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そんな泰時に、義時は厳しい態度で接するが、それが期待の裏返しであることは明らか。まだ未熟な部分もあるとはいえ、この回では実朝が側近に取り立てる際、「義時に異を唱えることができるのは、おまえだけだ」と頼るほどに成長した。
かつて義時は「鎌倉のために」と尽力しながらも、並み居る有力御家人たちの中では立場が弱かったため、孤軍奮闘するしかなく、それが現在の独走につながったともいえる。しかし、北条家の鎌倉支配が盤石となった今は、泰時の言葉に耳を傾けない者はいないだろう。
脚本の三谷幸喜は、10月9日放送のウラ話トークSPで「泰時が最後に、全ての登場人物の夢をかなえるみたいな感じの存在になっていく」と語っていた。
義時の後継者となる泰時が、おごり高ぶることなく思いやりの心を持ち、「みんなの力を一つに合わせて」新しい世を切り開いていけるのか。そして、そんな泰時に、義時はどんな思いを持って未来を託していくのか。残り6回、その行方を注視していきたい。
(井上健一)