「初軍議のシーンで勢いよく演じたら、堺さんから『とても良かった』と言っていただきました」白石隼也(木村重成)【真田丸インタビュー】

2016年12月4日 / 20:45

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、豊臣秀頼(中川大志)の側近として仕え、大坂の陣で真田幸村(堺雅人)らと運命を共にする木村重成を演じている白石隼也。最後まで豊臣家への忠誠心を貫いた重成の覚悟を語る。

 

木村重成役の白石隼也

木村重成役の白石隼也

-初大河、そして初時代劇ですね。

 いつか大河に出られたらいいなと思い乗馬を習っていました。三谷(幸喜)さんの作品も好きなのでうれしく思いました。ただ今回は馬には乗らないそうですけど(笑)。

-重成はどういう人物ですか。

 関連本を読み、お墓参りもしてきましたが、死後に歌舞伎などの創作で作られた人物像の方が残っていて、実際どういう人物だったのかという資料はほとんどないんです。(今回は)幸村が豊臣秀吉(小日向文世)に馬廻り衆として仕えていたころのような存在になっていると思います。

-重成の性格は?

 裏表がなく正義感が強い男。「真田丸」では描かれるかどうかは分かりませんが、大坂夏の陣で真田信之の息子2人が攻めてくるのを発見して「赤いかっちゅうを着て攻めてきているのはあなたのご家族ではないですか」と幸村に言うと、「あれはおいだ。木村殿に殺されるなら悔いはないだろう」と返されるんです。でも重成は「いや、この戦はじきに終わります。家来にはあの二人を狙わないように言っておきます」と言ったという話が残っています。若いけれど、どこか俯瞰して(物事を)見られる器の大きい人物だったんじゃないかと思います。

-幸村と軍議でやり合うシーンはいかがでしたか。

 軍議が初体験だと悟られないように重成は自分を大きく見せようとしているのかなと考えて、百戦錬磨の牢人に負けないように勢いよく演じました。そうしたら堺さんから「そういう芝居をしてくるとは思わなかった。すごく良かった」と言っていただきました。

-だんだん牢人衆の方に引き寄せられていきますね。

 (後藤)又兵衛(哀川翔)や幸村らの言うことの方が説得力があったからでしょう。幸村が皆を鼓舞するために強気なことを言ってくれているので、希望は捨てていなかったと思います。

-自分の母親が秀頼の乳母でもあり、いわば乳兄弟。友達でもあるし、結局二人はどういう関係だったと思いますか。

 重成が若くしてあの地位にいるのは、秀頼との関係があったから。秀頼には強い思いを持っていると思います。ある説では、秀次事件の時に家臣だった重成の父が殺されているにもかかわらず、息子の重成は大坂城で働かせてもらえている。そのことに感謝の念があったのだと思います。

-三谷さんらしいと感じるところは?

 せりふの一言二言でその人の人間性を表現するような脚本を書かれているので、どのキャラも魅力的です。

-豊臣家はあっけなく2代で終わってしまいますね。

 そのはかなさが魅力なのかな。でも、徳川家康(内野聖陽)がもっと早く死んでいたら、豊臣はもっと長く続いていただろうし、秀頼がもっと大きくなってから秀吉が死んでいれば、と考えていくと、生命力の強さが大事な時代なのかなと思いますね。

-これまでの放送をどう見ていましたか。

 どういう演技をするのかと思いながら見ていましたが、途中からただのファンとして楽しんでいました(笑)。

-歴史はお好きですか。

 今回勉強しました。面白いなと思ったのは、今の日本人の気質になったのは、家康が天下を取ったからなのかなということ。信長、秀吉がもっと繫栄してその後の日本人像を作っていっていたら、日本人の気質はこういうふうにはなっていなかったのかなと思います。

-少ない出演シーンの中で自分をどう印象づけていこうと思っていますか。

 役者をしていれば売れたい、人気を得たいという気持ちはありますが、そう思って演技をして失敗してきた過去があるので、やはり芝居は売れるためにするものではないですね(笑)。逆にその欲を排除したら、いい意味で目立てるのではないかと心のどこかで思っています。

-ということは、まさに重成みたいな存在ですね。

 ああ、そうですね。欲を出したら負け、な気がします。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

Willfriends

page top