「たくさんの人に愛情を注がれた分、虎松はみんなを守る優しい男の子になると思います」寺田心(井伊虎松)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年4月30日 / 20:45

 井伊家の跡継ぎとして、直虎(柴咲コウ)の後見を受けて大事に育てられることになったのが、直親(三浦春馬)の遺児・虎松である。後に直政を名乗り、隆盛の礎を築くことになる井伊家の“新たなる希望”の子ども時代を演じるのは、人気子役の寺田心。8歳の少年らしく愛嬌(あいきょう)たっぷりに、初めて体験した大河ドラマの舞台裏を語ってくれた。

 

○虎松(寺田心くん)17_32_026_0303Fcut-大河ドラマ初出演が決まって、一番喜んでくれたのは誰ですか。

 おばあちゃんです。おばあちゃんは大河ドラマをよく見ているので、喜んでくれました。

-おばあちゃんと一緒に大河ドラマを見たことはありますか。

 まだ全部は見られていないんですけど、おばあちゃんが鹿児島出身で「鹿児島の人も見ているんだよ」と言っていたので、一緒に「篤姫」(08)を見ています。

-虎松を演じてみて、大変だったことや楽しかったことは、どんなところでしょう。

 普段とは全然違う髪形や着物なので、全然違う僕になったみたいで楽しいです。難しかったのは、僕は左利きなので、右手で何かをすることです。ご飯を食べる時とか、常に意識をしています。右手で食べなきゃって。

-昔の言葉を話すのは難しいですか。

 先生がいろいろ教えてくれます。やっぱり難しいけれど、おばあちゃんとお母さんが鹿児島出身で、昔の言葉とちょっと似ているところがあるから、教えてもらって一緒に練習しています。

-台本をもらった後、どんなふうにお芝居の練習をしていますか。

 分からない漢字はお母さんに付箋を貼ってもらったり、読み仮名を書いてもらったりして、「ここはこうだよ」って教えてもらって一緒に練習しています。こういう時はこういう気持ちでとか、こういう時は悲しい気持ちでとか、いろいろあるんですけど、お母さんも監督さんもマネジャーさんも、いっぱい教えてくれるから、分かりやすいです。

-虎松を演じるために、どんな準備をしましたか。

 直虎さんの本は持っていたんですけど、漢字がいっぱいあって難しいので、虎松が住んでいた鳳来寺に、おばあちゃんとお母さんに連れていってもらいました。自然の空気がいっぱい感じられて、虎松はこんなところに住んでいたんだなということが分かりました。おばあちゃんはすごいです。1425段もある鳳来寺の石段を一緒に上りました。僕は一番若いけどまだ8歳なので、疲れてぜえぜえ言っていたら、「子どもだから、もっと体力あるでしょ」って怒られました(笑)。

-虎松は口数が少なく、人見知りの性格ですが、どんなことに気を付けて演じていますか。

 僕はおしゃべりが好きなので、心の中で「演技しているな、演技しているな」と思いながらやっています。虎松は人見知りだし、言葉もあまりしゃべらないけど、でもそれはそういう役なんだなって、勉強になります。あと、虎松だったらどんなふうに思うのかなって、考えるようにしています。

-虎松が囲碁をする場面がありますね。

 碁石の持ち方も教えてもらいました。全部右手で打つんです。でも、碁石の大きさは大人と一緒なので、ポテッと落ちちゃうこともあって、ちょっと難しかったです。碁は亥之助くんにずっと負けていたけど、1回だけ勝てました。それはちょっとうれしかったです。

-刺しゅうはいかがでしたか。

 針を持ったのは生まれて初めてだったので、難しかったけれど、楽しかったです。刺しゅうは、表だけを縫ったり、裏も見えるように両方縫ったり、いろいろあるんです。先生が教えてくれました。

-自分と虎松が似ているところはありますか。

 泣き虫なところは似ているかな…。虎松は悔し泣きしちゃうから。でも僕は、虎松みたいに人見知りではないです。

-大きくなったら、虎松はどんな大人になるでしょう。

 たくさんの人に愛情を注がれた分、母上や直虎さん、井伊家の方々や民、みんなを守る優しい男の子になると思います。

-撮影の合間、直虎役の柴咲コウさんや母しの役の貫地谷しほりさんとは、どんなお話をしていますか。

 直虎(柴咲)さんと、いっぱいお話をしていたら、「おじいさんが入っているの?」と言われました(笑)。「入ってないです。後ろにチャックないです」って思いました(笑)。でも、直虎さんは、僕が集中できるように集中の仕方を教えてくださいました。だから集中する時は、教わった通りに目をつぶって、虎松のことを考えるようにしています。しの(貫地谷)さんは、笑顔がすごくすてきな方で、優しくしてくれて、本当のお母さんみたいに振る舞ってくれます。一緒にお菓子を食べたり、鳳来寺の話をしたりしました。

-今まで撮影した中で、印象的だった場面は?

 第17回で、初めて虎松が母上に気持ちを伝えるところです。その前に直虎さんとのやり取りがあって、直虎さんは怖いけど一番気持ちを分かってくれていたことを知って、しゃべらなかった虎松が、そこで思いを全部伝えるんです。そこは泣くシーンでもあったので、大変でした。

-第17回で虎松は、お寺で手習いをしていた途中で逃げ出してしまいますね。

 そうなんです。虎松は人見知りだし、まだ小さくてちょっと弱いから…。僕と同じでちょっと弱いし、それで負けてばっかりだから、逃げ出したんじゃないのかなと思います。

-視聴者には、虎松のどんなところに注目してほしいですか。

 泣き虫な虎松が、井伊家の跡継ぎとしてちょっとずつ成長していくところです。あと、根付です。今でいうキーホルダーみたいなものを虎松が持っているんですけど、その袋の中にはお父さんの直親の形見である琥珀の石が入っているんです。そういう細かいところもちゃんと作っているので、注目して見てください。

(取材・文/井上健一)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井内悠陽「自分を貫くことは大切。でも、時には柔軟性も必要」 映画『爆上戦隊ブンブンジャー』で映画初主演を飾る20歳の新星【インタビュー】

映画2024年7月27日

 7月26日から公開中の『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』は、テレビ朝日系で大人気放送中のスーパー戦隊シリーズ第48作「爆上戦隊ブンブンジャー」初の劇場版だ。本作でブンブンジャーのリーダー、ブンレッド/範道 … 続きを読む

田中真弓「70歳、新人のつもりで頑張っています」憧れだった朝ドラレギュラー出演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年7月26日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。新潟地家裁三条支部に赴任し、娘・優未(竹澤咲子)と2人だけの暮らしに苦労する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)を助けるため、かつて花江(森田望智)の家で女中として働き、第7週で故郷の新潟に帰った稲が … 続きを読む

真彩希帆、憧れの「モーツァルト!」でコンスタンツェ役 「この作品を見に来て良かったと感じていただきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年7月26日

 「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、その高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が、8月19日から帝国劇場にて上演される。2002年の日本初演以来 … 続きを読む

【週末映画コラム】歴史の「if」を描いた2本『もしも徳川家康が総理大臣になったら』/『お隣さんはヒトラー?』

映画2024年7月26日

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開)  新型コロナウィルスがまん延した2020年。首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は、最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活 … 続きを読む

鈴木梨央「特撮映画の魅力を実感しました」子役時代から活躍してきた若手俳優が、ファンタジー映画に主演『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』【インタビュー】

映画2024年7月25日

 高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生 … 続きを読む

Willfriends

page top