【週末映画コラム】伝統について考えてみる　歌舞伎役者として芸道に人生をささげた男『国宝』／京都愛の強過ぎる女性が引き起こす大騒動『ぶぶ漬けどうどす』

『ぶぶ漬けどうどす』（6月6日公開）

(C)2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会

　京都の老舗扇子店の長男と結婚し、東京から引っ越してきたフリーライターの澁澤まどか（深川麻衣）。450年の歴史を誇る老舗の暮らしぶりをコミックエッセーにしようと、義実家や街の女将さんたちの取材を始めるが、「本音と建前」を使い分ける京都の文化を知らず、女将さんたちを怒らせてしまう。

　京都の正しき伝道師になるべく奮闘するまどかだったが、事態は街中を巻き込んで思わぬ騒動へと発展していく。

　古都・京都を舞台に、京都愛の強過ぎる女性が引き起こす大騒動を描いたシニカルコメディー。アサダアツシのオリジナル脚本を基に、冨永昌敬監督がメガホンを取った。

　タイトルの「ぶぶ漬けどうどす」は、京都の人が早く帰ってほしい客に対して遠回しに言う言葉として知られる。

　義母役で室井滋、義父役で松尾貴史、まどかの仕事仲間の漫画家役で小野寺ずる、老舗料亭の女将役で片岡礼子、大学教授役で若葉竜也らが共演。

　かなり誇張して描いているところもあると思うが、確かに京都の人が使う本音と建前はよく分からないところがある。まどかの天然ぶりや暴走を通して、それを探ろうとしているのが、この映画のポイント。

　「翔んで埼玉」シリーズのような、直接的でパワフルで自虐的な面白さはないが、その分クスッと笑えるところがある。実際に京都の人が見たらどう感じるのかに興味が湧いた。

※深川麻衣インタビュー掲載中

（田中雄二）