「非常に楽しいサラリーマン生活を送っています」 堺雅人(真田信繁)3 【真田丸インタビュー】

2016年4月3日 / 21:00

 NHKの大河ドラマ「真田丸」の主人公、真田信繁を演じる堺雅人。信繁は、真田家が豊臣秀吉(小日向文世)側に付いたため、人質として大坂城に移る。不安定な立場の中、秀吉や茶々(竹内結子)のもとでさまざまな人間関係にもまれ、多くのことを学ぶ信繁について堺が語る。

 

真田信繁役の堺雅人

真田信繁役の堺雅人

-いよいよ大坂編に突入ですね。

 14話からは第2楽章。物語のうねりが大きくなってくるので、こじんまりせず、視野を広くして、大きく動こうと思ってやっています。

-大坂に行って、信繁はどう成長していくんでしょうか。

 田舎で青春を過ごしていた人が、都会に出て当時の豊臣政権という大企業に就職するような感じで考えています。非常に楽しいサラリーマン生活を送っていますよ(笑)。かみしもをぴしっと着て、スーツみたいな感じです。一応、秀吉の警護を担当しますが、政策立案の会議にも参加させてもらったりしています。

-何か演技面で信繁の変化を表現していますか。

 お世話をしてくれる上司の石田三成を演じる山本耕史くんの影響でちょっとはきはき話すようになりましたかね。せりふ的には、前半は「私は」みたいなことばかり言っていたような気がしますが、大坂編に入ると「私は」の主語がなくなってしまうかもしれない。より歯車の一員になるような気がしています。

-「真田丸」で描かれる秀吉はいかがですか。

 ふざければふざけるほど目が笑っていない、怖い感じです。今まで描かれてきた秀吉は立身出世の人というイメージ。しかし信繁が出会った秀吉は後半生で、ちょっとおかしくなってくる時期なんですね。三谷幸喜さんは歯車が狂っていく秀吉を逃げずに書く、これまでとは別人の秀吉を真っ正面から描くおつもりなのではないかという気がしています。それはちょっと見ものです。歯車の狂い方が尋常じゃないし、巻き込まれがいがあります。

-秀吉を演じる小日向文世さんはいかがですか。

 今回はあて書きかもしれないですね。シェークスピアのお芝居に出てくるような道化師がそのまま権力を持っちゃったみたいな感じなんです。

-石田三成の魅力は?

 器用そうに見えて不器用なところでしょうか。破綻なく淡々と職務をこなすんですが、大きな目で見たら不器用な人生を歩んでいる感じがあります。山本耕史という役者は超人的な器用さに加えて、心のどこかに熱いものを持っている。それは石田三成にピッタリだと思います。

-キャストがずいぶん変わりましたが、現場の雰囲気は?

 きれいなお召し物の女優さんが増えたので、現場が華やかになりました。今までは高畑淳子さん演じる母上しかきれいなものを着ていませんでしたのでね(笑)。小日向さんが第2クールの主役なので、小日向さんのペースにみんなが合わせていて、「小日向文世と愉快な仲間たち」という感じでやっています(笑)。

-竹内結子さん演じる茶々に振り回されるシーンを演じていてどうでしたか。

  少女のような目と、大人の色気をたたえた目とがくるくる変わる感じがいいですね。茶々には子どもっぽいところだけでなく、危険な毒がありますから。竹内さんの茶々は素晴らしいです。

-大坂編を一言で言うと?

 三谷さんは人間関係が秀吉を中心とした、森繁久彌の「社長シリーズ」だとおっしゃっていたそうです。たぶん僕は小林桂樹さんの役あたりだと思います。

-今後はきりの存在が徐々に大きくなっていきますね。

 長澤まさみさんの役目は、物語全体を含めて状況をひっかき回す役。一つの方向に行くとそれを大きく戻すというか。ものすごく大事な役割だと思います。そういう難しいところを全部長澤さんがやってくださっているので、役者としても信頼しています。あのスケールの大きさと生き生きとした感じは、今後「真田丸」という物語の中でますます重要度が増してくるのではないかと思います。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む

Willfriends

page top