【映画コラム】“演じること”について描いた『真実』と『スペシャルアクターズ』

2019年10月22日 / 10:00

(C)松竹ブロードキャスティング

 もう一本は、昨年大ヒットを記録したした『カメラを止めるな!』に続く上田慎一郎監督作『スペシャルアクターズ』。

 緊張すると気絶する売れない俳優の和人は、数年ぶりに弟の宏樹と再会し、“何でも演じること”を請け負う俳優事務所「スペシャルアクターズ」に誘われる。そんな中、カルト集団から旅館を守ってほしいという依頼がくる。

 オーディションで選んだ無名の俳優たちを使い、フィクションと、彼らのドキュメントの境界線を描くというもので、全体的には『カメラを止めるな!』と同じく、入れ子構造による“だましの芝居”が展開する。ただ『カメラを止めるな!』は、自主映画のような稚拙さが、かえっていい味になっていたのだが、今回は逆にいらいらさせられるところがあり、微妙な感じがしたのは否めない。

 だましの芝居として、『スティング』(73)のような粋や洗練さを求めるのは酷だとは思うが、どちらかといえば、これは三谷幸喜がよくやる、演劇くさい連続ギャグや、“落ちの一人酔い”に近いものがあると感じた。

 何にせよ、ホームラン級の大ヒット作の“次”を撮るのは大変なこと。その意味では、上田監督の苦悩は想像に難くないし、とりあえず凡打にはしなかった努力や、笑いの中で「演じることとは?」を突き詰めた心意気の方を買いたい気もする。(田中雄二)

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