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黒川博行の直木賞受賞作を実写化した映画『破門 ふたりのヤクビョーガミ』が1月28日から公開される。佐々木蔵之介演じるイケイケやくざの桑原と、関ジャニ∞の横山裕演じるぐーたら貧乏の二宮という凸凹コンビが、もうけ話にだまされ、詐欺師の小清水(橋爪功)を追って関西、マカオを奔走する姿を、アクションと関西弁の軽妙な掛け合い満載で描く。「“狂犬の桑原”を演じることに魅力はあります。それは、彼を必ずしも“悪い奴”と思って演じていないから」と話し、初のやくざ役とは思えないはまりぶりで桑原を演じ切った佐々木が、役に込めた思いと撮影エピソードを語った。
なかなか巡り合えない役ですよね。けんかが強くて、金勘定ができて、ユーモアがある、という無敵なキャラクターは、近くにいたら怖いし嫌やけど、見ている分には格好いいし、憧れるところはあります。単純に「うれしい」というわけではないけど、魅力的な有り難い役に巡り合えたと思います。
“やくざ”という認識ではなく、“桑原”というキャラクターを演じようと考えました。その中で、生命力が強いところや、彼なりの正義を突き抜けていくエネルギーを大切にしようと思いました。
役者は自分じゃない者を演じるわけだから、似ているところより違うところを探して、役を自分に引っ張ってくるより、向かっていくことを考えています。特にこれは向かっていく必要がある役だったので、共通点は探さないようにしました。
方言は標準語よりも力がありますし、関西弁はネイティブランゲージですので、感情が出しやすい。そして、やっぱりユーモアがありますからね。やるかやられるか、刺すか刺されるか、という時でも関西弁だと面白い!
小林聖太郎監督も関西人なので、互いにやりたいことのニュアンスは伝わりやすいし、現場は柔らかくて滑らかな感じがしました。北川景子さん(二宮のいとこ・悠紀役)は映像で関西弁を使うのは初めてみたいで、スクリーンを通した姿は新鮮でした。
そういう話しはしていませんが、クランクイン前に僕と横山さんと小林監督で台本の読み合わせはしました。その時に小林監督から「テンポがいい。2人は金の面だけでつながっているからコンビっぽく見えたくない」と指摘されたので、掛け合いで面白くなってしまわないように、ここで(次の言葉が)入ったらおもろいけど、敢えて外すとか、丁寧に作ろうと考えました。
アクションはこの映画の肝だと思っています。でも、撮影初日と2日目でアクションシーンの山場を撮ることになり、役を構築する前だったので、役者もスタッフもどこまで振り切っていいのか分からず、戸惑いながらやっていました。「初日でこれか~」という感じでした。
劇中で、二宮が「歌うんかい!」って突っ込むんですけど、確かにそうですよね(笑)。あれは原作にはない小林監督のオリジナルです。「夜がないと星は見えない 悪がないと善は存在しない」という歌詞で、「誰が正義なのか悪なのかではない。彼なりの正義がある」みたいなところを出しているんです。歌詞と桑原の生きざまがリンクしているから、印象に残るんじゃないかな。
巡り合う役とどれだけ真摯(しんし)に向き合うか?だと思うので、「果たしてどうしたらいいんだろう?」と思う役とは出合いたいです。まぁ、役は自分ではないのだから、そんな悩むような役が続いていかないといけないですよね。そういう意味では、新しい役に挑戦したい気持ちはあります。それが役者の醍醐味(だいごみ)ですから。でも、肉体的にキツイのは…(笑)
桑原をやり切れたとは全然思ってないです。それはどの役でも作品でも「やったー、満点取れたー!」と思ったことはないです。そうはいってもまだ公開もされていないので、続編については…。でも、桑原は本当に魅力的な役柄だと思っています(笑)。
(取材・文・写真/錦怜那)
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