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次郎法師(後の井伊直虎=柴咲コウ)の友であり、後に井伊家の主君となる松平元康(後の徳川家康=阿部サダヲ)の正妻。それが瀬名である。井伊家から今川家への人質となった佐名(花總まり)の娘という宿命を背負いつつ、直虎に劣らぬ波乱の生涯を送ることになる。後に築山殿と呼ばれ、“悪女”とも評される人物を、1人の人間として生き生きと演じる菜々緒が、役に込めた思いを語った。
お話を頂いた時は、すごくうれしかったです。ただ、初めての大河ドラマなので、緊張とプレッシャーも大きかったです。撮影に入る前には台本を読み込んで、歴史も自分なりに勉強して準備したものの、とにかく緊張が解けませんでした。所作や衣装が現代劇とは全く異なる上に、初登場のシーンで舞を踊るなど、初挑戦のことも多かったので、練習を重ねて撮影に臨みました。
いつの時代も女性は強い生き物ですが、瀬名は本当にしっかりしていて、強い女性ですよね。私はしっかり、はっきりしている女性が好きなので、演じていてすごく楽しいです。その一方で、自分の故郷や母との約束を大事にしているあたりからは、優しさや思いやりを持った女性であることがうかがえます。そういった人柄が、細かく皆さんに伝わるように演じていきたいです。
瀬名に関しては、そもそも残っている資料が少ない上に、人柄や生きざまについては諸説あるそうです。言われているような悪女として描かれるのであれば、それは私が得意としている役柄ですし、そうではなく、悲劇的な運命をたどる女性になるのであれば、私にとっても新境地になるだろうと思っています。どちらになるのか、とても興味がありますし、私自身もどう演じていけるのか、楽しみにしています。
年上の女房ということもありますが、圧倒的に元康より瀬名の方が上の立ち位置にいます。桶狭間の戦いに出陣する時に力強く「ご出世を!」と声を掛けた場面も、激励というより、絶対にそうならなくてはいけない、といった感じでしたし。昔も今も鬼嫁というものは存在するのだなと(笑)。その一方で、自分に余裕がない時でも、毅然と振る舞って背中を押すようなことを言う場面もあったりするので、母としても妻としても、瀬名は器が大きくて強い女性です。
阿部さんとの共演は、和やかで面白いシーンが多いので、毎回楽しく撮影をさせていただいています。瀬名と元康の掛け合いはコミカルに描かれていることもあって、SNSなどで発信させていただくと、2人の仲むつまじい様子に癒やされるというコメントをよく頂きます。緊迫したドラマの中で、視聴者の皆さんにホッとしていただける箸休めのような存在になったらいいですね。
母親役は初めてなので、すごく新鮮です。今とは違って、私の年齢よりもずっと若い時に母親になり、子だくさんという時代だったので、赤ん坊を抱いている場面などを演じさせていただくと、不思議な気持ちになります。
なるべくお話をするようにしていますが、なにしろ育った時代が違うので、見ているテレビの話をされても全然分かりません。勉強不足です(笑)。印象的だったのは、元康が桶狭間に出陣する前に、竹千代が「ご武運を」と言う場面です。撮影の時は、竹千代役の子がなかなかせりふを言えなくて、他の子に交代しようか、という話も出ました。でもその途端、その子が「僕やる」と奮い立って、その後1、2回で演じ切ったんです。それを見た時、こんな小さな子でもプライドがあるんだ、と感心しました。
次郎法師は家や家族のために、自分を犠牲にして出家していますが、瀬名も同じように家のために元康と結婚させられています。そういった部分で、瀬名は次郎法師に対して自分と近いものを感じているのではないでしょうか。
私がもし、この時の瀬名と同じような立場に置かれたとしたら、やっぱり諦めてしまうと思うんです。そんな状況でわざわざ次郎法師が命乞いに来てくれたことには、とても心を動かされました。だから、お芝居をしようと考えなくても入り込めたシーンでした。
あそこは、すごく難しかったです。今川を手に入れるということは、幼いころからの自分の夢だったし、亡き母との最後の約束を果たしたいという強い気持ちもあって、門を開けないという選択をしたと思うのですが…。あとは、子どものことですよね。そのあたりで、母として、娘として、女としてやるべきことをやらないといけないと考えたのではないでしょうか。とても重要なシーンでした。
瀬名と元康はしばらく離れ離れになってしまいますが、少し先になると久しぶりに再会する場面があります。そこで2人は長い会話をするのですが、元康も“三河のぼんやり”ではなく、成長した姿を見せてくれます。それでもやっぱり、立ち位置としては瀬名の方が上で、弱音を吐く元康に喝を入れたり、くすっと笑えるような部分もあったりします。そこは2人のいい関係性がギュッと詰まったシーンになっていると思うので、ぜひ見てほしいです。私自身も楽しみにしています。
(取材・文/井上健一)
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