【インタビュー】『逆光の頃』葵わかな「お芝居ってもっと面白いものかもしれないと思えるようになりました」

2017年7月7日 / 08:15

 フィギュア「コップのフチ子」の原案者であり、ギャグイラストの「バカドリル」などでも知られる異才の漫画家タナカカツキ氏の名作『逆光の頃』が映画化され、7月8日から全国順次公開される。京都の街を背景に、日常と非日常、夢と現実の双方を行き来する17歳の孝豊(高杉真宙)のゆらめきときらめきを描いた本作で、孝豊が恋する幼なじみのみことを演じた葵わかな。平成29年度後期 連続テレビ小説「わろてんか」のヒロイン役も決定した期待の若手女優が、映画や演技について語った。

(C)タナカカツキ/講談社・2017 東映ビデオ/マイケルギオン

-原作漫画のことは知っていましたか。

 全く知りませんでしたが、撮影前に読んで、独特な世界観のあるお話だなあと思いました。特に何か事件が起きるわけではないのですが、読んだ後は、感情が揺れ動く感じがとてもすてきだなあと思いました。

-出身は神奈川県。京都弁は難しかったですか。

 とても難しかったです(笑)。イントネーションだけではなく、言葉の伸び方や、言葉と言葉の間のちょっとした間(ま)などに、東京の人っぽい感じが出てしまうらしくて…。それが自分では分からないので、何度も何度も、それこそクランクアップの前日まで言葉の稽古をしました。こんなに言葉の稽古をみっちりしたことはなかったので、それでなんとかなじめたのかなとは思います。方言指導の方と高杉さんと(小林啓一)監督と4人でずっと台本の読み合わせをしていました。せりふの間とか言葉の流れをつかむと、自然と呼吸や空気もそれっぽくなっていくところが監督の狙いだったと思います。後半は自分でもしっくりくるようになりました。言葉はリズムが大事だなと改めて思いました。

-相手役の高杉真宙さんの印象は?

 お会いする前は、真面目な方なのかなと思っていました。実際にお会いしてみると、周りに気を配りながら、自分もちゃんと持ってらっしゃって、とても自由にやられているという印象でした。例えば、監督には役に対するイメージがはっきりとあって、そこから出てしまうとNGになります。私は、その枠の中で何ができるのかと、とても悩みましたが、高杉さんは自由な発想で、右が駄目なら左を出すみたいな微妙なところで、監督との息がぴったりと合っていました。孝豊なんだけど高杉さんでもあるという、そのあんばいが上手だなあと思って、とてもうらやましかったです。

-小林啓一監督の演出法は?

 ワンシーンのために1日懸けることもあって、テンポやニュアンス、空気感をとても大事にしていると感じました。最初は監督の「何か違う」の「何か」を探すのに苦労しましたが、いろいろとお話してくださったので、それを受けているだけではなくて、私も自分の意見を伝えるようにしました。その結果、単なる監督と役者という感じではなく、スタッフとして一緒に映画を作っているようなやりがいや達成感を感じました。この映画に出演させていただいたおかげで、今まで自分が思っていた「お芝居ってこういうもの」という概念がくつがえされて、お芝居ってもっともっと面白いものかもしれないと思えるようになりました。

-京都独特の古風な風景の中に身を置いた気分はいかがでしたか。

 現実なんだけどちょっと浮世離れした風景がたくさんある、とても京都らしい場所での撮影が多かったので、最初は京都の街並み全体が持つ独特の雰囲気に溶け込めるのか不安でした。でも、1日ワンシーンというような撮り方だったのでいつの間にか溶け込んでいました(笑)。

-では、この映画の見どころを。

 全編京都ロケで撮った“京都の映画”なので、風景がとても美しく撮られています。京都に行きたくなったらぜひ見てほしいなと思います。とても緩やかな涼しい映画で、私自身、孝豊を見守るような視点で見ている自分に気付きました。どなたが見ても登場人物のキャラクターを愛せるような映画になっていると思います。

-最後に今後の抱負を。

 女優というお仕事は、正解がないところが面白いと思います。役づくりに関しては悩むのが仕事みたいなところもあります。ただ、演じている時は苦しくても、終わった時に「今、役と一つだったなあ」というような達成感もあります。感情を表現する仕事で、それが見る方に伝わる喜びも感じます。これからも、いろいろな役を演じることができればと思います。

(取材・文/田中雄二)

(C)タナカカツキ/講談社・2017 東映ビデオ/マイケルギオン

 映画『逆光の頃』は7月8日(土)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第二十回「望みの先に」伊周、詮子、道長…藤原一族に見るキャラクター表現の見事さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月25日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月19日に放送された第二十回「望みの先に」では、藤原伊周(三浦翔平)&隆家(竜星涼)兄弟が花山院(本郷奏多)に矢を射かけた不祥事(長徳の変)をめぐる内裏でのやり取りと、主人公まひろ(吉高由里子 … 続きを読む

磯村勇斗「新たな『演じ屋』になるのでは、とワクワクしました」奈緒とダブル主演を務めるヒューマンストーリー第2弾がスタート! 連続ドラマW-30「演じ屋 Re:act」【インタビュー】

ドラマ2024年5月24日

 2021年7月からWOWOWで放送・配信され、大好評を博したオリジナルドラマ「演じ屋」に続く第2弾「演じ屋 Re:act」(全7話)が5月24日から放送・配信スタートとなる。依頼された役になり切る仕事を生業とする演じ屋ファミリーが、演じる … 続きを読む

仲野太賀 出征前のデートシーンは「撮影後二、三日は、悲しすぎて台本が読めませんでした」 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年5月24日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。5月24日放送の第40回では、戦時下を生きるヒロイン・佐田(猪爪)寅子(伊藤沙莉)たちにもその影が忍び寄り、ついに夫の優三が出征することになった。優三を演じる仲野太賀が、出征前の寅子とのデート … 続きを読む

奈緒「『演じ屋』は自分のホームグラウンド」磯村勇斗とダブル主演を務めるヒューマンストーリーへの思い 連続ドラマW-30「演じ屋 Re:act」【インタビュー】

映画2024年5月24日

 2021年7月からWOWOWで放送・配信され、大好評を博したオリジナルドラマ「演じ屋」に続く第2弾「演じ屋 Re:act」(全7話)が5月24日から放送・配信スタートとなる。依頼された役になり切る仕事を生業とする演じ屋ファミリーが、演じる … 続きを読む

【週末映画コラム】問題作を2本 テーマは傍観者的な虐殺『関心領域』/石原さとみが鬼気迫る演技を披露する『ミッシング』

映画2024年5月24日

『関心領域』(5月24日公開)  本作は、ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人々を死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る、収容所所長ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)一家の日々の営みを描く。 … 続きを読む

Willfriends

page top