「『自意識過剰な人を探していた』と言われて、なるほどと思いました」小手伸也(塙団右衛門)【真田丸インタビュー】

2016年11月20日 / 20:45

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、かつての主君から追放された失態の汚名返上のため、豊臣方についた浪人、塙団右衛門を演じている小手伸也。巧名にはやりがちな性格ながら、戦場では一歩もひるまない豪将の気概を語る。

 

塙団右衛門役の小手伸也

塙団右衛門役の小手伸也

-出演依頼を聞いていかがでしたか。

 歴史ものの舞台でチャンバラはやっていますけど、大河ドラマは夢の舞台。青天のへきれきで、びっくりしました。「なぜ僕なんですか」と聞いたら「ちょっと自意識過剰な方を探していた」とのことで、苦笑いしつつもなるほどと思いました。舞台では傍若無人な役もやっていますし、団右衛門も自己アピールの強い人だったそうなので、歩み寄れるキャラクターなんじゃないかと思いました。自意識過剰という一点突破で臨んでみようと思いました。

-演じてみていかがでしたか。

 過剰な性格だなと思いました(笑)。団右衛門の押しの強さに重心を置いて演じようと思ったので、初っぱなの「塙団右衛門です」というせりふに全力を込めたところ、三谷(幸喜)さんをはじめ、皆さん喜んでくださったみたいです。団右衛門は「夜討ちの大将・塙団右衛門」と書いた名刺のような木札を配るんですが、僕自身もフリーの舞台俳優だった時期が長いので、舞台の現場、現場で名刺を配ったんです。塙団右衛門と小手伸也ってやっていることが一緒だなと思って、自分のその経験を下地にしてやれば楽しくなるのかなと考えたら、初めての大河でもそんなに緊張せずにやれました。

-団右衛門は異色な経歴の人。チャンスがあっても次々に壊していく変わった人です。

 そこも自分と近いかな。団右衛門は主君が目まぐるしく変わっているし、一度はお坊さんにもなってます。僕も俳優一筋ではなくて、劇団を持ってそこで作家や演出をやったり、バラエティーの放送作家やウェブデザイナーをやったり、普通にアルバイトをしたり。順風満帆じゃないんですよ。あっちへ行っては頭をぶつけ、こっちに来ては溝にはまりで。

-団右衛門の生きざまをどう思いますか。

 シンプルな動機で動き、がむしゃらに戦うことを繰り返している、その生きざまが痛快です。団右衛門は現在的な感覚を持った人だったのかなと思います。和を貴ぶというよりは個人主義。そういう感覚は今の僕らの生き方にちょっと近いのかなと思っています。

-共に戦う大坂五人衆は癖のある人ばかりですね。

 自分の方がよほど変なんだけど。団右衛門は「俺は(五人衆とは)違うな」と思っているはずです(笑)。

-五人衆の皆さんをどう見ていますか?

 すごく芸達者な方々。舞台が多い人間なので、カメラに対してどう向き合うか、映像としての演技に対して不得手のイメージがあったので、勉強させていただくつもりで見ています。こっちのテンポで気持ち良くなるんではなく、監督さんが絵として決めていく中で決まるのが映像。そういうバランスがまだまだ体得できていないので勉強です。

-撮影現場の雰囲気は?

 三谷さんの書くキャラクターも面白いので、その面白さに追随するようにみんなも人間性を出していく。それですごくあったかい現場になっているんです。

-三谷さんとは面識があったんですか。

 野田秀樹さんの舞台に出演した時に見に来られていて、僕を見て「面白い顔をしているね」と言われたので「ありがとうございます」って答えてから、十何年たってようやく念願がかないました。

-真田幸村役の堺雅人さんとはお知り合いですか。

 同い年で、同じ早稲田の界隈で(別々の演劇サークルで)演劇をやっていた方なので、共演こそありませんが、互いを知っていました。僕は大学に入るのに2年かかったので、堺さんは3年生だったんですけど、そのころからプロ意識が強くて、尊敬していました。今回の撮影現場でも、「『塙団右衛門です』って言う時に、ちょっと見得を切ってみたら」とか、気になったことは堺さんも言ってくれるのでありがたいです。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

自然体の魅力で今年もお正月の主役  もはや新年早々の風物詩になりつつある。ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画のことだ。24年は『エクスペンダブルズ ニューブラッド』、2025年は『ビーキーパー』、そして今年26年は1月2日から『ワー … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

 2026年1月1日全国公開となる『迷宮のしおり』は、「マクロス」、「アクエリオン」シリーズなどで知られる河森正治監督初のオリジナル長編アニメーションだ。  引っ込み思案な女子高生・前澤栞(声:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ))は、親 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

Willfriends

page top