エンターテインメント・ウェブマガジン
最愛の娘を殺した少年に自ら裁きを下そうとする父親。彼の復讐(ふくしゅう)は正義か、それとも悪か…。東野圭吾の同名小説が原作で、日本でも2009年に寺尾聰主演で映画化された『さまよう刃』の韓国リメーク版が、9月6日から日本公開される。本作で主人公サンヒョンを熱演したチョン・ジェヨンに、作品に込めた思いを聞いた。
最初にシナリオを読んだとき、特別なものを感じました。これまでの復讐を描いた映画とは違うな、と。現在の韓国社会をリアルに反映していると思いましたし、被害者と加害者の立場がはっきりしていないところにも魅力を感じて、出演を決めました。
実は、先入観を持ってはいけないと思い、原作小説はあえて読んでいません。完全に新しい作品として、全く新しい人物を作り上げていく上での妨げになるのではないかと思ったので。日本で作られた映画も、一応どういう雰囲気なのかを見てみたいと思い、さらっと見ただけで、作品の雰囲気を把握するぐらいにしておきました。もちろんこれが正しい方法なのかどうかは分かりませんが、僕はそうしました。監督からも原作や映画を見るようには言われず、むしろ全く違う、似たような状況の父親を描いた作品を薦められたのでそれを見ました。
幾つかありましたが、最も印象に残っているのはダルデンヌ兄弟監督の『息子のまなざし』(02)です。
この作品は、今まで自分が演じてきた中でも本当に一番重い作品だと思います。そのせいか、撮影現場も重い雰囲気でした(苦笑)。僕は普段はよく冗談を言うタイプですが、今回の現場ではほとんど冗談を言っていないし、それだけキャラクターに入り込む努力をしていました。大変な作品だったなと思います。
彼がそういうふうに表現したのは、飲み会での僕を見て思ったことなんじゃないでしょうか(笑)。
そうですね…。最近受けた質問の中で一番難しいです(苦笑)。俳優は自分がどんな演技をする俳優なのかはよく分かりません。それは自分が判断するのではなく、あくまでも作品を見てくださる観客や、その演技を客観的に見てくれる監督が判断することだと思います。僕はただ、作品にふさわしい演技を一生懸命するのみです。
一番は妻の反応でした(笑)。僕は自分のところにシナリオが来ると、いつも妻にも読ませているんですが、最初にシナリオを読んだとき、やはり子どもに関する内容なので、妻はどうしても母親の立場から、この内容をあまり好ましく思わなかったようです。それでとても心配していたんですが、映画を見た後は、「素晴らしかったわ」と言ってくれました。また、普段はなかなか言ってくれないけど、今回は「あなたの演技もすごく良かった」と言ってくれたんです。シナリオを読んだときと映画を見た後の反応が全く違ったので、とても面白かったです。
もちろんです。それこそがある意味、この作品が持つ最も大きな魅力だと思います。僕は娘を失った被害者の親を演じましたが、加害者である男の子たちの親に対しても共感してしまうところがありました。本当はそう思ってはいけないのですが、心の中で納得してしまうというか…。息子をなんとかかばおうとするクリーニング店の父親を見ていて、自分も同じような行動を取ってしまうのではないかと思いました。でも駄目ですよね。僕はそうしません。正々堂々と審判を受けなくては駄目ですね。
●公開情報
『さまよう刃』
9月6日(土)角川シネマ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかでロードショー
配給:CJ Entertainment Japan
舞台・ミュージカル2025年7月4日
2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。 物語の舞台は歌舞 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月3日
グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む
映画2025年7月3日
1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む
ドラマ2025年7月2日
磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む
ドラマ2025年7月1日
ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む