「井伊直虎という女性を、もっと知りたいと思うようになりました」高橋ひかる(高瀬)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年5月21日 / 20:45

 亡き直親(三浦春馬)の娘を名乗り、井伊谷に現れた謎の少女・高瀬。何やら波乱の予感を漂わせるこの人物を演じるのは、「第14回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞して芸能界入りした15歳の高橋ひかる。期待の大型新人が、『人生の約束』(16)に続くデビュー2作目で初めて体験した大河ドラマの舞台裏を語った。

 

高瀬役の高橋ひかる

高瀬役の高橋ひかる

-昨年の7月に出演の発表があり、今回登場するまで1年近く時間が空きました。その間、どのようにして過ごしましたか。

 事務所でレッスンをさせていただいているのですが、その中に時代劇のレッスンもあったので、所作を習ったりして、自分なりの努力をしてきました。その間に放送が始まりましたが、クランクインを楽しみにしながらも、初めてのテレビドラマ、初めての時代劇ということもあって、少し不安な気持ちもありつつ、しっかり自分の目標を作って挑もうと思っていました。

-具体的には、どんな目標を?

 初めて出演させていただいた映画の時は、自分のことで精いっぱいで、周りを見る余裕がなくて、全然勉強ができなかったことがすごく悔しかったんです。だから今回は、周りの方々のお芝居もしっかり見て勉強をして、終わった時に、「充実していた。自分が成長できた」と思えるものにしたいです。

-高瀬はどんな人物でしょうか。

 両親がいないなど、つらい過去を抱えながらも、それを感じさせないぐらい明るくて、屈託のない笑顔がすてきな女の子です。直虎の幼少期のおとわちゃんにもどこか似たところがあって、考えたことをすぐ行動に移してしまう、ちょっと少年ぽいところが、すごくかわいいです。

-高瀬を演じる上で、心掛けていることは?

 屈託のない明るさや笑顔、ちょっと男の子っぽいところはずっと大事にしていきたいです。最初は百姓育ちで所作も全然なっていませんが、少しずつ身につけていく様子は、レッスンで学んだことを一生懸命発揮して、変化を出していければと思っています。

-百姓育ちの高瀬は、言葉遣いも井伊家の他の人とは違いますね。大変ではありませんか。

 難しいのはイントネーションです。私は関西出身なので、関西弁が混ざって不思議な言葉になってしまったり、「ありがとう」の一言でもイントネーションが違ったり…。すごく難しいですけど、方言指導の先生に相談しながら楽しくやっています。

-高瀬のどんなところに共感しますか。

 思ったらすぐに行動に移すところは似ています。例えば、お花が好きだと聞いたら、そのお花を取りに行くために一生懸命崖を上ったり…。私も、何かしようと思ったら、考えるより先に行動するタイプなので。でも、つらい過去を抱えているのに素直で明るく、悲しそうな顔を見せずに、笑顔でいられる芯の強いところはすごいなと感じました。

-柴咲コウさんの印象は?

 初めてお会いしたのは、衣装を着ていない時でしたが、オーラがあって、すごくすてきな女性でした。でも、撮影の時は雰囲気ががらりと変わって、直虎さんとしての風格が漂っていて、カッコよかったです。

-柴咲さんからアドバイスなどはありましたか。

 高瀬がまだ井伊の屋敷に来たばかりの場面で、私がうまく演じられずに悩んでいた時に頂いたアドバイスが、とても印象に残っています。それは、「目線一つで身分の差が分かる」ということでした。それまで私はそういう意識がなく、直虎と目を合わせていたのですが、目を合わせられない状況なので、胸元を見るということを教えていただいて、「なるほど」と納得して演じることができました。勉強になりましたし、すごくありがたかったです。

-大河ドラマ初出演の感想は?

 初めてのテレビドラマ出演でとても緊張していたのですが、すごく現場は楽しいです。時代劇のお芝居もたくさん勉強できて、毎日が充実しています。撮影初日は、南渓和尚(小林薫)と共演する場面でしたが、セットに入ったらその時代に戻ったような気分になりました。初めてということもあって緊張していたのですが、小林さんから言葉を掛けていただいたおかげで、リラックスしてお芝居をすることができました。

-時代劇の面白さは感じましたか。

 そうですね。着物を着て百姓の格好をさせていただいたら、すごく生活感が出ていました。床のシミ具合なども本当にリアルで、その時代になじめたような、不思議な感覚になりました。

-今まで大河ドラマにどんな印象を持っていましたか。

 大河ドラマは小さいころから家族で一緒に見ていたので、すごくなじみがありました。特に印象に残っているのは、「平清盛」(12)です。まだ幼かったので、物語の細かい部分は分かりませんでしたが、学校で話題にもなったので、よく覚えています。私は歴史が好きで、特に戦国時代が好きなので、今回出演が決まった時はすごくうれしかったです。

-好きな戦国武将は誰でしょうか。

 もともとは織田信長と伊達政宗が大好きだったんですけど、今はやっぱり井伊直虎です(笑)。女性として生きていたら、全然違う生き方になったのでしょうけど、自分で当主になるという大きな決断をしたことがすごくカッコいいです。

-高橋さんは滋賀県ご出身とのことですが、井伊家は後に彦根、つまり現在の滋賀県に移ることになります。地元ゆかりの武将ということになりますが、井伊家に対してどんなイメージを持っていましたか。

 井伊家が地元に縁のある家だということは、この作品に出演が決まってから初めて知りました。それから本を買って読んだりして、井伊直虎について調べたのですが、知らなかったことがすごく悔しかったです。でも、こうやって知ることができて、井伊直虎という女性をもっと知りたいと思うようになりました。

-高瀬には謎めいた部分もありますが、今後の見どころを教えてください。

 高瀬は明るさや笑顔がすごく魅力的ですが、見ているうちに「ん?」と思う部分も出てきます。謎めいた高瀬の素性に関しては、これから徐々に明らかになっていくので、ぜひ注目してください。

(取材・文/井上健一)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

 韓国文化の“今”を再構築し続けるKカルチャー。今回は、デジタル空間で物語を紡ぐウェブトゥーンの世界に焦点を当てる。平凡な会社員ユミの頭の中で繰り広げられる細胞の物語――。2015年に連載を開始した「ユミの細胞たち」は、全512話で32億ビ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

Willfriends

page top