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木村拓哉が不死身の体を持つ隻眼の剣士・万次に扮(ふん)して、強敵たちと死闘を繰り広げる“ぶった斬り”アクションエンターテインメント『無限の住人』が、4月29日から公開される。沙村広明氏の人気コミックを映画化した本作で、万次と共に両親の敵討ちに挑むヒロイン浅野凜を演じたのが、2016年に「とと姉ちゃん」、『湯を沸かすほどの熱い愛』で大きな飛躍を遂げた杉咲花。今最も注目を集める若手女優の一人に、「学ぶことが多かった」と振り返る本作の舞台裏を聞いた。
新しいことに挑戦できるうれしさと希望が湧いてきて、とても楽しみでした。三池(崇史監督)組に参加できるということにもワクワクしました。プレッシャーもありましたが、それを意識してもいい方向にはいかないので、あまり考えないようにしました。
最初は、「すごくピリピリした現場なのかな?」と想像していたのですが、行ってみたらとても楽しかったです。スタッフの皆さんがずっと三池監督と組まれてきた方ばかりで、空気も出来上がっていたので、入った瞬間からとても居心地が良くて。まだスタッフの方の名前も全く分からない状態でも、必要以上に緊張せずにいられました。プロフェッショナルな方たちが集まっていて、すごく刺激的な現場でした。
初めてお会いした時、一番に言われたのが「原作をリスペクトしたい」ということです。監督は、原作を全部タブレットに入れて、撮影中も常にそれを見ていました。ただ、それを見ながら演技の指示をするということはなく、思うようにやらせていただけました。
凜と万次の関係性ですね。恋人でもなく、家族でもないけれど、それよりもっと深いところでつながり合っている。損得なしに人を愛せる関係性にすごく引かれました。
木村さんは、ご本人が映っていない時でも、私の目線の先に万次さんがいる場面では、必ず一緒にお芝居をしてくださいました。真冬の京都の山の中という非常に寒い場所での撮影だったので、誰にでもできることではありません。木村さんには、本当に助けていただきました。
休憩中は、作品と全く関係ない話で楽しませてくれました。皆に緊張感が生まれてきた時にも、三池監督や木村さんがふっと現場が和むことを言ってくださって、居心地のいい環境を作ってくださいました。演技について話すことはほとんどありませんでしたが、凜と万次のように話さなくても通じ合えている感覚があって、撮影中も大丈夫だという安心感がありました。
敵討ちに関わってくる凜の過去については、映画の中ではあまり描かれていないので、どうやって自分の中で気持ちを保つかということが一番心配でした。でも、そこは原作を読んで、できる限り考えて、あとは万次さんを信じて現場で出てきた生の感情でやるしかないと思って演じました。いかに集中力を切らさずにいられるかという、自分との戦いもありました。
そうなんです。凜を演じている時は、糸がピンと張ったような張り詰めた状態でしたが、町の時はふっと息抜きできる感覚があって楽しかったです。
撮影前に1~2カ月ぐらい稽古しましたが、練習の時の木刀と本番で使う刀は重さも違うので、やっぱり大変でした。お互いに本気でやりながらも、けがをしないようにしなくてはいけませんし。凜は短刀を一斉に投げる“殺陣黄金蟲”という技も使うのですが、それは体を思い切り後ろに反らせて声を出しながらやるので、体勢がきつかったです(笑)。
こういう殺陣はやればやるほど上達してやりがいがありますし、見て楽しくてスリルもありますよね。私も体を動かすことが好きなので、機会があればぜひまたやってみたいです。
とても勉強することの多い現場だったので、この作品を経験して、自分の中で仕事に対する意識も変わりました。特に、木村さんからはいろいろなことを学ばせていただきました。相手を敬うという意識をすごく持っている方で、それは目上の人に対してだけでなく、私に対しても同じでした。人から尊敬され、現場でもたくさんのスタッフに愛されて、お仕事されている。その姿を見て、私も製作に関わる人間として、これからも、皆さんと向き合って作品を作り上げて行きたいという思いが強くなりました。
どのシーンも、スタッフの皆さんや木村さんに助けていただいて、何とか乗り越えられました。最初から最後まで、見落とせないぐらいいろんなものが詰まっています。そんな中でも、一番の見どころはやっぱり、300人の敵と戦うクライマックスです。2週間ぐらいかけて撮影したのですが、本当に殺し合いが目の前で起きているような感覚で、いつ死んでもおかしくないと思うぐらい怖くて、命懸けで演じていました。完成した映画にも、その切迫感や臨場感がまるごと映像からにじみ出ています。皆さんにも楽しんでいただきたいです。
(取材・文/井上健一)
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