橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

2025年8月16日 / 18:00

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。本作で蔦重の妻・ていを演じているのは、今回が4度目の大河ドラマ出演で、3度目の主人公の妻役となる橋本愛。対立から始まった蔦重との関係は、本に対する思いが共鳴して夫婦となり、次第に絆を深め、視聴者からも“おていさん”の愛称で親しまれている。その舞台裏を語ってくれた。

(C)NHK

-大河ドラマで主人公の妻を演じるのは、「西郷どん」(18)、「青天を衝け」(21)に続き、3度目となりますが、オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。

 再びご縁をいただけたことがうれしかったです。大河ドラマほど長期にわたる作品はほかにないので、役柄に対する愛情の深さが段違いなんです。今まで演じた役はどれも大好きで、未だにその魂が残っていると日常の中で感じるくらい、強く刻まれています。ただ、今回は3度目の主人公の妻役ということで、視聴者の皆さんから飽きられるのでは…という心配もありました。そのため、今までとは異なる印象にしたいと考えると同時に、「主人公の妻役は最後」というくらいの覚悟で臨むつもりでいました。

-登場したおていさんは、視聴者から好評を持って迎えられましたが、反響をどのように受け止めましたか。

 安心しました。私も第1回から見てきて、この世界観に受け入れてもらうのは難しいのでは…と覚悟していたので。でも、森下(佳子/脚本家)さんの脚本の妙に加え、おていさんを愛すべき人として描いてくださったおかげで、誠実に演じたことが視聴者の皆さんにも伝わり、うれしかったです。

―特に印象に残った反響はありますか。

 第26回で、出家しようとお寺に向かったおていさんを追ってきた蔦重が止め、2人が心から結ばれたとき、皆さんが「よかったね」と声を掛けてくださったことが、すごくうれしかったです。また、第24回でおていさんが和尚さんと会話する場面は、おていさんが自ら身の上を語る唯一の機会だったので、「すべてを懸ける」くらいの気持ちで臨みました。それが伝わるか不安でしたが、前回登場したばかりにもかかわらず、視聴者の皆さんが「かわいそう」「報われてほしい」と、まるで今までの人生を共に見てきたかのように反応してくださって。それもうれしかったです。

-蔦重に出家を止められ、2人が心から結ばれたシーンは印象的でした。そのときのおていさんはどんな気持ちだったのでしょうか。

 おていさんは、子どもの頃からずっと自分で自分に「つまらない人間」というレッテルを貼って生きてきたと思うんです。にもかかわらず、蔦重さんは「つまんねえって思ったことねえですぜ」と、コンプレックスだった部分をある種の才能と認め、人生を丸ごと肯定する言葉をかけてくれた。それが、心からうれしかったと思うんです。その上、「この人ならこの先、山があって谷があっても一緒に歩いてくれんじゃねえか。いや、一緒に歩きてえって」とまで言ってくれたのは、これ以上ない喜びだったのではないでしょうか。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

原嘉孝×いとうあさこ、timelesz加入後初の舞台主演に「timeleszを背負っています」 舞台「ドラマプランニング」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月11日

 脚本家・演出家の山田能龍、いとうあさこによる劇団山田ジャパンの2025年9月公演「ドラマプランニング」にtimeleszの原嘉孝が出演する。  本作は、テレビ業界におけるドラマ制作現場を舞台とし、ほれ込んだ漫画の映像化で初のチーフ作品を担 … 続きを読む

【映画コラム】新旧のSFアクション映画の魅力が詰まった『ジュラシック・ワールド/復活の大地』

映画2025年8月10日

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日公開)  熟練の特殊工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)は、信頼する傭兵のダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)ら … 続きを読む

Willfriends

page top