【インタビュー】「みをつくし料理帖」黒木華「料理のシーンは全部自分でやらせてもらいました」

2017年5月17日 / 08:15

 高田郁の同名小説を基に、天涯孤独な澪が料理の腕一本を頼りに大坂から江戸に行き、艱難(かんなん)辛苦を乗り越え、やがて一流の料理人になるまでの波瀾(はらん)万丈な人生を描いた、NHKの土曜時代ドラマ「みをつくし料理帖」。本作で、吹き替えなしで料理シーンに挑むなど、見事に澪を体現した黒木華が、役づくりの苦労について、また“昭和顔”と呼ばれることへの素直な思いや、師匠ともいえる演出家の野田秀樹から授かった女優を続ける上での金言などを明かした。

 

料理人となる澪を演じた黒木華

料理人となる澪を演じた黒木華

-役づくりのために、クランクイン前に料理を一から習ったそうですね。

 出汁の引き方やお米の炊き方などを基礎から教えていただきましたし、家では和包丁の使い方に慣れるために、大根を買い、何度もかつらむきをしました。教えていただいたことは普段から使えることばかりなので、勉強になりました。

-料理以外の役づくりとして、特にこだわった点は?

 やはり着物での所作には気をつけています。生活に染みついた、手慣れた動きに見えるようにするにはどうすればいいかを常に考えていますし、そのために料理のレッスンは着物でやっていました。

-澪が困った時によく見せる“下がり眉”がかわいらしく、こちらにもこだわりを感じますが。

 下がり眉が澪のアイデンティティーで、原作を読んだ時もそこがすごくチャーミングだと感じたので、鏡を見て練習をして、撮影では気持ちを大切にし、意識して眉を下げるようにしました。

-明るくひた向きに料理の道を進む澪ですが、ご自身と共通する部分はありますか。

 澪は料理に対してですが、譲れない情熱や芯の強さを持っているところは似ています。と言っても、私の方は少しさぼりがちですけど(笑)。でも、真っ直ぐに何かと向き合う姿勢は尊敬できるし、自分もそうありたいと思います。

-黒木さんの料理の腕前は?

 煮物や煮魚が好きなので、普段からよく作ります。以前は夜中にうどんを打っていましたが、最近は夜、シフォンケーキなどのお菓子を作っています。

-夜にお菓子作りをする理由は?

 無になりたい時や(心が)ザワザワしている時は眠れないので、別のことをしている方が生産的だと思って…。料理をしている時は仕事のことを考えなくていいんです。

-澪の料理の原点はかゆですが、黒木さんにとって忘れられない家庭の味は何ですか。

 母はすごく料理が上手で、何でもおいしいので…。強いて言えば、実家に帰ったら必ず家族で作るギョウザですかね。みんなで会話をしながら一緒に作るということも好きです。

-上方と江戸の文化や味の違いに悩む澪ですが、大阪出身の黒木さんは上京して戸惑ったことはありますか。

 今の時代はそんなに変わることもないと思いますが、東京の電車の中は割と静かだと思いました。あと、初めて渋谷に行った時に、駅でそばを食べたんですが、出汁のしょうゆの味が濃くて、本当に違うんだとびっくりしました。

-澪が思いを寄せる武士・小松原演じる森山未來さんとは初共演ですが、印象は?

 本当に色っぽくて、時代劇をやったことがないというのが不思議なぐらい、たたずまいが美しいです。それは(ダンスで)体を使っているからなんでしょうか。舞台作品を見ていてもオーラや華やかさを感じます。

-澪を一途に思う男性として町医者の永田源斉(永山絢斗)も登場しますが、黒木さんは小松原と源斉、どちらが好みですか。

 森山さんも絢斗さんも本当に格好良くて、時代物が似合うすてきな男性だと思って見ていますが、私は小松原さんが好きです。今回のドラマにはないのですが、原作には小松原が両思いの澪との恋を、彼女のために諦めるシーンがあって、その大人で切ない恋がすてきでキュンとしました。やっぱり大人な人がいいですね。

-素朴でナチュラルな魅力があることから“昭和顔女優”と呼ばれ、共演の小日向文世さんも「日本髪が本当に似合う」とべた褒めですが、そう呼ばれることについてはいかがですか。

 (昭和顔と言われて)すごくうれしい!とまではいきませんが、(その時代を生きている人として)視聴者にストレスなく見てもらえるだろうし、いろんな時代(の役)ができるとポジティブに捉え、ありがたいことだと思っています

-澪は「食は人の天なり」という言葉を大切にしていますが、黒木さんは人生の支えとなる言葉を持っていますか。

 「楽しむこと」を忘れないようにしています。それから、私の役者人生が始まったのは野田(秀樹)さんのおかげでもあるので、「女優は自分で考えなくちゃいけない」と言われたことも心にとめています。それはデビュー当時、他の人から「こうした方がいい、ああした方がいい」と言われ、どう演じていいのか分からない…と悩んでいた時だったんですが、結局、役者は自分自身でどう演じるかを選択しなきゃいけないし、その役の責任は自分にあることを教えられました。

-最後に視聴者にメッセージを。

 撮影では3キロほどもあるカツオを一からおろすなど、有り難いことに料理のシーンは全部自分でやらせてもらいました。和包丁の持ち方や盛り付けにもこだわって撮ってくださっているので、そんな料理が出てくる場面をぜひ見てください。

(取材・文/錦怜那)

森山未來(左)と黒木華

森山未來(左)と黒木華


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【インタビュー】『ここは退屈迎えに来て』橋本愛「この映画に参加できたことは、ものすごい宝物になりました」成田凌「役作りでウイスキーをがぶ飲み。キツかった(笑)」

映画2018年10月18日

 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、『彼女の人生は間違いじゃない』(17)など、数々のヒット作や話題作を送り出してきた名匠・廣木隆一監督の下、注目の若手キャストが一堂に会した『ここは退屈迎えに来て』が、10月19日から全国ロードショーされる。 … 続きを読む

【インタビュー】『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』川島海荷、3度目にしてアフレコを楽しむ余裕! でも、「自分の声は恥ずかしい…」

映画2018年10月18日

 モンスターと人間が織り成す、笑って泣けるストーリーが人気を集め、大ヒットを飛ばしているアニメーション映画シリーズ『モンスター・ホテル』。第3弾となる『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』では、家族旅行で乗り込んだ豪華客 … 続きを読む

【2.5次元インタビュー】須賀健太&遊馬晃祐&有田賢史 演劇「ハイキュー!!」卒業に向けて「最後まで変わらず貫き通す」

舞台・ミュージカル2018年10月18日

 主演の須賀健太をはじめ、烏野高校排球部のメンバーを演じるキャストたちが卒業することも発表され、さらなる注目を集める、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“最強の場所(チーム)”が10月20日に開幕する。本作は『週刊少年ジャンプ』 … 続きを読む

「第38回の台本を読んだときは、つらくて泣いてしまいました」柏木由紀(西郷園)【「西郷どん」インタビュー】

ドラマ2018年10月14日

 新政府軍と旧幕府勢力が激突した戊辰戦争。その戦いは、西郷吉之助(鈴木亮平)の故郷・薩摩で暮らす女性たちとも無縁ではない。その1人が、西郷家の次男・吉二郎(渡部豪太)の妻・園だ。戊辰戦争で命を落とした吉二郎の遺志を継ぎ、西郷家を支えていくこ … 続きを読む

「自分のやるべきことを全うしたという気持ちです」渡部豪太(西郷吉二郎)【「西郷どん」インタビュー】

ドラマ2018年10月14日

 若い頃から藩のため、国のために各地を奔走してきた西郷吉之助(鈴木亮平)に代わり、薩摩の西郷家を守り続けてきたのが、次男の吉二郎だ。吉之助にとっては大切な弟であったが、「一生に一度、侍らしく戦場を駆け回りたい」という願いと共に従軍した戊辰戦 … 続きを読む

アクセスランキング RANKING

page top