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ここで思い出すのは第40回、義盛と一旦和解した義時が「和田を滅ぼすには、いい口実だったが」とこぼした一言を「またまた、思ってもないくせに」と笑い飛ばした弟・時房(瀬戸康史)の存在だ。
義盛の死によって空席となった侍所別当を兼務することになり、権力を掌握した義時を「兄上はすごい」と敬い、協力的な姿勢を見せる時房は、孤立を深める義時にとって唯一の理解者なのかもしれない。
義時に反発する息子・泰時、前回コラムで書いたように義時の暴走を止めるブレーキ役が期待される姉・政子、そしてとことん義時を支える時房。親しい仲間を失い、孤立を深める義時がこの家族たちとどんなドラマを繰り広げ、どこへたどり着くのか。
朗らかだった若い頃を知る身としては、なんとか義時の心が救われることを願いつつ、その行方を見守っていきたい。
(井上健一)