南果歩「恐れずにチャレンジできた1年」を経て挑む出演舞台【インタビュー】

2023年6月29日 / 08:00

 数々のドラマや映画、舞台で活躍を続ける南果歩が出演する舞台、tsp NextStage制作「これだけはわかってる~Things I know to be true~」が6月30日から上演される。ある家族のとある1年を描いた本作で、南が演じるのは母親のフラン。家族同士のコミュニケーションの難しさや、互いに成長していく家族の様子を丁寧につづる本作で、南は母親をどう演じるのか。本作への意気込みや役作りについて聞いた。

南果歩 (C)エンタメOVO

-出演が発表されたときに「素晴らしい戯曲に出会いました」というコメントを出していましたが、本作のどんなところに魅力を感じましたか。

 家族の群像劇の中に、今日的なテーマがたくさん入っていて、家族一人一人の人生を描いています。「家族」は普遍的なテーマなので、これまでにもさまざまな作品はありますが、この戯曲の構成はテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』に近いものがあり、とても興味が湧きました。私は20代でローラ役をやっています。今回は母親役なので、時の流れも感じています。

-南さんが演じるフランという人物については、どのように捉えていますか。

 仕事に4人の子育てにと毎日忙しく飛び回っていて、子どもたちの心配も人一倍する母親という一面がありながらも、人生の中では誰にも話していない時間と思いを心の奥底に持っている女性です。岐路に立ったときは一人で思い悩み、決断をくだし、それを乗り越えた先で、再び家族との時間を積み重ねています。戯曲を通してフランの人生を、一人の女性のさまざまな顔を演じてみたいと思いました。

-(取材当時)すでに稽古がスタートしていると聞いていますが、実際にフランを演じてみてどんなことを感じていますか。

 シリアスなモーメントもありますが、笑える箇所もたくさんあるので、会話の面白さや笑えるところを膨らませていきたいなと思います。まだ立稽古が始まったばかりで、あまり余裕がないんですよ(笑)。ただ、みんなで頑張ろうという団結力のある稽古場なので、これからみんなで作り上げていければと思います。

-共演者の印象を聞かせてください。これまで共演経験のある人はいますか。

 山下リオさんとは、「定年女子」というドラマで親子役を演じたことがあります。今回も親子役、しかも母親と一番近しく反発もある長女役を演じるので、心強いです。

-フランの夫であり、家族の父親役は栗原英雄さんが演じます。栗原さんとのお芝居はどう感じていますか。

 初共演ですが、すごく頼りがいのある俳優さんだと思っています。(栗原が演じる父親の)ボブとは30年以上共に過ごしてきた歴史があるので、それを一緒に作っていけるのではないかなと思っています。市川知宏さん、入江甚儀さん、山口まゆさんとも、母親としての関わり方が違ってくると思うので、どんな親子関係を表現できるか楽しみです。

-本作を通して観客にどんなメッセージを伝えたいですか。

 観客の皆さんが“子ども”という役割を担っていても、“親”という役割を持っていても、それぞれの立場で感情移入できる作品だと思います。日常は容赦なく毎日やってきて、それを何とかこなしていかなくてはいけませんが、劇中で生きているこの家族の日常と、観客の皆さんの時間や思いが、きっとシンクロするところがあると思います。何があっても日々は容赦なく続いていくことを描いているのがこの作品の面白さだと思うので、老若男女を問わずたくさんの方に楽しんでいただけるお芝居ではないかなと思います。

-本作は、家族の関係を描いた物語ですが、南さん自身は親しい人とコミュニケーションを取るときに、どんなことを大切にしていますか。

 自分が言われて嫌なことは言わないということです。特に私は、言葉にとても敏感なので、誰かに一言を投げかけられて、その言葉が人生の指針になったりもします。なので、自分が発する言葉は私自身だと思っています。自分の言葉以外を話すことが芝居の面白さでもありますね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

長尾謙杜&山田杏奈&石原慎也(Saucy Dog)が話題の映画でタッグ!「主題歌が主人公たちの気持ちを表している」『恋に至る病』【インタビュー】

映画2025年10月24日

 10月24日公開の『恋に至る病』は、TikTokで話題になるなどティーンを中心に絶大な支持を集める斜線堂有紀のベストセラー小説を映画化した話題作だ。  内気な男子高校生・宮嶺望と学校中の人気者・寄河景。同じクラスになった2人は距離を縮めて … 続きを読む

市毛良枝「現代の家族のいろんな姿を見ていただけると思うし、その中で少しでもホッとしていただけたらいいなと思います」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』【インタビュー】

映画2025年10月23日

 祖父の他界後、大学生の拓磨は、夫に先立たれて独り残された祖母・文子と同居することになった。ある日、拓磨は亡き祖父・偉志の書斎で、大学の入学案内を見つける。それは偉志が遺した妻・文子へのサプライズだった。市毛良枝とグローバルボーイズグループ … 続きを読む

林裕太「北村匠海さんや綾野剛さんとのつながりを感じました」期待の若手俳優が先輩2人と作り上げた迫真のサスペンス『愚か者の身分』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 10月24日から全国公開となる『愚か者の身分』は、第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を映画化した迫真のサスペンスだ。新宿の歌舞伎町で、犯罪組織の手先として戸籍売買を行う松本タクヤ(北村匠海)とその弟分・柿崎マモル、タクヤの兄貴 … 続きを読む

南琴奈「今までに見たことがないような映画を楽しんでいただけたらと思います」『ミーツ・ザ・ワールド』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 芥川賞作家・金原ひとみが新宿・歌舞伎町を舞台に描き、第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説を、松居大悟監督、杉咲花主演で映画化した『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日から全国公開される。二次元の世界を愛し、自己肯定感の低い主人公の由嘉里 … 続きを読む

timelesz・橋本将生「『大切な人を守りたい』という気持ちは共感できる」 菊池風磨のアドバイスも明かす【インタビュー】

ドラマ2025年10月21日

 timeleszの橋本将生が主演するドラマ「ひと夏の共犯者」(テレ東系)が毎週金曜深夜24時12分~放送中だ。本作は、大学生の主人公・岩井巧巳(橋本)が、推しのアイドル・片桐澪(恒松祐里)との夢のような同居生活を送るうちに、彼女の中にもう … 続きを読む

Willfriends

page top