【インタビュー】ドラマ「東京放置食堂」片桐はいり 伊豆大島でセカンドライフを送る主人公を「寅さんのような気持ちで演じたい」

2021年9月28日 / 16:12

 片桐はいりが主演するドラマ「東京放置食堂」が、毎週水曜日、深夜1時10分から、テレビ東京ほかで放送中。本作は、人を裁くことに疲れた元裁判官の主人公・真野日出子が、東京都の南に位置する伊豆大島で、居酒屋を営む店主・小宮山渚や大島名物の“くさや”と出会い、第2の人生の扉を開く物語。ひょんなことから島の居酒屋を手伝うことになる日出子を片桐が、島で育った寡黙な居酒屋店主・渚を工藤綾乃が演じ、人生に悩みを抱えて居酒屋を訪れる客を、前田敦子や竹中直人、桜井玲香ら、各話のゲストが演じる。本作が連続ドラマ初主演となる片桐に、ドラマの見どころや伊豆大島ロケの感想、ゲスト俳優との撮影時のエピソードを聞いた。

(C)「東京放置食堂」製作委員会

-本作は、片桐さんにとって連ドラ初主演作となりますが、どんなことが出演する決め手だったのでしょうか。

 自然に恵まれた伊豆大島が舞台になっていることと、私のような50代の女性がメインで活躍する仕事というのは、そんなに頂けるものではないので、出演させていただきました。私自身も作品を見る立場として、きれいで若い女の子だけではなくて、40、50代の同世代の女性が活躍したり、七転八倒している作品を見たいという思いが常々ありますし、40、50代の女性の視聴者はたくさんいらっしゃるのに、そういった作品が少ないのはどうなんだろうという思いもあるので、一生懸命やらせていただいています。

-台本を読んだときの日出子というキャラクターの印象は?

 きっちりとしていて曲がったことが嫌いで生きてきて…という型通りのこともあるのですが、私も日出子と同じ様に、仕事に一途に生きてきた50代の女として、今まで頑張ってきたけれど、定年まではまだもうちょっとあって、でも限界だよ、という気持ちが分かるような気がして共感を覚えました。私たち1960年代に生まれた人間は、世の中は右肩上がりになっていくのが当たり前だと思って生きてきたところがあるのですが、ちょっと「えっ」と考える瞬間が訪れたのではないかなと思います。

-日出子が、各話のゲストたちに居酒屋で説教をするシーンが見どころになっていますが、演じる上で意識していることはありますか。

 日出子さんが偉そうなことを偉そうに言う人だったら、あまり面白くないなと思ったので、ちょっと“抜け”を作りたいなと思いました。『男はつらいよ』の寅さんは、恋愛が成就していないのに、ものすごくうまく恋愛の話をするので、寅さんのようなニュアンスで演じられたらいいなと思って。説教するときに上から物を言う、というよりは、自分も未熟なのに、おせっかいで人に一生懸命まっとうなことを言ってしまうような、寅さんのような気持ちで演じたいと思っています。

-伊豆大島のロケで印象に残っていることは?

 大島での最初のロケが、黒い砂地が広がる「裏砂漠」という場所で、先が見えないほどの霧と、立っていられないほどの強風が吹いている中で始まって。東京都内でありながら、原始的な自然がある島なので、大自然を前に、芝居してどうのこうのしよう、みたいな気持ちを最初の段階で失いました。

-工藤綾乃さんと共演した感想を教えてください。

 工藤さんが14歳のときに映画で共演していたので、「あら、大きくなったのね。いいお嬢さんにおなりになって」というところからのごあいさつだったのですが、今の印象としては(ロケ地の)大島に似ている感じがします。存在がドンとしていて何事にも動じないですし、2人のシーンも多いのですが、すごく居心地がいいです。

-各話で印籠のように、島の名物の「くさや」が登場しますが、片桐さんがくさやに出会ったときの衝撃や、撮影時の秘話を教えてください。

 私は居酒屋でくさやを焼く立場なので、あぶって焼くとにおいが髪の毛に付きますし、撮影はつらいのですが、食べたら味はおいしかったです。私はくさい物をかぐと笑ってしまうところがあるのですが、初めて焼いたときは、そういう気持ちが起こりました(笑)。

-撮影では、桜井玲香さん、前田敦子さんなど、居酒屋を訪れる各話のゲストの人も、くさやを実際に食べているのでしょうか。

 はい。ゲストの方それぞれがくさやを食べたときの反応と、役としての反応が違うので、私は二通りのリアクションを楽しんでいます。桜井さんは「そんなにお食べになって大丈夫?」と聞いたのですが、パクパク食べていましたし、前田さんは焼いたときのにおいが強烈なので、「私はちょっと無理…」と言っていたのですが、撮影後は「意外と平気だった!」と言って全部食べられていて、さっぱりしたすてきな方でした。

 
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