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高度成長期の日本を舞台に、茨城から集団就職で上京した有村架純演じるヒロイン谷田部みね子の成長物語を描いたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」で、失踪したみね子の父親捜しを手伝う警察官・綿引正義役を演じている竜星涼。朝ドラ初出演の喜びの胸中と役者としての今後の抱負を語った。
山形の亡くなったおばあちゃんが唯一見ていた番組が朝ドラだったので、出られると聞いた時はすごくうれしかったです。もう少し早ければ、生きているうちに見せられたのですが、天国から見守ってくれていると思います。
やはり、田舎に住んでいる方や、早寝早起きのおじいちゃん、おばあちゃんたち、誰もが見ているようなドラマに一度は出たいという気持ちはありました。
最近は警察官役(ドラマ「小さな巨人」、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』など)が多いので、時代や部署によっていろいろと違うことが分かります。警察の知識は誰よりもあるんじゃないかな(笑)。
警察の指導で綿引の立場や警察官としての所作を習いましたし、普通の現代劇とは違い、時代劇のニュアンスがあるので、吉永小百合さんが若いころに出ていた作品のように、ゆっくり目のテンポではっきりとしゃべるように意識しています。それから、綿引がただの“いい人”で終わるのではなく、人々が助け合うこの時代の熱さを伝え、「今の時代にこんな人いる?」「自分はそこまで他人を思いやれるか?」と考えてもらえたらうれしいな…と思いながら演じています。
自分で言うのもなんですけど、素直で真っ直ぐで、ちょっとした熱さを内に秘めているところですかね(笑)。でも、こういう役柄が結構多いんです。それは自分の中のそういう部分を感じてくれているからなのかな…。
男はああいう無鉄砲な感じの子はほっとけないんじゃないかな。何かに一生懸命に頑張っている子は応援したくなるし、いいな…と思います。
茨城弁は(山形弁と違って)あまり抑揚がないので、ついなまり過ぎるところを抑えたり、逆に抑え過ぎてしまったり、ニュアンスが難しいです。ただ、僕はほぼ東京育ちなので自分発信で山形弁は出ません。母親は家で僕と二人で会話するときは大分なまっているし、耳は覚えているので、相手の方言に乗っかることはできますけど。
僕も岡田さんの作品は好きだから、朝ドラでやれることは幸せです。でも、とにかくせりふが長くて、ほとんど一連で撮られるので本当に大変です。急遽、撮影が入って台本を見たら(綿引が)すごくしゃべっていて「ヤバイ、どうしよう…」みたいな。そんなうれしさと焦りといろんなものが交差しています(笑)。
乙女寮のメンバーや雄大と海で遊ぶシーンは、皆の前で歌ったし、ようやく(職務を離れて)楽しくワイワイできました。実はその前に撮った喫茶店のシーンで、アドリブで歌ったみね子が「綿引さんも」と誘ったんですが、そこでカットの声を掛けた監督がそのことを随分悔やんでいたそうで、海で歌うことになりました。僕自身、歌がうまいわけではないのですが、より下手な方が面白いと思って声を裏返らせて歌いました。
架純ちゃんの活躍はいい刺激になっていたし、現場で会った時に「久しぶり!」とポンと肩をたたいてくれた時はうれしかったです。(芸能界から)いなくなる人もいる中、変わらずに一生懸命やっている同世代同士、頑張って作品を良くしていこうと思いました。
「いい人」「格好いい」と思われるのは台本のおかげなので、そういう風に評価してもらえるなら、それは全て岡田さんの力です。
見てもらえる場が増えたことは役者として大きい進展ですが、出演できたからといって変わったことはないです。どの現場でも「もっと準備できたかもしれない」「違うアプローチがあったんじゃないか」と反省しますけど、終わった後は「これが精いっぱいだった」と思って次に進むしかない。そうやって、一歩一歩でもちゃんと前に進めているんじゃないかなと思います。
いろいろな方と仕事をする中で、知識や技術は増えているので、それらを発揮できる場所があるうちはやるしかない。評価される仕事なので、どう評価されるかが今の自分の課題です。でも、警察官以外の役をそろそろやりたいかな…なんて(笑)。
(取材・文/錦怜那)
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