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原爆という重いテーマを扱いながらも、市井の人々の日常をきめ細やかな描写と共につづった作風は、『この世界の片隅に』にも通じる。2007年に一度、実写映画化されており、今回はそれに次ぐ2度目の映像化ということで、七波の物語の舞台を平成30年に移していることが特徴だ。今回、皆実を演じるのは川栄李奈。七波役には常盤貴子が起用されており、どのように原作の世界にアプローチしたのか、気になるところだ。
映画版『この世界の片隅に』の再上映や、新バージョン製作とその動きが再び活気づき、連ドラ版も放送中。さらに『夕凪の街 桜の国』のドラマ化と、この夏、注目を集めるこうの史代。戦争の厳しさに正面から向き合いつつ、そこに生きる人々の姿を、ユーモアを交えて生き生きと描いたこれらの作品には、多くの人を引き付ける魅力があふれている。映画からドラマまで、映像化が続くこの機会に、原作にも手を伸ばしてみてはいかがだろうか。(井上健一)