「携帯に鶴瓶さんの顔のシールを貼って、『この人は私の旦那さん』と頭に刷り込みました」 中条あやみ『あまろっく』【インタビュー】

2024年4月10日 / 08:00

 通称「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」によって水害から守られている兵庫県尼崎市を舞台に、年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かう中で次第に一つになっていく姿を描いた人生喜劇『あまろっく』が、4月12日(金)の兵庫県での先行公開に続いて、19日(金)から新宿ピカデリーほか全国公開となる。本作で若くして一家に嫁ぐ早希を演じた中条あやみに話を聞いた。

中条あやみ(ヘアメーク:山口朋子(TOMOKO YAMAGUCHI) <HITOME>/スタイリスト:藤井希恵<THYMON Inc.>) (C)エンタメOVO

-今回の早希は20歳の役で、笑福亭鶴瓶さん演じる竜太郎と結婚して、江口のりこさんが義理の娘の優子という、あり得ないような設定でしたが、最初に脚本を読んだ時はどんな印象でしたか。

 私も第一印象は、設定に無理があるんじゃないかな、きっとみんなもそう思うだろうなと思いました。でも、こういう明るい家族の物語というのもあまりなかったですし、登場人物の一人一人に寄り添ったせりふがあったり、それぞれの人生の良さが短時間の中にぎゅっと凝縮されていると感じて、すごく心が温かくなる作品だと思いました。何より、江口さんと鶴瓶さんとご一緒できるのがすごく楽しみだったので、撮影に入る前からワクワクしていました。

-実際に演じてみていかがでしたか。

 クランクインが、いきなり鶴瓶さんと一緒に夫婦として商店街を歩くシーンだったので、距離感を詰めないとリアルにならないとすごく悩みました。そこでクランクインするまでに自分の携帯に鶴瓶さんの顔のシールを貼って、「この人は私の旦那さん」と頭に刷り込むことをずっとやっていたので、そのおかげもあって、すぐに距離感を詰めることができたと思います。

-年上の娘役の江口のりこさんとの共演はいかがでしたか。

 ちゃんと母娘に見えていましたか?

-最初は、「えっ?」と思うんですけど、不思議なことにだんだんと違和感がなくなってきました。

 そうなんですよね。私自身も、だんだんと優子ちゃん=江口さんが娘かなって思えてきて…。もちろん江口さんは年上なんですけど、素直でかわいいというか、妹や娘みたいな感じに思えてきて。一緒にいればいるほど、そういう感情が芽生えてきました。時々「もう江口さん、ちゃんとして」みたいな感じになってきて(笑)。その関係性が私も不思議でした。やっぱりこの3人じゃないとバランス良くできなかっただろうなと思います。

-では鶴瓶さんとの共演はいかがでしたか。

 鶴瓶さんはもうずっとあのままというか、竜太郎さんが鶴瓶さんであり、鶴瓶さんが竜太郎さんであるというような人です。休憩中も、竜太郎さんが寝転がってテレビを見ながらお菓子をポリポリ食べて…というあのままでした。カメラが回っていない時は、日差しがある中で猫みたいに昼寝をしたり、ちょっと隙があれば下ネタを言ったり、スタッフさんにも気を使ってアドバイスしたり…。いろんな人のことをちゃんと見ていらっしゃって、皆に愛される人ってこういう人なんだなって、すごく勉強になりました。鶴瓶さんの独特の世界観は素晴らしいなと思いました。負の感情が一つもないのが、言葉などに出ていると思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『宝島』(9月19日公開)  1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。  村の英雄でリーダー格のオン(永山瑛太)と弟のレイ(窪田正孝)、彼らの幼なじみ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

 朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

Willfriends

page top