【インタビュー】『キセキ ーあの日のソビトー』忽那汐里「アナログが好き」 人生の岐路は大学で写真を学んだこと

2017年1月26日 / 10:00

 松坂桃李と菅田将暉のW主演で、二つの夢の間で悩みながら突き進む姿を描いた青春映画『キセキ ーあの日のソビトー』。GReeeeNの名曲「キセキ」の誕生秘話をモチーフにした本作で、菅田演じるメンバーの一人ヒデの夢を後押しする恋人の理香を演じた忽那汐里が、自身にとっての人生の決断やカメラ好きな一面を語った。

 

ヘアメイク:山田良典 スタイリスト:櫻井まさえ(Irakusa)

ヘアメイク:山田良典 スタイリスト:櫻井まさえ(Irakusa)

―劇中ではヒデの夢を応援する大事な役どころを演じていますが、役作りで意識したことは?

 今回はあまり作りこんだりはしませんでした。撮影はほとんど菅田さんと二人きりで、短い時間でしたので、できることの幅がない分、菅田さんのお芝居を受けて素で過ごしている感じを意識しました。

―菅田さんの印象はいかがでしたか。

 撮影期間はすごく短かったのですが、以前現場ですれ違ったことがあり、年齢も近いので、共通の話題もあって撮影の合間にお話をしたりしていました。

─忽那さんは出演作のジャンルが幅広い印象がありますが、役柄がかぶらないように意識することはありますか。

 そういう理由で仕事を選んだことはないです。仕事を選ぶ時は、お仕事がしたい監督さんや作品で。役柄に魅力を感じたり、作品の発するメッセージに自分も参加したい気持ちが大きいです。

―この映画ではどういう部分に引かれましたか。

 今まであまり実話をベースにした作品に参加したことがなかったので、出演したいと思いました。以前実話の作品に出演した時は、歴史もので「伝えること」に責任感もありました。でも、(創作作品とは)全然違う角度から作品を作っていくような気がして面白かったです。映画などで実話と違うと批判を受けることもありますが、内容を魅力的に伝えたり、見てもらう人が面白いと思ってくれなくては伝える意味もないので、多少は違う角度でもいいと思っています。

―この映画では、主人公が二つの夢(歯科医と歌手)との岐路で悩みますが、ご自身もそういう選択を迫られたことはありますか。

 大学がまさにそうでした。この仕事をしていて大学を選択する人があまりいなかったので、「必要ある?」と聞かれたこともありました。でも、あの時は自分に必要なことだと思っていて。2年通って辞めましたけど、目的は就職ではなくて写真を勉強することだったので、後の2年間は、ゼミとかは必要ないと思って。でも行ってすごく良かったです。

―大学で写真を勉強した理由は?

 映画もフィルムからデジタルに変わる時代で、その時に行かないとフィルムの授業がなくなる可能性もあると思って行きました。アナログが好きで自分で現像から行いたかったし、暗室を自分の部屋に作るのも大変なので、大学という環境があった方が学びやすいと思って。

―ご自身が演じられた理香のように、自分の夢を支えてくれる存在の人はいましたか。

 いつもいました。私は母親が一番そういう存在でした。芸能活動を始めた時はまだ14歳と若かったし、日本に住んでいたわけではないので、心配してオーストラリアから来てくれたことは忘れないです。もちろん血は日本人ですけど、オーストラリアに住んでいたころは日本語もあまりしゃべれないですし、中身は外国人みたいなもので。それで14歳でいきなり異国に来るような感じでした。

─忽那さんが「第11回 全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞に輝いたのが2006年、ドラマ『3年B組金八先生』で女優デビューしたのが07年と、GReeeeNと同時期にデビューしていますが、本作の楽曲「キセキ」に対する思い出などはありますか。

 そうなんですよね。そういう経緯は知らずに聴いていましたが、当時、一世を風靡(ふうび)していたのは覚えています。音楽って普段自分で選んで聴くものとその当時流行していて聴くだけで思い出が一気によみがえるものがあると思うけど、「キセキ」は私にとって後者のような、思い出のある曲です。

―音楽もお好きだそうですが、普段はどんなものを聴いていますか。

 完全にロックです。音楽が好きなのでレコードとかもたくさんあって、日本に来て数年は、1日のうちに人と話しているよりも音楽を聴いていることの方が多いぐらいでした。あと、毎週のようにCDショップに行ってCDやレコードを探したりしていて、音楽は私にとって大事な要素です。

―劇中で、CDショップでアルバイトをするシーンがありますね。

 CD屋さんは憧れました。店舗もよく行っていた所だったのでうれしかったです。

─音楽好きな忽那さんにとって死ぬ前に聴きたい1枚は?

 ザ・ローリング・ストーンズですかね。以前は断然ビートルズ派でしたけど、ここ数年でストーンズに変わりました。

―最後に映画のPRをお願いします。

 一世を風靡した曲の背景に実はこういう物語があったことを知っていただけたら皆さんも違った感じに聴こえてくるかもしれないと思いますので、ぜひ見ていただけたらと思います。

(取材/文/撮影:中村好伸)

『キセキ ーあの日のソビトー』の忽那汐里

『キセキ ーあの日のソビトー』の忽那汐里


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)  太平洋戦争末期の昭和19年。21歳の日本兵・田丸均(声:板垣李光人)は、南国の美しい島・パラオのペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才能を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族 … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

Willfriends

page top