広瀬アリス「すごく新鮮な体験でした」風間俊介「広瀬さんはアスリートのようだった」初共演の2人が語る重厚なミステリーの舞台裏「連続ドラマW 完全無罪」【インタビュー】

2024年7月4日 / 12:30

 21年前に香川県で起きた少女誘拐殺人事件。弁護士の松岡千紗は、この事件の犯人として服役中の平山聡史(北村有起哉)の無実の訴えに基づき、再審請求を担当することになる。実は、千紗自身も同一犯の犯行とみられる未解決の誘拐事件の被害者だった。自分をあやめていたかもしれない平山を弁護することになった千紗は、葛藤しつつも再審に向けて尽力するが…。

 7月7日午後10時からWOWOWで放送・配信スタートとなる「連続ドラマW 完全無罪」 (全5話/第1話無料)は、大門剛明の小説を原作にした重厚なミステリーだ。放送を前に、主人公・松岡千紗を演じた広瀬アリスと、千紗に協力する弁護士・熊弘樹役の風間俊介が、初共演となる作品の舞台裏を語ってくれた。

広瀬アリス(左)<ヘアメーク:宮本愛(yosine.)、スタイリング:梅山弘子(KiKi inc.) >
風間俊介<ヘアメーク:清家いずみ、スタイリング:手塚陽介>

-お二人は役者としては今回が初共演だそうですが、感想はいかがでしたか。

広瀬 風間さんとはテレビのスポーツ中継などで何度かご一緒したことがありますが、今回、初めてお芝居をしてみたら、リズムがすごく心地よかったです。重いシーンが続く中、風間さんとのシーンは、心がふっと軽くなる瞬間だったこともあって。

風間 そう言ってくれると、うれしいな。僕は、テレビのバラエティー番組などで見せる明るい一面だけでなく、それと表裏一体になった重くつらい物語を慈しむ心も広瀬さんの魅力だと思っている。だから、それを実際に垣間見ることができたこの現場は、すごくぜいたくで幸せな時間だった。

-おっしゃる通り、広瀬さん演じる千紗と再審を巡る事件関係者との対峙(たいじ)は、ずっしりとした見応えがあります。

風間 最初に北村さんと対峙するシーンがあり、次に奥田(瑛二/元刑事・有森義男役)さんと向き合い、さらに音尾(琢真/元刑事・今井琢也役)さんがやってきて…。まるで、広瀬さんと名優の皆さんのトーナメント戦だったよね。

広瀬 しかも、そのトーナメント戦がすべてクランクイン直後の1週間に集中していたんです(苦笑)。撮影前半はすごく重いシーンが続き、日々、勝ち抜き戦のような感じでした。

-その中で第1話のクライマックス、千紗が接見室で平山と対峙するシーンはすさまじい迫力で、一気に物語に引き込まれます。

広瀬 千紗がふたをしてきた自分の過去を平山さんに吐き出すあのシーンは、クランクインから3日目、北村さんとも初対面という状況での撮影でした。そのため、言葉にしながら自分でも頭の中で整理するような感覚の中で必死に取り組み、気付いたら周りの音が一切耳に入らず、カメラの存在も意識しなくなっていて…。本当に平山さんと向き合えたと感じることができた瞬間で、「カット」がかかったあとも、頭がずっとジンジンしていました。そんな経験は初めてです。

風間 普通、人間は適度にごまかしながら他人と向き合っているはずなんだけど、千紗はそれをすべて正面から受け止めてしまう。そんな役を演じる広瀬さんは、すごく大変だったと思う。精神的にはアスリートのようにタフだなと思いながら見ていた。

広瀬 その分、熊さんとのシーンはほっこりしました。風間さんが一緒という安心感もありましたし。気遣ってくださる様子も、まるで千紗を心配する熊さんのようで。

風間 熊としては、千紗を見守ることしかできないから、申し訳ない気持ちになって(笑)。しかも、千紗のような役の場合、現場で周囲と距離をとり、1人静かに集中してもいいはずなんだけど、広瀬さんはいろんな人に声をかけるなど、「みんなが期待する広瀬アリス」でいてくれる。それもすごいと思った。この作品だけで、俳優として5年分くらいの経験をしたんじゃない?

広瀬 そうかもしれません。難しい法律用語も多かったので、台本を早めにいただき、自分の中に落とし込めるまで繰り返し読むなど、準備にもだいぶ時間をかけましたし。しかも、この作品の少し前まで、陽気でテンションの高い役をやっていたので、そのギャップも激しくて(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ファーストサマーウイカ「それぞれの立場で“親と子”という普遍的なテーマについて、感じたり語り合ったりしていただけたらうれしいです」日曜劇場「19番目のカルテ」【インタビュー】

ドラマ2025年8月17日

 TBSでは毎週日曜夜9時から、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」が放送中。富士屋カツヒトによる連載漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(ゼノンコミックス/コアミックス)を原作に、「コウノドリ」シリーズ(TBS系)の坪田文が脚本を手 … 続きを読む

橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。本作で蔦重の妻・ていを演じているのは、今回が4度目の大河ドラマ出演で … 続きを読む

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

Willfriends

page top