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NHKで放送中の連続テレビ小説「らんまん」。“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、明治から昭和へと激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。東京で植物学の研究に打ち込む万太郎は、下町の菓子屋の娘・西村寿恵子(浜辺美波)と相思相愛の仲。そんな万太郎の恋敵が、寿恵子に熱烈アプローチをする元薩摩藩の実業家・高藤雅修だ。演じるのは、これまで舞台を中心に活躍してきた伊礼彼方。朝ドラ初出演の感想やガンガン攻める姿勢が注目を集める高藤の役作りについて語ってくれた。
ものすごくうれしくて、飛び跳ねました。実は長年、舞台をやってきた中で、表現の幅を広げるため、映像に挑戦してみたいと数年前から思っていたんです。例えば、細かい芝居をしたとき、映像の場合は抜かれ(アップになる)ますよね。同じことを舞台でやった場合、それがきちんと後列まで伝わるかというと、なかなか難しい。だから、俳優としてもう一つ上のステップに行きたいという思いがあって。そんなときに映像のお話を頂き、しかも俳優なら誰もが憧れる朝ドラという夢の舞台。非常にうれしかったです。
月曜日にその週に撮影するシーンのリハーサルを行い、火曜日から撮影に入るやり方が舞台に近いと感じて、安心して臨むことができました。おかげで、いろんなことを試すこともできました。
おでこのしわを寄せる、目をつり上げる、頬の筋肉をちょっと動かす、といった細かい芝居です。それと、ネットニュースにもなった二度見ですね。二度見って、僕は舞台でもよくやるんです。でも、舞台ではそれがフィーチャーされることもなければ、効果音が乗ることもないので、本編を見たときは笑ってしまいましたし、まさかニュースになるとは思いませんでした(笑)。
まず、自分が出演する分しか台本を頂けなかったことにびっくりしました。だから、前後が分からず、どうやって話がつながるのか、イメージできなかったんです。でも、自分のシーンだけ読んでいったら、物語のスパイスになるような役柄なんだろうなと。しかも、あの時代にしてはかなりガツガツいく人で、手の甲にキスをしたり、ダンスをしたり、スキンシップが多い。僕は普段から貴族や女たらしなど、女性とスキンシップをする役が多いので、「なるほど。私に来た理由が何となく分かりました」と、ありがたく読ませていただきました。
僕は舞台でも、悪役やこういう三角関係の恋敵やクズな人間の役をよくやるんです。演じる上で大事にしているのは、悪いやつにも悪いやつなりの正義があるということ。それがないと、ただの薄っぺらい悪役になってしまうので、彼は彼なりの正義で、どうしても譲れないものがあってその選択に至ったという理由づけをするようにしています。だから高藤も、恋敵ではありますが、僕の中では初めて本当の恋をしたという設定にしています。でないと、当時、めかけは珍しくなかったと思いますが、そういう当たり前のことにしてしまうと印象に残らず、恋敵としてのレベルも低くなってしまいます。そうすると、スパイスの役割を果たせず、万太郎の物語がうまく進展していかないんじゃないかと。
僕がじかに神木さんのお芝居を見たのは、初めて寿恵子さんのドレス姿を見た万太郎が「きれいじゃ、きれいじゃ…」と連発したシーンと、高藤が寿恵子さんを“お姫様抱っこ”したシーン、あとは音楽会の会場でバラの花束を見た万太郎が「うわあ、きれいじゃのう…」と言っているシーンだけなんです。でもそのとき、すごく天真らんまんな印象を受けて、「なるほど。ということは、この逆をいかなければいけないな」と。台本だけでは発見できないことが多く、共演者の声を聞いたり、存在を感じたりしたとき、初めて自分のキャラクター設定の方向性を理解できることがあるんです。だから、万太郎と直接言葉を交わすことはなくても、神木さんのお芝居を見られたのは、非常にありがたかったです。
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