、スーツを着て、デビッドの姿を見たら、スッと入っていくことができました。

-今回はクーパーの他にも何役か演じていますね。複数の役を演じた感想は?

 別人のようなキャラクターだったので、いろいろと要求もありましたが、とても挑戦的で興奮し、新しいことをやるいい機会だと考えました。デビッドがきちんとサポートしてくれたおかげで、やりやすかったです。

-前作の最終話にあった「25年後に会いましょう」というせりふの通り、25年後の続編となったわけですが、25年後に続編を制作するという構想は当初からあったのでしょうか?

 私が知る限り、最終話でローラ・パーマー(シェリル・リー)が「25年後に会いましょう」と言った時は、特に25年後に復活するというプランはなかったと思います。ただ、こうして25年がたち「もうすぐだ」というファンの声がたくさんあったことで、マーク(フロスト/制作総指揮)とデビッドが「だったらやろうじゃないか」という話になったのではないでしょうか。でも、とてもいいタイミングで戻ってこられたと思います。

-1話ずつ撮影して行った前作と異なり、今回は最後まで撮影を終えてから18話に分割したそうですが、どんな違いがありますか。

 今回の方がより映画的な撮影をしています。デビッドも「映画を撮ってそれを18話に分割した」と言っている通り、ロケ地もかなり多かったですし、見た目もかなり映画的だと思います。

-前シリーズに出演していたキャストが数多く再登場していますが、再会した感想は?

 まるで同窓会のようでした。毎日、昔の友人のような共演者たちに会って、お互いに年を取ったことを確認し合うわけですが、再会できてとてもうれしかったですし、多くが戻って来られたのは素晴らしいことです。デビッドにとっても特別なことだったと思います。

-その一方、新しいキャストも多数出演しています。その中には、日本人の裕木奈江さんもいらっしゃいます。彼女は第3話で“目のない女”を演じていますが、共演した感想は?

 とても勇気のある方です。目を隠した特殊メークをしていますが、実は12~14時間ぐらいあのままだったんです。だから、撮影の時は彼女の目を見たことがなくて、本当の意味で会うことができたのは、シリーズの撮影が終わった後でした。

-実際に会った時の印象は?

 とても優しくてすてきな方でした。大変な役だったと思いますが、1日中、周りで何が起きているのか、誰がいるのかも分からないような状況で、彼女はずっと静かに座っていました。私だったら難しかったでしょうね。とても不思議な体験でした。

-彼女が演じるキャラクターが今後どのように活躍されるのか、楽しみです。

 私にもよく分かりません(笑)。

-前作はツイン・ピークスという小さな町で起きた殺人事件を発端に、住人たちのさまざまなドラマが繰り広げられました。これに対して今回は、さまざまな場所で事件が起きた後、次第にツイン・ピークスの町に集まっていくのかな…?という印象を受けますが…。

 全くストーリーの語り口が違います。以前は、殺人事件を解決していく犯人探しのミステリーがありましたが、今回はさまざまな要素があり、いろいろなストーリーがあります。それが解決…されるかどうかは分かりませんが(笑)。でも、それだけでは終わりません。デビッド・リンチなので、もっと驚く展開がたくさん待っています。

-ズバリお伺いします。前作で残された数々の謎は解決されるのでしょうか。

 うーん…それは分かりませんね(笑)。謎が解けて答えが出るものもありますが、解決しないものもあるかもしれません。でも、皆さんを引きつける、驚くべき展開になると思うので、気に入っていただけるといいですね(笑)。

-あなたにとって、「ツイン・ピークス」という作品とデビッド・リンチ監督はどんな存在でしょうか。

 私の人生において、キャリアにおいて、とても重要な存在です。この作品も、彼と組んだことも非常に誇りに思っています。再び「ツイン・ピークス」の世界に戻ってこられるとは予想もしていなかったので、本当に驚いています。最初のシリーズから、とても驚きに満ちた、風変わりでドラマチックな部分がたくさんありました。これは、デビッドの創造性に限界がないことの証明です。

-前作が大ブームを巻き起こした当時と違い、現在はアメリカのテレビドラマが世界中で大人気です。そういう時代に「ツイン・ピークス」が復活することについてどう思いますか。

 いつの時代も、何より大事なのはストーリーです。とにかく人を引きつける良いストーリーでないと、長く続きません。そういった意味で、デビッドは非常に挑戦的ですし、ファンタジーでもシュールな部分でも、ものすごくイメージが豊かな人です。そして、テレビ業界も世の中も変わってきている中で、いろいろな種類の物語を見てきたことで、皆、次世代の新しい物語に対する準備ができているのだと思います。

(取材・文/井上健一)

Kyle MacLachlan in a still from Twin Peaks. Photo: Suzanne Tenner/SHOWTIME
“TWIN PEAKS”: (C)Twin Peaks Productions, Inc. All Rights Reserved.

新作「ツイン・ピークス」
7月22日(土)からWOWOWプライムで放送(全18話)【第1話無料放送】
※毎週土曜午後9時(二カ国語版)、毎週金曜午後11時(字幕版)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】アメリカ映画の底力を感じさせる『バリー・シール アメリカをはめた男』

映画2017年10月21日

 1970年代、大手航空会社のパイロットとして活躍し、その後、CIAから極秘密輸作戦のパイロットにスカウトされ、麻薬の密輸で巨万の富を得た男。その数奇な人生を、実話を基に映画化した『バリー・シール アメリカをはめた男』が公開された。  トム … 続きを読む

【芸能コラム】クランクアップの現場で感じた作品を取り巻く数々の愛 「おんな城主 直虎」

ドラマ2017年10月16日

 「愛を感じながら撮影することができて、とてもうれしく思っています」  これは、主演の柴咲コウが10月11日、静岡県浜松市内でNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のクランクアップを迎えた際にあいさつで語った言葉だ。季節外れの夏日となったこの … 続きを読む

「正信はものの考え方が柔軟で、半分亡霊みたいな人」六角精児(本多正信)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

ドラマ2017年10月15日

 草履番としての働きを家康(阿部サダヲ)に認められた万千代(菅田将暉)の下に、後釜として“ノブ”と名乗る中年男がやってきた。自分が小姓になるためには、一人前の草履番に育ってもらわなければと、動きの鈍いノブにいら立つ万千代。だがこの男こそ、か … 続きを読む

「万千代が直政になる過程に、直虎がどう関わっていくのかが楽しみ」柴咲コウ(井伊直虎)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

ドラマ2017年10月8日

 井伊谷が徳川領となり、直虎は農民として暮らす一方、“井伊万千代”と名を改めた虎松(菅田将暉)は、徳川家康(阿部サダヲ)に仕えることとなった。ところがそれは、万千代の養家・松下家を裏切る結果となり、直虎は事態収拾に奔走することに。果たして直 … 続きを読む

【映画コラム】果たして前後篇にする必要があったのか…『あゝ、荒野』前篇

映画2017年10月7日

 寺山修司の長編小説の舞台を、1960年代後半の新宿から2021年に移して映画化した『あゝ、荒野』 前篇が公開された。(後篇は21日公開)。  共に孤独な日々を送る新次(菅田将暉)と建二(ヤン・イクチュン)が出会い、プロボクサーの新宿新次と … 続きを読む

page top