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高度成長期の日本を舞台に、茨城から集団就職で上京した有村架純演じるヒロイン谷田部みね子が成長していく姿を描いたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」で、みね子の祖父・谷田部茂を好演している古谷一行。実に47年ぶり 2回目の朝ドラ出演となる古谷が、その胸中や共演者とのエピソードを語った。
楽しもうと思いました。年齢を重ねて、役者としての気持ちや演技がどういうふうに変化しているかも楽しみです。長い年月を改めて感じます。
さすが朝ドラですね。学生時代の友人から「風景が素晴らしい」「麦わら帽子が良く似合う」「あんなかわいい子(有村)と仕事ができていいね」「これから朝、元気をもらいたい」というメールをたくさんもらいました。
ロケーションが素晴らしい。自然の風景がこの作品を支えていると改めて思いました。それから、キャラクター付けがいいですね。茨城の各家庭の登場人物には決めつけがなくて役者たちに任されている感じですが、乙女寮メンバーのキャラクターはしっかり決まっていて、それぞれが全く違う個性の中でせりふを言うから会話がすごく面白い!
寡黙でぶっきらぼうですが、たまに口を開くとユーモアがある男です。お父ちゃんが出稼ぎで家にいないから「大黒柱にならなきゃ」「弱みを見せちゃいけない」という(気丈な)ところをベースに芝居をしています。
とはいってもそういうシーンがあるわけじゃない。僕がドラマ「金曜日の妻たちへ」(1983)や「失楽園」(97)とかで色っぽい役をしていたから、脚本の岡田(惠和)さんが(役紹介のところにしゃれで)つけ足しただけだと思っていますし、意識していないですよ(笑)。
方言はいいですよ。東京から近い茨城ですが、標準語とかなり違うから、しっかりやれば作品に厚みが出るし、その土地に息づいている人間らしくなる。僕は、茨城弁の先生に褒められていますが、羽田(美智子)ちゃんは茨城出身なのに一番注意されているかな。(ドラマの舞台の)北と(羽田の出身の)南とでは違うみたいだからかわいそうですね。
映画『リトル・マエストラ』(12)を見て、「いいな」と思っていた。現場では座長として(派手に)振る舞っていないし、「こういうシーンだから、こういう狙いでやってやろう」という感じがなく、すごくナチュラルに“みね子”を出してくるからリアリティーがあってすごくいいですよ。以前、「膨大なせりふだから大変だな」と声を掛けたら、「じいちゃんの方が少ないせりふで表現しなきゃいけないから大変だと思います」と優しいことを言ってくれました。
今回、初めてお会いしましたが、まぁ背が高くて近寄ってほしくないね(笑)。それから優しくて爽やかな青年。片方(古谷)が金田一耕助、片方(沢村)が浅見光彦。今回は謎解きがあるわけではないので、二人の探偵が仲良くやっています。
(小祝宗男役の)峯田(和伸)くんはおかしい。彼の出演作を何本か見ているし、息子(ミュージシャンの降谷建志)ともライブで一緒にやっていたようですが、とてもユニークだから「あの人、誰?」と話題になるんじゃないかな。現場では、そのシーンの撮影が終わる前から次のシーンのせりふをブツブツ練習するから「やめろよ!」となるけどね。それぐらい一生懸命やっていますよ。
二十歳で俳優を目指して劇団「俳優座」の養成所に入ったころ。3年間、朝9時から夕方5時まで、芝居、座学、演劇史、フェンシング、バレエなどをみっちり勉強して、すごく楽しい時期でした。その後、劇団に入った23~29歳のころは、自分の役者としての才能を信じ切れずに苦しんだりもしたけれど、30歳過ぎにはそれも乗り越えたかな。
僕は生まれも育ちも東京で、六本木をベースに生活していたから、集団就職の印象はほとんどなく、ドラマを見ていても東京とのギャップが随分あるものだなと驚きました。集団就職で働いて、給料のほとんどを田舎に送る生活は大変だっただろうし、強くないとできないですよ。
田舎でのんびり暮らしていた普通の女の子のみね子が、東京でいろんな経験をして育っていく成長物語だから、視聴者はみね子に感情移入できるんじゃないかな。岡田さんは音楽にもこだわりがあるから、ふんだんに出てくる当時のヒットソングも聞きどころです。
(取材・文/錦怜那)
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